ガートナー ジャパン株式会社 (所在地:東京都港区、代表取締役社長:日高 信彦) は本日、デジタル・トランスフォーメーションを実現するために必要となる全社員のIT活用力強化に向けた3つの施策を発表しました。
デジタル・トランスフォーメーションの実現には、全社員が自主的かつ積極的にテクノロジを活用することが求められます。そのためには、全社員が電子メール、スケジュール管理、コミュニケーションなど、日常的に接するワークプレースのソリューションを自在に使いこなしていることが前提となります。最も身近な業務にITを駆使できて初めて、組織全体で、より高度なテクノロジによる新たなビジネスモデルの創出やビジネス機会の獲得に取り組むことが可能になります。企業にとっては、組織における「個」の力を高める施策と、「組織」の力を高める施策の両輪で進めることが重要です。
しかし現実には、経営層の関心は、新たなデジタル推進組織の設置やオープン・イノベーションの導入など、組織全体の取り組みに集中しがちで、「個」の力を高める施策が後手に回っているケースが散見されます。これは、ガートナーが先日発表した主要先進国のワークプレースに関する実態調査において、業務用途のデジタル・テクノロジのスキルに関する日本の自己評価が、調査した7カ国の中で最も低い結果であったことからもうかがえます。
さまざまな要因や国民性の違いなどはあるものの、ガートナーは、日本の企業に共通する課題として次の3点を挙げています。
- エンドユーザーが教育されないまま、放置されている。
- 慣れ親しんだIT環境を変えたくないエンドユーザーが存在する。
- そもそも、業務ITが使いにくい。
ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 バイス プレジデント兼最上級アナリストの足立 祐子ならびに同部門 バイス プレジデントの志賀 嘉津士は、これらの課題に対して、調査結果も踏まえて次の3つの施策を提示しています。
IT部門は、ワークプレース・テクノロジに関するエンドユーザー教育を新たなミッションに据える
IT活用力が上がらない第1の理由としては、エンドユーザーのITリテラシの低さが挙げられます。ガートナーの調査では、先進的な技術分野はもとより、ワークプレースにおけるソリューションについても、知識とスキルの習得はエンドユーザー個人やユーザー部門に一任されており、その結果、スキル習得に課題を持つエンドユーザーが放置されているという結果が出ています。ガートナーが2017年12月に日本で実施した調査では、ワークプレースのソリューションについて、企業としての公式な教育機会があるという回答は全体の19.1~23.4%で、大多数は「同じ部門やグループの先輩や同僚が教えている」状況であることが明らかになりました。さらに、ワークプレース・ソリューションのスキル習得に関しては、約5割が個人で「何となく」習得しており、IT担当者に聞きながらの習得は全体の1~3%と、極めて少数派であるという結果になりました (図1参照)。