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SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

イメージ 力の結節においてアナリティクス、クラウド、モバイルを推進するSAP
アプリケーション (APP) /APP-12-143
Research Note
D. Feinberg
掲載日:2013年1月22日/発行日:2012年12月28日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2013年2月28日(木)・3月1日(金)に開催する 「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション & アーキテクチャ サミット 2013 | Nexus時代に備えたアプリケーション変革への一手」 のページを是非ご覧ください。
本サミットでは、今後のアプリケーションおよびその基盤の在り方に大きな影響をもたらす「クラウド、モバイル、ソーシャル、インフォメーションがもたらすインパクト」をテーマに、企業のIT部門が取り組むべき施策について提言します。
(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)

 

SAPは、ビジネス・アナリティクス、インフォメーション・マネジメント、モバイル・インフラストラクチャを含めた幅広いポートフォリオによって、アプリケーション・ベンダーからソフトウェア・プロバイダーへと転身した。SAPは、ソーシャル・メディアの採用では遅れているが、マーケティング戦略においてガートナーの「力の結節 (Nexus of Forces:力の強固な結び付き)」を取り入れている。

要約

主要な所見

    ● SAPは、ビジネス・アプリケーションに対する企業のニーズによって、テクノロジとビジネスの接点に立たされている。そのため、力の結節の推進役を果たす有利な立場にいる。

    ● SAPは、アナリティクスとインフォメーション、モバイル、クラウドに対し、ビジネスのそれぞれの重要度に応じて注力することで、ビジネス要件に対応している。CRMにおいてソーシャル・メディアが重要になったことで、SAPはCRMアプリケーションにおけるリーダーの地位を維持するために、ソーシャル・メディアに取り組む必要がある。

    ● SAPは引き続き、すべてのマルチチャネル・ベンダーの中で最も広範にデバイスをサポートしている。また最強のモバイル・デバイス管理 (MDM) 製品であるAfariaを提供している。

    ● SAPは、世界最強のエンタプライズ・モバイル・アプリケーション・プラットフォーム・ベンダーになるという果敢な戦略を掲げている。この戦略の一環として、モバイル・アプリケーション開発ベンダーのSycloを買収し、Adobe Systems、Appcelerator (モバイル・アプリケーション企業)、Sencha (アプリケーション・フレームワーク、ツール、クラウド・サービス企業) と提携している。

    ● SAPのアプリケーション・インフラストラクチャおよびアーキテクチャ戦略 (HANA Architecture) は、同社がこの分野でインメモリ・コンピューティングの果たす役割について、高度で革新的なビジョンを抱いていることを示している。

    ● クラウド・プラットフォームの開発に対するSAPの長期的な目標は明確ではない。SAPは明確な戦略を立て、クラウドをサポートする堅牢なプラットフォームについて説明し、開発する必要がある。
推奨事項
    ● 力の結節を構成する要素の統合レベルに関して、SAPアプリケーションの評価に着手する。つまり、SAPが自社のアプリケーションを強化するために、ソーシャル、クラウド、モバイルの機能をどの程度適切に統合しているかを評価する。

    ● 将来的にクラウド・ベースの環境でアプリケーションが必要になりそうな企業は、SAPに対し、クラウドの詳細なロードマップを提示するよう強く求める。顧客は、こうしたアプリケーションに投資する前に、近々訪れるSAPのクラウド戦略の変更による影響を把握しておく。

    ● 結節の力 (特にモバイルとソーシャル) をSAPアプリケーションに統合する製品や、サービスを扱うプロバイダーを評価する。オープンなアプリケーション・アーキテクチャがSAPから提供されているためである。

    ● CRMやマーケティング部門向けのソーシャル製品やサービスの統合を増やすよう、SAPに圧力をかけ続ける。


分析
SAPのビジネス戦略には、クラウド、モバイル、インフォメーションの力が採用されており、これらはガートナーが提唱する力の結節に当てはまる (備考1および図1参照)。SAPは、アプリケーション、データベースとテクノロジ、モバイル、クラウド、アナリティクスを軸にビジネス戦略を構築することによって、結節に沿ってマーケティング戦略と実行モデルをそろえている点が独創的である。SAPはモバイル、クラウド、インフォメーションへの注力に前向きであるが、ソーシャル・メディアを戦略に盛り込めば、さらにこの戦略を推進できるであろう。新たにソーシャルを重視しなければ、SAPは結節全体のサポートについて危ぶまれることになる。

図1 力の結節
図1 力の結節
出典:ガートナー (2012年8月)

SAPのHANA Architecture戦略は結節に関する戦略の中心
SAPのアプリケーション・インフラストラクチャおよびアーキテクチャ戦略 (HANA Architecture) は、ガートナーの力の結節にかかわるビジネス戦略の主要な強みである。HANAは、インメモリ・データベース管理システム (DBMS) に基づくSAPのプレミアム価格製品であり、現時点で主としてアナリティクス向けであるが、モバイルとクラウド・アプリケーションをサポートしており、さらにソーシャル・データとの統合が進む可能性もある。

SAPのHANA戦略は、企業の世代交代や、IT業界の破壊的かつ革新的な変革に影響する果敢な挑戦である。同社はこの挑戦によって、SAP Customer Segmentation AcceleratorやSAP Predictive Analysisなどの先進的なアーキテクチャやビジネス価値の高い新規アプリケーションを生かして市場で闘うことができるようになる。このビジョンは市場における採用の初期段階にあるが、Oracleをはじめとするベンダー他社は、この戦略にかかわるマーケット・ハイプと製品リリースを検証し、HANAに対抗しようとしている。

図2に結節のそれぞれの力におけるSAPのポジションを示し、以降の項でそれらについて解説する。同図には、結節の4つの力と共にSAPの製品/サービスの例を示し、それらの相対的な成熟度を縦軸に、さらに顧客がこの問題に取り組もうとする際に検討できるように、製品/サービスに対する現時点でのガートナーの評価を横軸に示している。

図2 力の結節にかかわるSAPの製品/サービスの評価
図2 力の結節にかかわるSAPの製品/サービスの評価
出典:ガートナー (2012年8月)

インフォメーション
SAPは買収と社内開発を通じて、堅牢なインフォメーション・マネジメント基盤を築いている。SAPはインフォメーションに関して十分な態勢にあり、インフォメーション戦略と製品セットを拡大し続け、インフォメーション・マネジメントにおける3大ベンダーの1社になると考えられる。

SAPは2010年にHANAを発表し、2011年6月に一般向けに発売した。当初、SAPはHANAをスタンドアロンの分析アプリケーション向けに発売しており、企業はHANAのスピードを生かして、それ以前は不可能であったアプリケーションを実現することができた。2012年にSAPは、自社のNetWeaver Business Warehouse (BW) 向けのインフラストラクチャとしてHANAを発売し、記録用のDBMSやBusiness Warehouse Acceleratorに代わるものとした。HANAプラットフォームにおけるパフォーマンスの向上は、およそ1万3,000社のSAP BWの顧客にとって興味深いものである。やがて、HANAはBWで実施される複雑なスキーマと処理を単純化することによって、BW構造の変更を可能にするであろう。それによって、BWの処理がHANAへと移行する。

SAPは、HANAによって使用可能になった多くの新しいアプリケーションを発売した。例えばSAP Business Planning and Consolidation、SAP CO-PA Accelerator、SAP Sales Pipeline Analysis、SAP Customer Segmentation Acceleratorである。2012年6月現在、SAPによれば、同社の顧客のうち約500社のHANAの顧客が、BWも含めこれらのアプリケーションに強い関心を示している。またSAPは、パートナー製のアプリケーションとのエコシステム、あるいは今日ではSAP Business One AnalyticsとのエコシステムにHANAを展開できるように、SAPパートナー・ネットワークおよびエコシステム向けに縮小版のHANA Edgeを提供している。HANAは革新的で破壊的なテクノロジであり、競合他社は、最終的に何らかの類似の製品やサービスを提供せざるを得なくなる。

SAPは2010年にSybaseを買収し、2012年に自社に統合した。モバイルのほかに、SAP Sybaseは、Sybase IQ、Sybase ASE、データ統合およびデータ品質ツール、Sybase Replication Serverを通じて、データ管理の多彩な製品やサービスをもたらした。Sybaseのデータ管理は、HANAと並んで、SAPインフォメーション・マネジメント戦略の基盤を形成する。また、SAPはDatabase and Technologiesグループを設立し、SAP Sybase製品、HANA、企業情報管理 (EIM) 製品のMDM/データ統合/コンテンツ管理を含む、すべてのテクノロジ製品のマーケティング部門とした。

SAP Sybase ASEは、BWも含めたSAPの一連のアプリケーション向けに認定されており、ほかにSAPはIBM DB2、Microsoft SQL Server、Oracleをサポートしている。SAPは自社独自のDBMSでアプリケーションをサポートできるようになったため、プラットフォームに対する公平性に疑問が生じる。SAPは現行のすべてのDBMSについて、提供とサポートを継続しながらも、自社のASE製品を優先すると考えられる (根拠1参照)。SAP Sybase IQはデータウェアハウス (DW) 製品であり、DW環境を支援し、独立して機能する。SAPはIQについても、HANAと共に自社戦略にとって不可欠な要素と位置付けている。分析向けの記録用DWにHANAを使用し、より古いデータにIQを使用してもよい。さらにIQをMapReduceのような代替ストアに統合することで、ビッグ・データをHANAに統合することが可能になり、論理DWのDBMSインフラストラクチャを形成できる (根拠2参照)。

SAPのBusinessObjects 4.0にかかわる投資は適切であったとガートナーは考える。これによって、2011年にBusiness Intelligence 4.0とEnterprise Information Management 4.0 (BI 4.0とEIM 4.0) が発売された。このことから、SAPが主要な革新領域であるインメモリ・アナリティクス、カラム型データベース、モバイル・デリバリ、ソーシャル・サイトのマイニング、組み込み分析アプリケーションの実現に賭けていることがうかがわれる (根拠3参照)。SAP BusinessObjectsでは、一般的にソーシャル・ツールに伴う、構造化されたデータやテキストの分析を実施できる。ただし、ガートナーは、このツールを使用してソーシャル・データのマイニングを行う顧客をまだ確認していない。

SAPはBusinessObjects 4.0の発売を、インメモリ・アナリティクスなどの先進的なテクノロジや、タブレットやスマートフォンからもたらされるモバイル・ビジネス・インテリジェンス (BI) コンテンツを活用する動きが始まる1つの節目と捉えている。Feature Pack 3の発売においても、ソーシャルやコラボレーションの機能が内蔵された。同時にSAPは自社のBI機能を活用し、Healthcare Practitioner Spend AnalysisやEnterprise Risk and Solvency Managementなどの新しい分析アプリケーションを発売している。

モバイル
SAPは、企業向けモバイル開発の先駆者になるために、モバイル戦略を積極的に実行し続けている。

SAPはモバイル事業に対し、組織変革を通じて、HANAなどの主要な計画と同等の体制をつくることによって、当初の取り組みを (ほかの大手独立系ソフトウェア・ベンダーに比べると) 強化している。SAPは、専用の社内リソースとパートナー管理の点において、最大級のモバイル開発を行っている。2011年を通じてSAPのパートナーによるSybase Unwired Platform (SUP) との統合は活発であったし、それは今後も続くと予想される (根拠4参照)。SAPには、強力なMDM製品であるAfariaがある。そのためSAPは、MDM機能やモバイル・アプリケーション管理 (MAM) 機能を提供するその他のモバイル・エンタプライズ・アプリケーション・プラットフォーム・ベンダーと同様に、より広範で適切に統合されたモバイル・ソリューションを企業のIT分野全域に提供することができる。

2012年6月、SAPはSycloを買収し、モバイル・アプリケーションにおける自社の方向性を統一した (根拠5参照)。Sycloはパッケージ版モバイル・アプリケーションと開発プラットフォームによって、特に石油・ガス、公共事業、その他の資産集約的な産業において堅牢なビジネスを築いている。買収に先立ち、SycloのAgentry統合開発環境 (IDE) とSAPのSUPの間で、協力的競争 (コーペティション) の期間があった。SAPはSycloのAgentryプラットフォームをSUPと統合する計画であり、Sycroをエンタプライズ資産管理とフィールド・サービス業務向けモバイル・アプリケーションの基盤にする予定である。

SAPはモバイル・アプリケーション開発における新たな提携関係をAdobe Systems、Appcelerator、Senchaと結ぶことによって、自社のMobile Application Development Platform (MADP) のアプリケーション層における欠点を埋めようとしてきた。パートナーへの依存は短期的なものであり、全般的に脆弱な解決策である。SAPはHTML5のネイティブ機能を自社モバイル・プラットフォームに付加すべきであるとガートナーでは考える。

SAPが2010年にSybaseを買収して以降、Sybase 365は、特に新興国のモバイル・バンキングにおいて順調に拡大した。世界的に広くサポートされており、900以上の事業者と接点がある。SAPのモバイル・メッセージング・サービスは、ベスト・オブ・ブリードであり、データベースとインタフェースの強力なサポート、世界的な対応範囲、キャンペーン管理、内蔵アプリケーション・モジュールを備えている。SAPは2013年までに、Sybase 365のモバイル・コンシューマー・アプリケーション・プラットフォーム、SAPアプリケーション、Sybaseのデータ・アナリティクスを組み合わせて、コンテキスト強化サービスを提供するとガートナーは確信している。

クラウド
SAPは、約5,000人のスタッフから成る、クラウド・サービスを提供する部門を設置し、しばしばクラウドの重点を従業員、顧客、財務、サプライヤー管理に置くと述べている。SAPはBusiness ByDesign (BYD)、Sales OnDemand、Travel OnDemand、SuccessFactors BizX Suiteなどの20以上のクラウド・アプリケーションによって収益を得ているが、SAPによる将来のクラウド・アプリケーション開発に使用できる、あるいは顧客による独自のクラウド・アプリケーション開発を可能にする、単一の、統合されたクラウド・ベース・プラットフォームはまだ存在しない。

HANAはその高速な、インメモリ方式の、拡張性のあるアーキテクチャによってクラウド・インフラストラクチャをサポートできるため、結節の2つの力、すなわちインフォメーションとクラウドを結び付ける。HANA Architectureは、SAPのサービスとしてのソフトウェア (SaaS) とパッケージ版ビジネス・アプリケーションの戦略の基盤になる。HANA Architectureは (サービスとしてのプラットフォームまたは自社運用型のいずれの形態であっても) SAPが次世代アプリケーション・インフラストラクチャにおいて提供する主要なテクノロジとなる可能性がある (根拠6参照)。

SAPは自社のクラウド・ポートフォリオを積極的に拡充するために、目標を絞って買収を行ってきた。例えば、2012年におけるSuccessFactors (人的資本管理分野のSaaSベンダー) の買収や、Aribaの買収である。Aribaはクラウド形態で提供されるB2Bネットワーク・サービスや企業向け調達アプリケーションを提供する (根拠7参照)。

SuccessFactorsは、SAPの新たなクラウド部門の核であり、SuccessFactorsのCEOが同部門の指揮を執る。これにより、SAPは包括的な人的資本管理ソリューションをクラウドで提供できる。BYDは、2011年に再発売されたが、主要市場における存在感の獲得に時間を要しており、SAPは現行のBYDよりも、SuccessFactors製のEmployee Centralの統合を急ぎ、自社のクラウド・サービス全体の幅を広げる必要がある。Aribaの買収によって、SAPは、形成初期にある世界的ネットワークを通じた、マルチエンタプライズ・プロセスと統合の実現において、最前線に立つことになった。SAPの顧客にとっては、Aribaのオンライン・サプライヤー・ディレクトリであるAriba Discoveryへアクセスし、取引できるという利点がある。

上記に加え将来的な買収が、SAPのクラウドおよびSaaSオファリングの中核を形成する。SAPは、優れたSaaSオファリングの買収によって中核的なERP事業を拡大することで同事業を保護するとともに、顧客がSAPを「記録システムの提供者」と見なして、差別化システムと革新システムの導入を専門プロバイダーに依存するようになる脅威を減らそうとしており、前述の戦略にそうした取り組みを確認することができる。

ソーシャル
SAPはBI 4.0においてアナリティクス向けの強力なツールを備えているが、これを利用してソーシャル・アナリティクスを活用しようとはしなかった。自社のアプリケーションを既存のソーシャル・サイトと緊密に統合し、こうしたサイトに統合されたモバイル・アプリケーションを開発したならば、SAPにとって利点になるであろう。BusinessObjects Mobile BIはソーシャル・データの分析に使用できるが、SAPはこれらのモバイル・アプリケーションを、クラウドや自社のインフォメーション/アナリティクスのオファリングや製品に統合すべきである。顧客センチメント分析などのソーシャル・データに関して統合の計画があれば、ガートナーの力の結節を全面的に取り入れたビジネス戦略になる。ソーシャルの強力な統合なしでは、力の結節全体に対するSAPのサポートは危ぶまれかねず、競合他社に機会を譲ることになる。

SAPは、以下を通じてソーシャルの機能や結節の力における統合を拡充できる。

    ● SAPアプリケーションを一般的なソーシャル・ネットワークと連携できるようにする。

    ● StreamWorkと (特にクラウドやモバイル・ベースの) 各種アプリケーションとの統合を強化する。

    ● StreamWorkのAPI以外に、ソーシャル・アプリケーションを開発するためのクライアント・ツールを提供する。
StreamWorkはソーシャル・コラボレーションと意思決定のツールであり、CRMなどの一部のコラボレーション向けのアプリケーションに統合されてきた。SAPは、ソーシャル・ネットワーキングのためにSuccessFactorsと共にJamを買収したが、SuccessFactorsがSAPクラウド内のほかの製品に統合されるに従って、JamやStreamWorkがSAPの製品/サービスに統合され、モバイルやクラウドをサポートするようになると考えられる。

ソーシャルに対するSAPの注力が限定的であっても、短期的には、SAP製品ミックス内の、ほかの結節の力が持つ強みによって、そのことは表面化しないであろう。しかし、SAPが結節の統合の分野で長期的に競争力を維持したいと望むならば、ソーシャルをほかの製品/サービスに統合する、はるかに強力な戦略が必要である。

ITリーダーへの助言
まだ不完全ではあるが、SAPの戦略はおそらくアプリケーション・インフラストラクチャ市場を揺るがすものとなる。SAPが製品ライン全体で結節の力を統合するにつれて、SAP製品に多くの変化が生じ、顧客に影響を与える。現行または新規のアプリケーションについてSAPを評価する際、ITリーダーは以下を考慮すべきである。
    ● HANAを有効な選択肢と見なす:HANA ArchitectureはSAPによる次世代のアプリケーション戦略の中心であるため、業界に多大な影響を及ぼすと予想すべきである。SAPの既存の顧客は、今後3〜5年以内にSAPのNetWeaverベースのアプリケーションをHANAへ移行する計画を立てる。

    ● 各モバイル製品/サービスの地位を検証する:SAPの製品セットは流動的であるため、統合のロードマップやサポートの保証を要求する。例えば、SAP Mobile Defense & Security 1.6やMobile Direct Store Deliveryアプリケーションは、SAPのレガシーなMobile Infrastructureプラットフォームを基盤としている。

    ● 力の結節の各要素について、プラットフォームの最新ロードマップを知らせるようSAPに要求する:Sycloの統合に少なくとも1〜2年を要することや、Appcelerator、Sencha、Adobeとの提携がまだ初期段階であることを認識しておく。SAPがモバイル戦略の次の段階の実行に着手するとき、ロードマップに大幅な変更があることを予期しておく。例えば、SAPはパートナーに依存せず、自社プラットフォームにjQuery MobileのようなHTMLサポートを加えることになるであろう。


    推奨リサーチ
    ・ 「革新/差別化領域を中心に急拡大するSAPのクラウド・アプリケーション群が日本企業に与える影響」(APP-12-80、2012年8月3日付)
    ・ 「How to Tackle the Challenges of Running a Global SAP Competence Center」
    ・ 「Magic Quadrant for Mobile Consumer Application Platforms」
    ・ 「SAP's Mobile Strategy Will Force Enterprises to Make Complex Choices」
    ・ 「SAP to Buy Into Software as a Service With SuccessFactors Deal」
    ・ 「ペース・レイヤに対応したアプリケーション戦略への着手法」(APP-11-81、2011年8月10日付)

    根拠
    1. 「Choosing the Appropriate Database Management System Platform for SAP」
    2. 「Does the 21st-Century 'Big Data' Warehouse Mean the End of the Enterprise Data Warehouse?」
    3. 「SAP Launches BusinessObjects 4.0」
    4. 「モバイル・アプリケーション開発プラットフォームのマジック・クアドラント」(APP-12-112、2012年10月25日付)
    5. 「SAP to Enhance Mobile Offering With Syclo Buy and New Partnerships」
    6. 「SAP Throws Down the Next-Generation Architecture Gauntlet With HANA」
    7. 「SAP to Buy Into Software as a Service With SuccessFactors Deal」および「SAP to Strengthen Cloud Portfolio With Ariba Acquisition」

    備考1 力の結節
    クラウド、ソーシャル・ネットワーキング、モバイル、インフォメーションの戦略的活用は、それらが結び付くことでコンピューティングの新時代と新たなビジネス・チャンスを生み出す4つの力である。力の結節における各要素は以下のとおりである。

    インフォメーション:質の高いソーシャル・エクスペリエンスとモバイル・エクスペリエンスを届けるコンテキストである。
    モバイル・デバイス:効果的なソーシャル・ネットワーキングと、新しいワーキング・スタイルを実現するプラットフォームである。
    ソーシャル:予想もしない新しい形で、人々をそれぞれの仕事に、また相互に結び付けるものである。
    クラウド:ユーザーとシステムに対してインフォメーションと機能の提供を可能にするものである。

    この4つの力が絡み合うことによって、近代コンピューティングにおけるユーザー主導型のエコシステムが創出される。詳しくは、リサーチノート、INF-12-66、2012年11月20日付「『力の結節』:ソーシャル、モバイル、クラウド、インフォメーション」および「Re-Imagine IT Using Insights From Symposium's Analyst Keynote」を参照されたい。

    (監訳:本好 宏次)

APP: APP-12-67

※本レポートの無断転載を禁じます。

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