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2018年3月15日

ガートナー、「2020年末まで、企業はERPを新たなデジタル・コアに転換するために、デジタル・プラットフォームへの投資の50%以上を費やす」との見解を発表

『ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2018』(3月15~16日、東京コンファレンスセンター・品川) において、アプリケーション・リーダー向けの展望と指針を発表

ガートナー ジャパン株式会社 (所在地:東京都港区、代表取締役社長:日高 信彦) は本日、「2020年末まで、企業はERPを新たなデジタル・コアへと転換するために、デジタル・プラットフォームに対する投資の50%以上を費やす」との見解を発表しました。

2013年にガートナーは、安定していたERPの世界が変わり始め、新たな「ポストモダンERP」の時代において、従来のERPスイートは次第に解体され、より連携的で疎結合のERP環境に置き換えられる、と提唱しました。

ポストモダンERPの時代へ突入する際に企業が直面する機会や課題は、デジタル・ビジネスによってさらに増幅しています。企業が俊敏で堅牢なデジタル・コアを実現するためには、CIOがポストモダンERP戦略の策定と実行をリードすることが、これまで以上に重要となっています。デジタル・ビジネスにおいて、ポストモダンERPへの投資は不可欠なものである一方、その中身については慎重に精査すべきである、とガートナーはみています。

ポストモダンERP戦略に関してガートナーが発表した展望には、以下が含まれています。

2020年末まで、企業は既存ERPを新たなデジタル・コアとして刷新したり置き換えたりするために、デジタル・プラットフォームに対する投資の50%以上を費やす

デジタル・トランスフォーメーションには、新しいデジタル・プラットフォームが、また、デジタル・プラットフォームを構築するためには、新しいデジタル・コアが必要となります。そして、そのデジタル・コアの主要素として、安定した信頼できるERPを備えることも重要となります。しかし、過度にカスタマイズされた、時代遅れ (レガシー) で柔軟性を欠いたERPを使用している企業では、急速に変化するビジネス・ニーズに対応できないため、デジタル・プラットフォーム戦略の一環としてコアERPの刷新が必要になります。従来のERP実装のほとんどは革新や俊敏性よりも、統合や標準化を優先してきました。これは、企業がデジタル・ビジネスの課題や機会に即応するための能力を阻害することになりかねません。 

大幅にカスタマイズされた既存のERPの刷新や置き換えには多大なコストがかかるため、企業への影響は計り知れず、そうしたプロジェクトでは、経営層の賛同やエンドユーザーの幅広い関与が必要となります。また、投資を正当化するためには、周到な戦略、計画、予算の策定や、包括的な変更管理に向けて準備することも求められます。一方、ERPベンダーや、そのパートナーであるITサービス・プロバイダーにとっては、顧客のデジタル・ビジネス戦略に沿った、コスト効率に優れた刷新や置き換えを提案し、支援できることが、今後の重要な差別化要素となるでしょう。

2020年までに、パブリック・クラウドに展開される実行系ERPは5%未満にとどまり、オンプレミスERPがクラウドによって一掃されないことが明白になる

多くのITリーダーは、CRM、E-Commerce、旅費・経費管理などの領域で、サービスとしてのソフトウェア (SaaS) が成功したことで、オンプレミスERPに伴う問題を、パブリック・クラウドERPで解決できると期待するようになりました。オンプレミス環境は硬直的で近代化が難しく、正当化しづらい多額のコストを要します。人的資本管理 (HCM) や間接材の調達などではクラウドが成功しており、財務管理でも急速にクラウドが進展しています。しかし、生産管理や販売管理などの実行系ERP領域では、大規模で複雑なオンプレミス環境が、手頃な価格で迅速に導入でき、使いやすい新世代のクラウド・ソリューションにすぐに取って代わられると考えることは誤りです。 

SaaS ERPがERP全体の売り上げに占めるシェアは、2016年の29%から2020年には40%に増加するとガートナーはみています。しかし、実行系ERPのみに着目すると、SaaS ERPのシェアは3%から7%に伸びるにすぎません。2020年まで、実行系ERPの売り上げの74%は、オンプレミス・ソリューションへの支出であり続けると見込まれます。

製造業や資産集約型の企業の多くは、当面、コアの実行系ERP機能をクラウドには移行せず、デジタル・ビジネスの基盤となるように刷新し、安定化させながら、既存のオンプレミスERPを使い続けると、ガートナーでは考えています。しかし、パブリック・クラウドやSaaSのERPソリューションへの移行が数年先になるとしてもスキルの獲得には時間を要するため、ミッション・クリティカルなアプリケーションのクラウド移行に必要となる経験やスキルの蓄積につながる活動については、今すぐ着手することが求められます。

ガートナー ジャパンのバイス プレジデントである本好 宏次は、次のように述べています。「ERPの刷新に当たっては、現行ERPの保守期限ぎりぎりまで、計画や意思決定を先送りしないことが重要です。企業がERPを刷新する際は、クラウドへの移行や製品の置き換えにとどまらず、複数のソリューションの組み合わせも含めて、さまざまな選択肢を検討するとともに、プロジェクト開始に先立ち、不要なカスタマイズはできる限り排除し、合理化を図ることが求められます。また、デジタル・ビジネス戦略に沿ったポストモダンERP戦略や、自社にとってERPが果たす役割を定義し、場合によってはマルチチャネル・コマース、API管理、モノのインターネット (IoT)、人工知能 (AI) といった発展中のテクノロジを、デジタル・プラットフォームの必須要素としてERPと併せてどのように活用するかを明確化することも必要となるでしょう」

上記のERPに加えて、AIとインテリジェントなビジネス・プロセス自動化の新たな役割に焦点を当てたアプリケーション開発 (AD) や、大手ベンダーの市場シェアの拡大に伴って加速するサービスとしてのプラットフォーム (PaaS) の革新に関する最新の予測・見解など、スピードが求められるデジタル・トランスフォーメーションを実現するアプリケーションについての見解には、以下が含まれます。

  • 2022年までに、ADプロジェクトの30%ではホスティングAIサービスを組み込むようになり、独自のAIモデルを構築するプロジェクトは5%未満となる。

  • 2021年末までに、企業の50%に導入される統合PaaS (iPaaS) テクノロジは、統合サービスのビジネス価値を高める人工知能 (AI) 機能を搭載するようになる。

  • 2020年までに、モノのインターネット (IoT) 対応PaaSの購入時に、IoT中心のビジネス・アプリケーションが併せて購入される比率は、今日のわずか25%から75%以上にまで増加する。


関連資料 

本プレスリリースに引用したものを含め、最新の見解の詳細やそれらに基づく推奨事項などについては、下記のリサーチノートをご覧ください。 

「2018年の展望:デジタル・ビジネスに不可欠なポストモダンERPへの投資は慎重に評価すべし」(APP-18-18、2018年2月23日付)

「2018年の展望:アプリケーション開発」(APP-18-16、2018年2月15日付)

「2018年の展望:大手ベンダーが市場シェアを拡大するにつれて加速するPaaSの革新」(APP-18-19、2018年2月23日付)

これらは、下記のWebサイトのサービスをご契約いただいているお客様に提供されています。
http://www.gartner.co.jp/research/jcor/


ガートナーでは2018年3月15~16日、『ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2018』を開催します。本サミットでは、前出の志賀ならびにガートナーの国内外のトップ・アナリストが、デジタル・トランスフォーメーション実現の鍵としての「アプリケーション戦略」と「アプリケーション・アーキテクチャ」を柱に据え、最新の調査結果や事例を基に知見をご提供します。

本サミットの詳細については、下記のWebサイトをご覧ください。
http://www.gartner.co.jp/event/aa/ 


『ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2018』について

ガートナーは本日より、『ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2018』を開催します (2018年3月15~16日)。本サミットでは、前出の本好ならびにガートナーの国内外のトップ・アナリストが、デジタル・トランスフォーメーション実現の鍵として「アプリケーション戦略」と「アプリケーション・アーキテクチャ」を柱に据え、最新の調査結果や事例を基に、知見をご提供します。

本サミットの詳細については下記のWebサイトをご覧ください。
http://www.gartner.co.jp/event/aa/

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