Googleは、新たな音声機能サービスのターゲットを一般消費者に定めている。しかし、企業でも従業員がこのサービスを利用するようになる可能性が高い。企業は、Google Voiceのようなサービスの利用に関するポリシーを、先手を打って策定すべきである。
ニュース・アナリシス
概要
2009年3月11日、GoogleはGoogle Voiceのプレビュー版を発表した。このアプリケーションは、以下を可能にする。
● Googleから割り当てられた単一の電話番号に着信した通話を、自宅や勤務先の電話、携帯電話に転送する (ユーザー側で、電話番号設定の変更が必要)。
● ボイス・メールのメッセージをテキスト・データに変換する。
● ショート・メッセージ・サービス (SMS) のテキスト・メッセージをアーカイブして検索する。
● ボイス・メールの受信ボックスにWeb経由でアクセスする。
● ボイス・メールで受信する相手を選別しておく。
● 最大6回線の電話会議をサポートする。
● 国際電話を割安な料金で利用できる。
● 電話番号案内サービスであるGoog-411を利用できる。
Google Voiceは、当初はGrandCentral (2007年7月にGoogleが買収したサービス) の既存ユーザーのみが利用可能であるが、2009年末までには全米の一般消費者が広く利用できるようになる。
分析
今回発表されたテクノロジには、革新的なものは見当たらない。しかし、注目すべき点は、パッケージ形態と価格設定である。また、一般消費者向けポータルの運営企業としてライバル関係にあるYahooやAOL、さらにはMicrosoftやCisco Systems (Cisco) をはじめとするさまざまな企業と今後長期的な競合関係に入る影響も見逃せない。このサービスは無料であり、Googleとしては国際電話から収益を上げる考えである。番号ポータビリティの欠如が採用の大きな障害になるが、安定性が実証され次第、小規模企業がGoogle Voiceを採用する可能性が高いとガートナーでは考えている。一般消費者と小規模企業の市場でGoogleが需要を喚起することにより、ビジネス・ユーザーにも同様の機能を提供するという途方もない圧力が企業にかかる。つまり、コンシューマライゼーションが進展する。
今日、電話を利用しているユーザーは、さまざまなコミュニケーション/コラボレーション・モデル間を容易に移行できるサービスを欲している。Google Voiceでは、ボイス・メールを電子メール用の受信ボックスで受け取る機能も備えている。ボイス・メールをテキスト化すると、電子メールとボイス・メールの両方を同一のツールで検索できるようになる。状況に応じて電話を転送する「Find Me/Follow Me」機能を備えた音声サービスを求める声も強い。これらのテクノロジは、これまでも広く利用可能であったが、ほとんどは小規模ベンダーが提供する部分的なソリューションに限られていた。Google Voiceは、これらのサービスを1つのパッケージとし、インターネットに接続できるすべてのユーザーが利用できるようにしている。
企業の視点から見ると、Googleによる今回の発表は、競争が激しい (しかも、現在でも進化を続けている) サービスとしてのソフトウェア (SaaS) 経由で提供されるユニファイド・コミュニケーション/コラボレーション・サービスに影響を与えるものである。Google Voiceは、一般消費者市場で実証され次第、有料のGoogle Apps Premier Edition (GAPE) スイートに組み込まれるとガートナーは予測している。コラボレーションSaaSのライバル企業であるIBM、Microsoft、Ciscoは、Google Voiceに対抗するか不利な競争に甘んじるかの選択を迫られる。また、従来型PBXサービスのサプライヤーは、同様のサービスを提供するという課題を突き付けられる。
ガートナーの予測では、企業の従業員は、このサービスを利用して個人の電話端末と職場の電話機の間で電話を転送するようになる。そうなると、一部の従業員は企業の電子メールを個人の一般消費者向けアカウントに転送することもできるようになり、企業の電子メール・ポリシーが骨抜きにされる恐れがある。そうなれば、企業はサービス品質を保証することができなくなるため、注意が必要である。
推奨事項
企業向けの推奨事項は、以下のとおりである。
● 従業員がビジネス目的でGoogle Voiceを利用することの可否と、利用を認める場合のポリシーを策定する。
● 試験運用を実施しても、番号ポータビリティと、サービス・レベル合意 (Service-Level Agreement: SLA) を伴う商用サービスが開始されるまでは広範な採用を見合わせる。
● ビジネス・ユーザー向けに同様のサービスを導入するためのロードマップを作成する。
推奨リサーチ
・ 「Google Appsの現状」(UBQ-08-17、2008年8月29日付):企業の従業員は、正規の承認を受けずにGoogle Appsを利用することが多い。ITプロフェッショナルは、会社に無断で使用している従業員を突き止め、その理由を確認する必要がある (Tom Austinほか)。
・ 「Web Version of Microsoft Office Seeks to Counter Google Apps」:Microsoftは、Google Appsをはじめとする個人向けオフィス・アプリケーションの採用を遅らせたいと考えている (Matt Cain、Tom Austin、Michael Silver)。
(監訳:志賀 嘉津士)
ETT: ETT-09-06
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