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2018年4月17日

ガートナー、日本企業のIoT推進に関する調査結果を発表 - 理想と現実のギャップが明らかに

『ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント&データセンター サミット 2018』(4月25~27日、八芳園) において、知見を提供

ガートナー ジャパン株式会社 (所在地:東京都港区、代表取締役社長:日高 信彦) は本日、日本企業によるIoT (モノのインターネット) への取り組みに関して調査結果を発表しました。

国内外で新たなテクノロジに対する関心が高まる中、IoTは人工知能 (AI) と並び大きな注目を集めており、こうした状態は今後数年にわたり続くとみられます。ガートナーは2018年2月、従業員数500人以上の日本企業を対象として、IoTの推進に関する調査を実施しました。その結果、企業はIoTがビジネスに大きな変革をもたらすと期待している一方で、経営者のIoTに対する理解、ビジネスの変革への決断、IoTを推進する人材、テクノロジの成熟度などに懸念を抱いている実態が明らかになりました。

自社のIoT推進体制に関して、慣習やルールを刷新する決断力が足りないと感じているかと尋ねたところ、「そう思う」と回答した企業は調査対象全体の57.7%に上りました。また、IoTの推進体制を確立済みである企業に絞って回答を集計すると、その割合はさらに高くなり、80.3%の企業が決断力の不足を感じている現状が浮き彫りになりました (図1参照)。

また、テクノロジ人材が不足していると回答した割合は、調査対象全体では5割程度であったのに対し、IoTの推進体制を確立済みの企業に絞って集計すると、7割近くに達しました (図2参照)。

今回の結果について、ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門バイス プレジデントである池田 武史は、次のように述べています。

「IoTは、多くの企業がこれまで経験したことのないビジネス・スキームの変革や、新たなテクノロジへのチャレンジとなる、重要な取り組みです。そのため、まずは要員を確保し、経験を積んでから前進しようと考えるものの、人材を十分に集められず、取り組むこと自体に躊躇している企業の現状が、今回の調査結果には映し出されています。また、ビジネス・スキームの変革には、既存のルールや慣習を見直す決断が伴います。そうした選択は、自社内にとどまらず、顧客やパートナーにも影響を及ぼすため、経営者の強い決断力が求められます。今回の結果は、変革を進めようとするものの準備や環境が思うように整わず、IoT推進の理想と現実のギャップに苦慮する日本企業の姿が現れたものです。特に、IoTの推進体制を確立した企業ほど、決断力やテクノロジ人材の不足を痛感している結果が出た点は、興味深いといえます。こうした企業は、十分な環境が整わない中でも一歩を踏み出した企業か、体制は十分に整ったと判断して進んだものの、想定を超えた課題に直面した企業のいずれかでしょう。今回の結果だけでは、2者を判別することはできません。しかし、この結果は、不完全ながらも取り組みを進め、新たな発見を重ねることで現実を深く理解しようとする企業の姿勢を反映したものであるという印象を、ガートナーの顧客やIoTを推進している企業との対話から得ました。未踏のデジタル時代にチャレンジする企業の姿勢を、とても頼もしく感じています」

IoTに関わるテクノロジへの関心と取り組みについて尋ねた結果、実際に検証を始めているテクノロジの上位3つに、「デバイスの内部あるいは環境を把握するセンシング・テクノロジ」「プライバシーを保護するテクノロジ」「デバイスをコントロールする制御テクノロジ」が挙げられました。もっとも全体としては、特定のテクノロジに関心が偏ったり、検討が進んだりしているわけではなく、さまざまなテクノロジが注目され、取り組みが行われている状況が明らかになっています。その一方で、関心はあるものの、テクノロジの成熟度が十分でない、テクノロジを理解している人材がいないといった理由から手を付けられていない企業の割合が、実際に検証を始めている企業の割合の約2倍、もしくはそれ以上に及んでいることも分かりました (図3参照)。

前出の池田は、次のようにも述べています。

「IoTの実現には、さまざまなテクノロジが関連します。センシング、ネットワーク、アナリシス、フィードバックなど、求めるビジネス・シナリオに従って適材適所のテクノロジを選択する必要がありますが、それらのすべてが十分に成熟しているわけではありません。また、必要となるテクノロジに関して、自社、あるいはこれまで付き合ってきたベンダーがすべてを提供できるわけでもありません。さまざまなテクノロジに関心を持ちながらも、テクノロジ自体の成熟度や自社のケイパビリティ不足が問題となり、手を付けられないと回答した企業が目立ちます。IoTを実現するに当たり、あらゆるものを自社のリソースで賄うことを目標にするのは、現実的ではありません。例えばIT業界のテクノロジ人材を積極的に採用し、デジタル変革の推進力を強化するといった選択肢を考慮すべき時代が到来していると考えます」

調査手法
本調査は、国内の特にITインフラストラクチャに関わるマネージャー向けのアンケートを通して、日本におけるさまざまなITのニーズや課題を分析することを目的に実施したものです。有効回答数は515件で、日本全国の従業員数500人以上の企業を対象にしています。回答者は、ITインフラストラクチャ領域において、製品やソリューション、サービスの導入の選定に際し、決裁権がある/関与している、もしくはITインフラストラクチャの戦略に関与している役職を想定しています。 

その他の調査項目や詳細なデータ、推奨事項等については、ガートナー・レポート「サーベイ・アナリシス:国内企業におけるIoT推進の理想と現実」に記載されています。このレポートは、以下のWebサイトのサービスをご契約いただいているお客様に提供されています。
http://www.gartner.co.jp/research/jcor/

ガートナーは来る4月25~27日、『ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント&データセンター サミット 2018』を開催します。本サミットでは、前出の池田をはじめ、ガートナーの国内外のアナリストが、デジタルがもたらす「破壊」の側面にフォーカスし、ITインフラとオペレーション、さらにはイノベージョンの観点から、最新の調査結果や事例を基に知見を提供いたします。本リリースの内容については会期中、「IoTサバイバル:デジタル・ビジネスを実現するために注目すべきテクノロジ」(4月26日 13:15~14:00、22B) というセッションで解説します

本サミットの詳細については下記Webサイトをご覧ください。
http://www.gartner.co.jp/event/dc/

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