Newsroom

プレスリリース

2018年10月25日

ガートナー、人工知能 (AI) の推進に関する提言を発表

『Gartner Symposium/ITxpo 2018』 (11月12~14日、港区高輪) において、ITとビジネス課題の解決に向けた最新トレンド・最先端の知見や今後の展望を発表

ガートナー ジャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下 ガートナー) は、人工知能 (AI) の推進に関する提言を発表しました。

2018年にアップデートされたハイプ・サイクルにおいて、AIは「過度な期待」のピーク期の中でも、幻滅期の直前に位置付けられました (図1参照)。 

図1. 人工知能は「過度な期待」のピーク期から幻滅期へ

人工知能は「過度な期待」のピーク期から幻滅期へ

出典:ガートナー (2018年10月) 

ここ数年で、多くの企業がAIを試行しましたが、2018年後半から、一連のブームは去りつつあり、市場ではAIの捉え方が冷静になってきている側面が見られます。

AIは、2019年以降幻滅期に入ると予想されますが、今後も重要なテクノロジであり続けることに変わりありません。幻滅期とは、「これからが本番」という時期であり、このようにステージが変わるということは、企業がAIをより冷静に捉え、これまで以上に戦略的に推進する必要が出てきていることを意味しています。ユーザー企業は、AIのリアリティを適切に捉え、短期的な改善を目指す活用から中長期的で革新的なインパクトの創出までを視野に入れて、その可能性を継続的に探索し、追求することが重要です。

ガートナーでは、ユーザー企業がAIを推進する際には、「改善レベル」と「戦略レベル」の2つのステージがあると考えています。一般企業において、AIの推進の多くは、現場による改善レベルにとどまっていますが、今後、AIがさらに重要なものとなることに鑑み、一般企業であっても、このステージを戦略レベルへと引き上げる必要があります。 

ここで言う改善レベルとは、現場の改善を中心としたAIの推進を意味します。例えば、営業や生産の現場における課題を解決することを狙うものであり、こうしたアプローチを採っている企業は多く見られます。ここ数年ブームとなったチャットボットなどはその一例であると言えます。改善レベルでは、POCを行って終わり、それほどのインパクトが出せなかった、といったケースが散見されます。

一方、戦略レベルとは、企業が中長期の戦略イニシアティブとしてAIを推進することを意味します。戦略であるため、そのリーダーは経営者 (CEO、CIO、CDO、CFOなど) となります。この場合は、AIだけでなく、クラウド、モノのインターネット (IoT)、ブロックチェーン、デジタル・ツインといったさまざまなテクノロジや考え方を総合的に駆使することで、より大きなビジネス・インパクトを狙うことになります。よって、AIはそのイニシアティブの中に吸収される可能性がありますが、それでもAIは1つの大きな柱となります。

昨今、経営者が単に、担当者に「AIの導入を検討せよ」という指示だけを出し、また現場もAIの提案依頼をベンダーやシステム・インテグレーターに丸投げするといったことが散見されますが、ここで言う戦略レベルとはこのようなものではありません。それは、企業が自らの戦略的意思を持って、顧客満足度の向上や、競争優位の確立、企業価値の向上などを狙って実行されるものです。また、AIの本質とリアリティを理解していることを前提に、中長期の観点で自らリスクテイクすることも覚悟の上、推進されるものを指しています。

こうしたことを踏まえ、企業は、AIに関する取り組みを再考する必要があります。

まず、企業はスポット的な改善やアピールを目的としたAIの事例だけではなく、継続的な改善のアプローチを採用すべきです。ここでは、現場だけの短期的な改善ではなく、中長期の継続的改良を前提とした戦略的なアプローチが求められます。また、スポット的な改善のために高価なAIの導入はできないというケースも多いですが、そもそもAIは継続的に学習させることが必須であるため、「1回導入して終わりのプロジェクト」という発想自体が成り立ちません。こうしたことを解消するためにも、ユーザー自身でAIのスキルを身に付けていく必要があります。書籍、座学やオンライン講座など、日本でも機械学習や深層学習を学ぶ機会は増えてきていますが、初心者が一定のスキルを身に付けるためには、相当高いハードルを越えなければなりません。

ガートナー リサーチ&アドバイザリ部門 ディスティングイッシュト バイス プレジデント, アナリストの亦賀 忠明は次のように述べています。 

「これからの時代、テクノロジを駆使できる企業とそうでない企業に分かれます。その結果、10年後のビジネス競争は、今の競争から大きく様変わりするでしょう。今後は、ユーザー企業であっても、AIを『導入する』と捉える時代から、自分たちで必要なAIや、AIを組み込んだサービスを作り提供する時代へと変わります。それを支えるのが、例えば、クラウドから提供されるAIプラットフォームです。企業は、こうしたトレンドにさらに注目し、過去の延長に基づく検討や議論だけではなく、早期に、AI関連の人材投資を加速し、AIを自分で操るスキルを獲得すべく準備を開始する必要があります。そのためには、人事制度や報酬面での見直しが求められ、この場合、人事 (HR) 担当との議論・調整も必要となります。なお、AIはバイモーダルのモード2に属するテクノロジです。モード2は、ダイナミックな変化を前提とする継続的改善というアプローチで臨むべきものです。ここでは、AIプロジェクトということで、これまでのモード1型の大規模プロジェクトのような進め方は必ずしも適切ではないことに注意する必要があります。これから起こり得る最大級のビジネス・インパクトは、デジタル・ディスラプション (破壊) です。このディスラプションに備えるという意味でも、AIをより戦略的に推進することが、多くの企業にとって極めて重要になっていきます」 

ガートナーのサービスをご利用のお客様は、ガートナー・レポート「人工知能:どこからスタートするか」(INF-18-113、2018年7月25日付) で詳細をご覧いただけます。 

『Gartner Symposium/ITxpo』について

ガートナーは来る11月12~14日、『Gartner Symposium/ITxpo 2018』をグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール (港区高輪) にて開催します。ガートナーのセッションでは、CIOをはじめとするITリーダーの最重要課題について、13の主要な領域におけるテクノロジ、戦略、リーダーシップに関する最新トレンドや最先端の知見、洞察を提供いたします。AIに関連した内容は、前出の亦賀が担当する「AIトレンド2019」(12日 14:15~15:00、12A) のほか、他のアナリストが担当する講演でも、さまざまな角度から紹介する予定です。

本シンポジウムの詳細については下記Webサイトをご覧ください。 https://www.gartner.co.jp/symposium

本イベントのニュースと最新情報は、ガートナーのTwitter (https://twitter.com/Gartner_jp) でもご覧いただけます (#GartnerSYM)。 

Gartnerについて

Gartner, Inc. (NYSE: IT) は、経営幹部およびそのチームに対し、実行可能かつ客観的な知見を提供しています。Gartnerの深い専門知識によるガイダンスやツールは、組織のミッション・クリティカルなビジネス課題についてより迅速でスマートな意思決定を下し、より大きな成果を獲得することを可能にします。詳細については下記Webサイトでご覧いただけます。

gartner.com

gartner.co.jp (ガートナージャパン)

報道関係各位からのお問い合わせ先