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ガートナー ジャパン株式会社 広報室, 2018年4月5日

ガートナー、ブロックチェーンへの取り組みに関する調査結果を発表 - 40%以上の日本企業は既に何らかの取り組みを開始していることが明らかに

3年以内に取り組む企業は60%程度に達するが、テクノロジとメリットの理解に課題

ガートナー ジャパン株式会社 (所在地:東京都港区、代表取締役社長:日高 信彦) は本日、ブロックチェーンへの取り組み状況に関する調査結果を発表しました。

デジタル・ビジネスの実現に向けた新しいテクノロジ群の中でも、ブロックチェーンは、低コストで信頼性の高いやりとりを可能にしようとする点において、他の新しいテクノロジ、例えば人工知能 (AI)、モノのインターネット (IoT)、先進的なアナリティクスとは性質がまったく異なります。ブロックチェーンは、将来社会を変貌させ、企業活動に大きな影響を及ぼす可能性を秘めていることから、企業によるブロックチェーンの検討が広がっています。

従業員数500人以上の日本企業を対象として2018年2月にガートナーが実施したブロックチェーンへの取り組み状況に関する調査の結果、42.6%の企業が、調査など初期的なものも含め、ブロックチェーンに何らかの形で取り組んでいることが明らかになりました。一方、取り組んでいないと回答した企業は39.4%であり、その他/分からないと回答した企業は17.9%という結果になりました (図1参照)。

ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門バイス プレジデントである鈴木 雅喜は、次のように述べています。

「3年以内にブロックチェーンに取り組む日本企業は、60%程度に達するとガートナーでは予測しています。将来を見通した場合、ブロックチェーンの応用から社会が変化していくことは、ほぼ間違いないとみています」

ガートナーはブロックチェーンに関して、以下の仮説を含む展望リサーチも発表しています。

新しいテクノロジ群の一角を占めるブロックチェーンへの理解や試行を進めようとしないIT部門のほとんどが、2021年までに自社のデジタル・ビジネスに向けた活動をリードできない状況に陥る 

デジタル・ビジネスを進める上では、主要な新しいテクノロジを網羅的に理解することが欠かせません。既に7割を超える日本企業がデジタル・ビジネスに取り組んでいます。IT部門のみではなく、企業戦略を担う部門やビジネス部門も、話題となっている新しいテクノロジの動向に以前に比べて敏感になっています。デジタル・ビジネスを進める上で、テクノロジ・リーダーがブロックチェーンへの取り組みを開始していなければ、ビジネス・リーダーは社内の組織ではなく、ベンダーに頼るでしょう。テクノロジ・リーダーは、デジタル・ビジネスをテクノロジの側面から支援し、リードしていくために、ブロックチェーンの理解を社内に広げ、取り組みを継続的に進めていくことが必要となります。

2023年までに日本企業の3割以上が、海外の大企業もしくはテクノロジに強みを持つグローバル企業が作り上げるブロックチェーンを用いたデジタル・プラットフォームの影響を受けるようになる

ブロックチェーンには、柔軟かつ自由に信頼度の高い効率的なやりとりを可能にする側面があり、ブロックチェーンを用いたデジタル・プラットフォーム (テクノロジを組み合わせた、特定のビジネスに向けたサービス基盤) は国や業界の枠を越えて広がっていく可能性があります。これは、日本企業にとって機会ともいえますが、同時に海外発のブロックチェーンが日本に広がる点では、大きなリスクを生み出す恐れがあります。

近い将来、日本企業の一部は、海外企業主導のブロックチェーンを用いたデジタル・プラットフォーム上でビジネスを進めることになります。こうした新しいデジタル・プラットフォームは、参加する企業側にもメリットをもたらす可能性が高い反面、プラットフォーム作りをリードし運営する側の企業が、運営に伴う利益や、自社を中心に据えたエコシステムの構築、その上でのサービス追加など、さらに大きなメリットを享受することになるとみています。

前出の鈴木はブロックチェーンの状況を踏まえ、次のように述べています。

「ブロックチェーンへの注目度は高いものの、『どう使えばいいのか分からない』『本当に取り組んでいくべきなのか』などの問い合わせもガートナーに多く寄せられています。現在、日本企業はブロックチェーンにどのように取り組むべきか揺らいでいるというのが実情といえるでしょう。多くの企業がブロックチェーンのテクノロジとその特徴やメリットの理解に苦慮している状況を踏まえると、短時間でのキャッチアップは難しく、体験を重ねなければ理解も進みません。まだ多くの部分が未知数とはいえ、ブロックチェーンを無視するのは、すべての企業において危険なことです。企業は、ブロックチェーンへの取り組みを小さくても開始すべきです。まずはブロックチェーンへの理解を社内に広げて、機会/リスク分析を進め、社内外に向けた活用機会を探索していくことが望ましいと考えます」

ガートナーでは2018年4月25~27日、『ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント&データセンター サミット 2018』を開催します。本サミットでは、前出の鈴木ならびにガートナーの国内外のトップ・アナリストが、デジタルがもたらす「破壊」の側面にフォーカスし、ITインフラとオペレーション、さらにはイノベーションの観点から、最新の調査結果や事例を基に知見をご提供します。本リリースの内容については会期中、「ブロックチェーンはどのような未来を生み出すのか」(4月25日12:30~13:15、11B) というセッションで解説します。 

本サミットの詳細については、下記のWebサイトをご覧ください。
http://www.gartner.co.jp/event/dc/ 

 

調査手法

2018年2月にガートナー ジャパンが国内の企業に向けて実施した本調査は、ユーザー企業のITリーダー (主にITインフラに導入する製品/サービスの選定や企画に関して決済/関与する人) を対象としたものです。回答企業の業種は広範にわたり、従業員数500人以上の企業に勤務する515人から回答を得ています。 

本プレスリリースに引用した、最新の見解の詳細やそれらに基づく推奨事項などについては、ガートナーのリサーチノート「2018年の展望:日本におけるブロックチェーンとデジタル・ビジネス」に記載されています。このリサーチノートは、以下のWebサイトのサービスをご契約いただいているお客様に提供されています。
http://www.gartner.co.jp/research/jcor/

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