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2018年11月12日

ガートナー、デジタル・トランスフォーメーションの成功とさらなる進化に向けた新たなアプローチ「ContinuousNext」を提唱

『Gartner Symposium/ITxpo 2018』(11月12~14日、港区高輪) において、アナリストが「ContinuousNext」に向けて5つの必須事項を紹介

ガートナー ジャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下 ガートナー) は、本日より開催している『Gartner Symposium/ITxpo 2018』のオープニング基調講演において、絶えず変化している世界で成功するために、新たに「ContinuousNext」のアプローチを取り入れることを提唱しました。「ContinuousNext」とは、ここ数年ガートナーが紹介してきた概念の進化形ともいえるものであり、デジタル・トランスフォーメーションを推進し、さらにその先へと勢いを強めていく概念です。

「ContinuousNext」戦略を実施する上で、CIOが取り組むべきことは以下の5項目です。 

  • プライバシー
  • 拡張知能 
  • 組織文化 
  • プロダクト管理 
  • デジタル・ツイン  

ガートナーのシニア バイス プレジデントのバル・スライバー (Val Sribar) は本日、『Gartner Symposium/ITxpo』において、CIOをはじめとするITリーダーを前に次のように述べました。「企業や組織は、今こそ変化に適応できる体制を取るべきです。リーダーはケイパビリティと成功に向けた方法を開発し、実行に移す必要があります。これが『ContinuousNext』のアプローチです」

スライバーは続けて次のように述べました。「デジタルへの移行は否定しようがない動きであり、官民の組織における既存の運営モデルを破壊しつつあります。デジタル化がもたらす新しいモデルは、組織による価値の創出・提供・獲得方法を再定義します。CIOとしての在り方も問われることになり、新しいマインドセットと新しいプラクティスがIT部門にも必要となります」

スライバーはさらに次のように続けています。「CEOとCFOの3分の2が、デジタル・トランスフォーメーションの実現に向けて、ビジネスモデルの変革に着手しています。投資家もこの流れを奨励しており、あらゆる製品やサービスにデジタルを組み込むことが、投資家の期待に応えるために必要になっています。データだけが注目された時代は終わりました。現在は、高度なアナリティクスや人工知能 (AI) を駆使してデータをどのように活用するかということに関心が集まっています。リーダーが周囲から抜きん出るためには、創意工夫に富む独自のやり方でテクノロジと情報を生かす必要があり、それこそが差別化につながります。ここで効果を発揮するのが『ContinuousNext』です」

大胆かつ俊敏なテクノロジ導入

ガートナーのデータ・サイエンティストは、成長のために継続的な変化への対応が求められる時代にあって、組織の成功を左右する最も重要な要素が、テクノロジ導入における「大胆さ (dynamism)」にあることを発見しました。意思決定がビジネス部門主導かどうか、またガバナンス・モデルが厳格かどうかといった要素よりも、この「大胆さ」こそが、組織の成功を決定付けています。今や、変化を柔軟に受け入れ、新たな方法でテクノロジを導入する組織的な能力が必要となっているのです。しかし、4分の3以上の組織は、この能力が自社に欠けていると認識しています。スライバーは次のように述べています。「これからは、誰が主導するか、どのようにガバナンスを効かせるかということ以上に、変化に合わせてテクノロジをいかに大胆に導入できるかが問われていきます」

プライバシー

プライバシーに万全を期し、デジタル・テクノロジを介するつながりで信頼を構築することは、「ContinuousNext」を実現する上で喫緊の課題です。CIOがプライバシーをうまく管理できない場合、デジタル・トランスフォーメーションの取り組み全体が危険にさらされることになります。堅固なプライバシー保護が信頼につながり、信頼はパワーとなります。

一方で、最近発生しているセキュリティ侵害によってユーザーからの信頼が損なわれています。多くのユーザーが、利便性以上に、セキュリティ、安全性、安心感を重視するようになっています。その結果、ソーシャル・メディアのアカウント削除やプライバシー設定の更新といった対策を取り始めるユーザーが増えつつあります。 

スライバーは次のように述べています。「CIOは、顧客、市民、従業員に関する機密データを保護する責務を負っています。そのためには、プライバシー管理プログラムを担当する責任者を配置し、セキュリティ侵害を速やかに検知・報告し、個人が自身のデータをコントロールできるようにするといった措置が求められます。セキュリティは取締役会レベルの重大事項ですが、わずか半数の組織しか適切に対応できていません」 

拡張知能

拡張知能は、AIの先へ前進するための次なるステップです。例えば、AIシステムが雇用を減らすという考えが一般に広がっていますが、ガートナーでは、従業員に悪影響が及ぶことはないと考えています。

スライバーは次のように述べています。「高度なAIに基づくシステム、プロセス、ロボティクスと協働することで、従業員はより大きな影響力を発揮できるようになります。現在AIを採用している企業の多くでは、仕事の形態が変わることはあっても、従業員の雇用は維持されています。むしろ、仕事の質や、やりがいが高まっている場合さえあります」 

組織文化 

「ContinuousNext」を実現するには、ダイナミックな組織文化が必要です。しかし、CIOの46%は、組織文化がデジタル・ビジネスの潜在力の実現を阻む最大の障壁になっていると報告しています。ガートナーのアナリストは、組織文化の変革を大規模な取り組みとして実施する必要はなく、また改革は必ずしも難しいものではないと考えています。 

ガートナーのマネージング バイス プレジデントの長嶋 裕里香は次のように述べています。「組織文化の変革を推進するには、小さな取り組みによる変化の積み重ねが必要です。良い意味での文化のハッキングと言い換えることができます。ここで言う『ハッキング』とは、システムに侵入するための脆弱な部分を見つけるという意味ではありません。組織文化において、より影響の出やすい、強めたい部分から、小さく変えることを継続し、広げていくことで、大きな変革に進化させるといったアプローチを取ることを意味します。つまり、見過ごされがちな小さなアクションを実行していくことが、大きなインパクトにつながるということです。こういった文化のハッキングは、感情面の反応も促します。さらに、より早い成果をもたらし、多くの人が同時に認識できるものとなります」

長嶋は、CIOに次のように提言しています。「例えば、決断を早くするための小さなルールを決め、CIO自身が実践していくことで、スピード感を少しずつ上げていくことができます。また、リーダーは、ほかの従業員の取り組みを促すために意思決定の権限を移譲することも有効でしょう。優れたアイデアを出した従業員に『アイデアのCEO』としての役割を任せるべきでしょう」 

デジタル・プロダクト管理 

デジタル・プロダクト管理は、「ContinuousNext」の中核となる必須事項です。CIOはその採用を加速すべきであり、即座に開始しなければ後から追いつくことはできません。ガートナーの2019年CIOアジェンダ・サーベイにおいて、先進企業がプロジェクト中心ではなくプロダクト中心のデリバリを実践している可能性は、ほかの企業に比べて2倍高いことが明らかになっています。

ガートナーのシニア プリンシパル, アナリストの一志 達也は次のように述べています。「デジタル・プロダクト管理とは、ITの運営方法だけでなくビジネスの運営方法を変えることです。現在、最も影響力のある企業は、デジタル・テクノロジをプロダクトに融合させ、新たなマネジメント・プラクティスを生み出しています。例えば、今やAmazonが小売企業かテクノロジ企業かを問う人がいないのは、Amazonが小売りとテクノロジの融合を成功させているためです。同様に、Teslaは自動車業界におけるテクノロジ企業であり、Appleはテクノロジ企業であると同時にヘルスケアにも参入しています。あらゆる業界で、デジタル・テクノロジとプロダクト・イノベーションが不可分になりつつあります」 

一志は、プロダクト・マネージャーがユーザー・エクスペリエンスを設計する上で、デザイン・シンキングとアジャイル手法を適用するようになると述べています。アナリティクスと継続的なインテリジェンスがプロダクトの一貫した進化を後押しし、継続的なDevOpsが毎週 (場合によっては毎日) のようにプロダクトの更新を実現しています。一志は次のように述べています。「そのため、デジタル・プロダクト管理はITプロジェクト管理に置き換わるものとなります」

デジタル・ツイン

デジタル・ツインは、多くの場合、センサやコンピュータ・モデリングを介してジェット・エンジンや風力タービンなどの物理的なモノを管理するために使用されます。しかし、デジタル・ツインは進化し続け、AIを取り込み、「モノ」からさらに適用範囲をひろげています。 

ガートナーのバイス プレジデント, アナリストの鈴木 雅喜は、「組織のデジタル・ツイン (DTO: Digital Twin of an Organization)」の価値と可能性を強調しました。「組織のデジタル・ツイン」を作成することで、経営層は組織内の人、システム、部門間にわたるプロセスの流れとオペレーションを、仮想的なモデルを介して確認できます。 

鈴木は次のように述べています。「組織のデジタル・ツインは、既に社内にあるプロセスやオペレーションのみではなく、社外に広がるエコシステムにも適用されていくでしょう。究極のビジネス・オペレーション最適化を進めていくことになります。何が起こっているかをリアルタイムで把握し、将来の計画策定にもデジタル・ツインのモデルを使用します。こうした組織のデジタル・ツインはガートナーの提唱する『ContinuousNext』に命を吹き込むことになるでしょう」

『Gartner Symposium/ITxpo』について

ガートナーは本日11月12~14日、『Gartner Symposium/ITxpo 2018』をグランドプリンスホ テル新高輪 国際館パミール (港区高輪) にて開催しています。先見性に富むスピーカー、ビジネスの第一線で活躍している多くのCIOおよび企業のリーダー、業界の専門家、テクノロジ・プロバイダーが一堂に会する本シンポジウムでは、未来のITやビジネス戦略へのヒントとなるビジネス課題の解決と業務の効率化を目的としたIT活用法についての幅広い知見が得られます。ガートナーのセッションでは、CIOをはじめとするITリーダーの最重要課題について、13の主要な領域におけるテクノロジ、戦略、リーダーシップに関する最新トレンドや最先端の知見、洞察を提供いたします。

本シンポジウムの詳細については下記Webサイトをご覧ください。 https://www.gartner.co.jp/symposium

本イベントのニュースと最新情報は、ガートナーのTwitter (https://twitter.com/Gartner_jp) でもご覧いただけます (#GartnerSYM)。 

Gartnerについて

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