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SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

イメージ 2013年の展望:日本におけるストレージとビッグ・データ
インフラストラクチャ (INF)/INF-13-26
Research Note
M. Suzuki
掲載日:2013年4月2日/発行日:2013年3月29日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2013年4月24日(水)・25日(木)・26日(金)に開催する 「ガートナー ITインフラストラクチャ & データセンター サミット 2013 | テクノロジ革新のとき:備え、実践を開始せよ」 のページを是非ご覧ください。
本サミットでは、企業が、「モバイル」、「クラウド」、「ビッグ・データ」といった新たなテクノロジのインパクトを的確に捉え、かつ、これらを適切な時期に導入するために必要なインフラ戦略に関して議論します。
(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)

 

本リサーチノートでは、2013年以降に日本企業のIT部門のリーダーとストレージ責任者が考慮すべきストレージとビッグ・データのトレンドと予測について述べる。

要約

主要な所見

    ● 世界規模でビッグ・データへの注目度は上昇し続けているが、現在の適用範囲がマーケティングや特殊な活用例に限られており、自社には関係ないとする企業が多いのも実情である。

    ● ベンダーが説明するビッグ・データの定義は、収斂する方向にあるものの、市場ではいまだ混乱と誤解が渦巻いている。ユーザーのみならず、ベンダー自身が誤解しているケースも見られる。

    ● フラッシュ・メモリが、ITインフラに及ぼす影響度が高まっている。大容量化と低価格化が進行し、より多くのベンダーが提供するようになった。フラッシュ・メモリの活用は、ストレージ域内にとどまらず、サーバに搭載するフラッシュとミドルウェアにも影響しており、これらすべてを含めて最適化するトレンドが進行している。

推奨事項

    ● ビッグ・データという言葉そのものに振り回されてはならない。その本質とは、ITインフラに関連するテクノロジの著しい進化と取得可能なデータの幅の広がりを、企業の提供する製品やサービスへの付加価値向上、あるいは新しい顧客体験の提供に活用することである。この方向性をIT戦略に盛り込んでいく。

    ● 企業のIT部門は、これまでに増して経営や業務部門との連携を深める必要がある。ITインフラのリーダーはこれを他人事と考えず、インフラ領域で対処が必要となるテクノロジについての情報収集やベンダーとの対話を進める。

    ● フラッシュ・メモリは有効な選択肢になり得ると理解し、必要なアクセス性能への対処、あるいはコスト性能比の改善に向けて選択肢に含める。ただし、あらゆる性能要件に対してフラッシュが効果を有するわけではないため、フラッシュを用いない選択肢も残す。


目次

    戦略的プランニングの仮説事項

    分析
     要旨
     戦略的プランニングの仮説事項


戦略的プランニングの仮説事項

    ● ビッグ・データを単なるバズワードとし、その機会を生かそうとしない日本企業の80%以上は、2016年まで、ITインフラとテクノロジの急速な進化をIT部門のコスト削減にしか生かすことができない。

    ● 2016年までに、ビッグ・データ・プロジェクトに取り組む日本の大企業の数は倍増し、その7割にIT以外の経営・事業部門が参画する。

    ● 2016年までに、企業のシステム向けストレージを自社で購買する日本の大企業の30%が、フラッシュ・メモリを活用しコスト性能比を改善する。


分析

要旨
IT部門のリーダーとストレージの責任者は、ビッグ・データという言葉そのものに振り回されず、その機会と将来に向けたコンセプトを理解し、自社の戦略に反映していくことが必要である。急速な普及を続けるフラッシュ・メモリは、モバイルやビッグ・データを扱う企業が戦略的アプリケーションやデータの活用を進める上で、インフラのコスト構造を変革する新たな武器となる。

戦略的プランニングの仮説事項

ビッグ・データを単なるバズワードとし、その機会を生かそうとしない日本企業の80%以上は、2016年まで、ITインフラとテクノロジの急速な進化をIT部門のコスト削減にしか生かすことができない

分析:鈴木 雅喜

主要な所見:

    ● 企業が自社の製品やサービスへの付加価値を高め、新たな顧客体験をもたらす方向を目指す上で、ITインフラとテクノロジの急速な進化を背景とし、広範なデータを高度に活用していくビッグ・データに向けた活動には、明らかな可能性がある。

    ● 経営や業務部門のみならず、IT部門もビッグ・データの背景や本質を誤解し、諦めているケースはまだある。これは、ベンダー側にも見られる。

    ● 多くの日本企業のIT部門がコスト削減や予算削減の圧力にさらされている。一方、財務、マーケティング部門を除けば、日本企業の業務部門の投資は、まだITに十分向けられていない。

市場への影響:
ビッグ・データは、単に大量のデータ、あるいは特定のデータ種別 (例えば非構造化データ) を指すものではなく、また特定のテクノロジ (例えばHadoop) の活用を前提としたものでもない。データ量、処理速度、データや処理の多様性/複雑性の側面において、これまでとは異なる革新的な情報処理プロセスを用いること、さらにITを経営や業務に生かしていくための活動と深く関連している。ビッグ・データの対象となるデータには、例えば顧客や従業員が生み出すデータや、いわゆるInternet of Things (モノのインターネット) のような地理的に分散したデータ、従来企業が保有しているデータがある。将来に向けてデータ活用の幅が広がっていくシナリオは、部分的にゆっくりとしか進まないが、そのインパクトは企業の競争力に直接影響する。

ビッグ・データの概念は、抽象的かつ相対的でイメージが湧きにくく、ベンダーやメディアも正しくビッグ・データを伝えていない場合がある。それゆえに、多くの企業のIT部門がビッグ・データを誤解し、自社に関係のないものとして受け取ってしまう傾向が見られる。ビッグ・データが示唆する未来へのコンセプトは、テクノロジの進化とデータの多様性、量的な爆発を背景としてITとビジネスをこれまでよりも深く関連付けていくことを目指す本質的なものである。他社の事例をそのまま自社に適用する従来のITの活用パターンにとどまることなく、データの活用方法を見いだしていくプロセスに改めて挑むか否か。ビッグ・データという言葉に振り回され、そのコンセプトまで含めたすべてを切り捨てる方向に進むことは、企業にとってもベンダーにとっても、将来に向けたIT活用の機会の喪失につながる。

推奨事項:

    ● ビッグ・データという言葉が良いかどうかという議論にこだわらず、その背景にある機会とコンセプトを理解し、IT戦略の中に盛り込む。

    ● データの分析について、分析手法を理解し実際に効果を出した経験を有する人材を探索し、有効なベンダーの力を借りながら試行を進める。ITインフラのリーダーは、オープンソースで注目を浴びているソフトウェア (例えばHadoop) の実装例とストレージ部分の堅牢性改善に関する対処についての理解を深める。

    ● ITベンダーは、短期的な自社ビジネス拡大のためだけにビッグ・データという言葉を用いるのではなく、顧客の未来とあるべき姿を共に追求するために、戦略的な見地からビッグ・データのコンセプトを活用する。

    関連リサーチ:
    ・ 「日本におけるITインフラストラクチャとオペレーションのハイプ・サイクル:2012年」(INF-12-79、2012年12月28日付)
    ・ 「『ビッグ・データ』の重要性の定義」(APP-12-94、2012年9月5日付)
    ・ 「欧州の情報管理リーダーが提案するビッグ・データ対策のベスト・プラクティス」(APP-12-73、2012年7月25日付)

2016年までに、ビッグ・データ・プロジェクトに取り組む日本の大企業の数は倍増し、その7割にIT以外の経営・事業部門が参画する

分析:鈴木 雅喜

主要な所見:

    ● ビッグ・データへの取り組みを、企業の製品やサービスに向けた付加価値の創出や効率化、顧客体験の改善を進めるためのものと位置付けた場合、プロジェクトの推進役がIT部門であったとしても、事業部門の参画は極めて重要となる。

    ● 2012年8月にガートナーが日本で行ったユーザー調査では、2割の企業がビッグ・データに取り組んでいるとの結果が出ており、さらに4割の企業が今後取り組みを進める可能性が高いと答えている。

    ● 一方、同じ調査において、およそ半数の企業のIT部門が、ビッグ・データを経営や業務部門に説明する能力が不足していると答えている。

市場への影響:
ビッグ・データは、さまざまな側面から語られている。例えば、これまで実施してきたバッチ処理をHadoopによって高速化する方向や、既に保有している財務データなど比較的小さなデータ群をより複合的に用いて新たな価値を見いだそうとする方向もある。実際、ユーザー調査では、多くの企業のIT部門が社内に保有している既存のデータの集合体をビッグ・データと位置付けようとしている傾向が見られる。これも重要な活動であり、既に組織横断型の企業で対処を進めているケースがある。

一方、既存の枠組みをいったん取り払い、経営視点でデータの活用を見直す方向性を伴うビッグ・データについて考慮した場合、次のような疑問に答えていく必要がある。1) 製品やサービスにどのような付加価値を加えていけるのか。2) 顧客に新しい体験をもたらすには何をすればよいのか。3) いかに競合企業より早く、高い満足度を保って顧客を囲い込めるのか。4) 経営視点や業務視点で何をすべきなのか。これらの質問への回答を見いだすには、既存のデータだけではなく取得可能な新しいデータまで活用することが必要となる可能性が高い。これまでの延長線上で進めるデータ活用のみならず、将来のブレークスルーを狙う自由な議論と小さな試行を進められる環境づくりが必要となっており、この場にはIT部門だけではなく、業務部門の参画が必須である。むしろ経営企画や業務部門がリードしていくべきケースも今後増えていくとみている。

実際の市場に目を向けたとき、ユーザー調査結果はやや楽観的であるといえる。ビッグ・データのプロジェクトに取り組んでいると答えた企業と、これから取り組む可能性が高いと答えた企業を合計すると6割を超える。この回答者の認識と意思がそのまま現実となるのであれば、予測は「倍増」ではなく、「ビッグ・データ・プロジェクトに取り組む日本の大企業の数は3倍となる」とすべきである。しかし、市場全体を見渡すと経営層や業務部門の理解度は高くなく、ビッグ・データの背後にある重要なトレンドを説明することも容易ではない。

ビッグ・データがもたらす市場への影響は、例えばモバイルのように爆発的なものではなく、小さくゆっくりとしたものである。しかし、企業の立場では、着実に進めていかなければ、将来気が付いてみると競合他社に対して大きく立ち遅れているという状況となるリスクがある。経営と事業部門をいかに巻き込むか、小さな成功事例をいかに積み上げていけるかが重要なポイントとなる。

推奨事項:

    ● 企業のIT部門は、経営企画や事業部門との連携がこれまでになく重要になっていると理解し、事例やベンダーの知見/サービスを活用しながらビッグ・データとその目的、トレンドについて説明し、共に機会の探索を開始する。

    ● 事業部門でITに理解があり、組織の中で実行力のある人材を探索し、協業する機会を得る。一度に組織を大きく動かそうとするのではなく、むしろ小さく着実な活動を進める土台をまず構築する。 

    ● ITインフラ部門のリーダーは、インフラ領域への対処に閉じることなく、経営や業務部門のニーズとテクノロジ活用への機会の探索を進める。

    関連リサーチ:
    ・ 「日本におけるITインフラストラクチャとオペレーションのハイプ・サイクル:2012年」(INF-12-79、2012年12月28日付)
    ・ 「『ビッグ・データ』の重要性の定義」(APP-12-94、2012年9月5日付)
    ・ 「欧州の情報管理リーダーが提案するビッグ・データ対策のベスト・プラクティス」(APP-12-73、2012年7月25日付) 

2016年までに、企業のシステム向けストレージを自社で購買する日本の大企業の30%が、フラッシュ・メモリを活用しコスト性能比を改善する

主要な所見:

    ● 企業向けストレージ製品においてフラッシュ・メモリを用いた製品が既に幅広く入手可能となっている。その適用例はハイエンドからミッドレンジまで広がっている。

    ● ストレージに搭載するフラッシュ・メモリの価値訴求は、ストレージ域内の最適化ではなくサーバやアプリケーションを含めたデータ・アクセス性能とコストの最適化を目指すものとなっている。

    ● ストレージ・ベンダーにとってフラッシュに対する対応は戦略上必要不可欠となっている。仮に対応ができないか著しく遅れれば、ベンダーは将来的に市場シェアを失い、事業存続性へのリスクが生まれる。

市場への影響:
不揮発性のフラッシュ・メモリはコンシューマー向けで幅広く普及したのち、その用途を企業向けシステムに広げている。フラッシュ・メモリの寿命や信頼性への問題に対処し、そのパフォーマンスを最適化するためのコントローラとマイクロコードを備え、HDDと同じ形状をしたソリッド・ステート・ドライブ (SSD)、あるいはサーバやストレージ製品のPCIe (Peripheral Component Interconnect Express) スロットに挿入するフラッシュ・メモリ・カードが幅広く入手可能になっている。正しく構成すれば、アクセス性能はHDDの100倍程度にまで達し、データの遅延が少なく、消費電力も小さい。一方、容量単価はHDDに比べ桁違いに高価であること、HDDとその上に積み上げられてきた実績やテクノロジと比べれば、まだ新しいがゆえのリスクも存在する。

現在、フラッシュ・メモリの容量単価は劇的に下がるトレンドが進行している。デバイスの容量単価は2011年までの4年間で2分の1以下となり、2012年からの5年間でさらに5分の1にまで低下する見込みである。その背景には、単一のセルで「0」と「1」の2値のみではなく、多値記録ができるMLC (マルチレベル・セル) 技術が既に広がり始めていることと、他のメモリのように記憶容量が増大するトレンドがあること、さらに用途拡大と出荷数量の増大がもたらすコスト削減が一度に起こっていることがある。今後、市場が広がっていくとともに、ストレージ製品には従来のHDDとフラッシュを混在させ、またサーバ側のフラッシュやメモリを包含した最適化が進行する。こうしたトレンドを生かすことによって、企業はより高性能なアクセス性能をより安価な価格で得ることができるようになる。

推奨事項:

    ● ストレージ製品の導入に際し、必要な性能に対してフラッシュ・メモリを活用するとどうなるか、あるいはフラッシュ・メモリを外した場合どうなるかという両面について確認する。その場合、必ずしもフラッシュを導入した方が有利になるとは限らないことに留意する。

    ● フラッシュ・メモリの活用に際して、新しいストレージ製品の購買は必ずしも必須でないことを理解し、既存のストレージ製品への増設や用途展開を選択肢に含める。

    ● 特に性能が重要となる用途に対して、サーバ側にフラッシュを搭載し、ストレージ製品を含めて最適化する方向が可能か否か確認する。

    関連リサーチ:
    ・ 「日本におけるITインフラストラクチャとオペレーションのハイプ・サイクル:2012年」(INF-12-79、2012年12月28日付)

INF: INF-13-26
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