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プレスリリース

2018年8月21日

ガートナー、国内企業に対するソフトウェア・ライセンス監査の実施状況を発表

監査を受けた企業の60%強が、追加請求があったと回答

ガートナー ジャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下 ガートナー) は本日、国内のソフトウェア・ユーザー企業に対するライセンス監査の実施状況について、調査結果を発表しました。

国内企業では、SAPやOracle、Microsoftをはじめとするパッケージ・ソフトウェアの利用が拡大しています。こうした中、ソフトウェア・ベンダーによるライセンス監査が国内においても一般化していることが、今回の調査で明らかになりました。ライセンス監査は、ソフトウェア・ベンダーがユーザー企業に対して実施する、ライセンス違反の有無を確認するための取り組みです。調査では、国内のユーザー企業の50%以上がベンダーによる監査への対応経験を持ち、 今後、対応することを想定する企業と合わせると70%弱の企業が、近い将来に監査を経験することになる見込みです (図1参照)。 

図1. 国内ユーザー企業におけるソフトウェア・ライセンス監査への対応状況

出典:ガートナー (2018年8月) 

ガートナー リサーチ&アドバイザリ部門 リサーチ ディレクターの海老名 剛は、今回の結果について次のように述べています。

「国内企業の多くがERPをはじめとするパッケージ・ソフトウェアを利用していますが、大掛かりなライセンス監査に向けた準備が強く意識されたことは少なかったとみています。一方で、パッケージ・ソフトウェアがカバーする業務範囲は拡大し続けています。最初の導入以降に、利用範囲が大幅に広がる場合もあります。IT部門が、さまざまな部門の利用状況を正しく把握する難易度は以前より確実に高まっています。特にグローバルでビジネスを展開するメガベンダーでは、他のベンダーの買収統合により、現在も、機能や対象ユーザーが拡大しています。こうしたベンダーでは、定期的にユーザー企業から利用状況に関する申告を受けるのみでなく、率先して確認に乗り出す姿勢が強まっています。グローバル・ベンダーの監査チームは本国にある場合が多く、北米や欧州などの地域での監査が先行してきましたが、日本企業に対する監査も同様に、一般化しつつあるとみています。現時点でガートナーに寄せられる問い合わせは、グローバル・ベンダーの監査に関するものが多いですが、同じトレンドが日系を含む他ベンダーにおいても、強まる可能性があります。国内のITリーダーは、こうしたトレンドを十分に意識する必要があります」

今回の調査ではさらに、ライセンス監査を受けた企業に対して、監査後のベンダーからの要求についても尋ねました。その結果、監査を受けた企業の60%強が追加の支払いを求められていたことが明らかになりました。本来必要なライセンス数を購入できておらず、追加ライセンスが必要になった、または、現在のライセンスの権限では実行できない処理を実行しており、より権限レベルの高いライセンスが必要であることが明らかになった、といった回答が見られました (図2参照)。

図2. ライセンス監査企業に対するソフトウェア・ベンダーの要求 

出典:ガートナー (2018年8月) 

前出の海老名は次のように述べています。

「ソフトウェアの利用は複雑化しています。単一ベンダーが提供するソフトウェアのみを使うのではなく、他のベンダーのソフトウェアとインテグレーションする、また、アドオン画面経由でアクセスする、ということも一般的です。最近では、IoT (モノのインターネット) やロボティック・プロセス・オートメーション (RPA) といった技術の進展もあり、今後の新規契約や契約更新では、ソフトウェアへのアクセス形態がさらに多様化することが予想されます。こうした中、どういった操作に対し、どのようなライセンスが必要か、ユーザー企業にも混乱が見られます。ソフトウェアの契約時や、日々の運用の中で、自社が所有するライセンスと利用シナリオについて、ソフトウェア・ベンダーとの間にギャップがないよう、詰めておくことが必要です。こうした交渉やコミュニケーションに、国内のユーザー企業は、さらに精通しなければなりません。例えば、契約書において問題になりがちな文言を把握しておくこと、自社が強い交渉力を持つ方法や機会を把握することが大切です」

本プレスリリースに関連する内容は、以下のガートナー・レポートにて詳細をご覧いただけます。 

「ソフトウェア (SAP/Oracle/Microsoft) 契約交渉のリサーチ一覧」(SOR-18-22、2018年7月10日付)

「Microsoftソフトウェア契約:Office 365ライセンスの交渉術」(SOR-18-16、2018年6月5日付)

「SAP/Oracleソフトウェア契約:交渉力を高める秘訣」(SOR-17-31、2017年9月20日付) 

これらは、下記Webサイトのサービスをご契約いただいているお客様に提供されています。 https://www.gartner.co.jp/research/jcor/ 

ガートナーは8月31日、『ガートナー ITソーシング、プロキュアメント&アセット・マネジメント サミット 2018』を開催します。本サミットでは、国内外のアナリストならびにコンサルタントが、デジタル時代のIT人材を中心テーマに据えつつ、IT戦略・投資・組織・ソーシングなどのトピックにおける最新のトレンドや最先端の知見、洞察を提供いたします。当日は、前出の海老名をはじめとしたアナリストが、SAP、Oracle、Microsoftの各ユーザー企業を対象に、ソフトウェア契約交渉について議論するセッションも実施します。 

サミットの詳細については下記Webサイトをご覧ください。 https://www.gartner.co.jp/event/ss/

本サミットのニュースと最新情報は、ガートナーのTwitter (https://twitter.com/Gartner_jp) でもご覧いただけます (#GartnerITSV)。

調査手法 

本Web調査は、日本国内のパッケージ・アプリケーション・ソフトウェアおよびデスクトップ・ソフトウェアのユーザー企業を対象に、2018年4月に実施しました。掲載した調査結果は、SAPユーザー企業 (n=67)、Oracleユーザー企業 (n=65)、SAP/Oracle以外のパッケージ・アプリケーション・ソフトウェア・ユーザー企業 (n=54)、Microsoft Office 365ユーザー企業 (n=89)、Microsoft以外のデスクトップ・ソフトウェア・ユーザー企業 (n=54) からの回答をまとめたものです (有効回答数:209)。 

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