最高データ/アナリティクス責任者 (CDAO) 就任後の100日間のアクション・プラン

CDAOに就任したその日から、ビジネス価値をもたらすための主要な機能として、データ/アナリティクスを確立することに注力する必要があります。

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本eBookでは、最も成功しているCDAOのベスト・プラクティスと、チームのパフォーマンス向上のためのチェックリストをご確認いただけます。

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データから具体的なビジネス価値を提供できるCDAOを目指す

CDAOへの就任理由が昇進、異動、転職のいずれであっても、就任後最初の100日間が、長期的な成功に向けて自身を整えるために重要な期間です。

本ツールキットをダウンロードすると、以下を取得できます。

  • 基本的なアクション・プラン (主要なステークホルダーとの連携からD&Aチームの成熟度評価まで)

  • 目標とそれぞれのイニシアティブの例

  • すぐに開始できるチーム診断

データを用いてミッション・クリティカルな成果を達成するための主なアクション

就任間もなくとも経営幹部としてのアクションを周囲に示すことのできるCDAOは、チーム・マネージャーとして行動するCDAOよりも大きな成功を収めています。就任後最初の100日間におけるアプローチが、望ましい基本姿勢を確立するための決め手となります。

データ/アナリティクス・リーダーとして成功するために、実証済みの4つの優先事項に就任初日から注力する

データ/アナリティクス担当の最高幹部には、最良の成果につながる明確な行動パターンがあります。ガートナーでは、CDAOの成功を、「売り上げ拡大、コスト削減、リスク軽減、サプライチェーン・オペレーションの改善、顧客価値の向上など、測定可能なビジネス成果を着実に達成すること」と定義しています。

長年にわたって調査データをレビューしてきたガートナーの結論は、「最も成功しているCDAOは攻めの姿勢を貫いている」ということです。

データ/アナリティクスへの攻めのアプローチは、データ・ガバナンスとデータ管理のプラクティスが正式に確立されていない場合でも、ビジネス成果を中心に据えて戦略を組み立てることから始まります。そして、CDAOとそのチームには、攻めの戦略を追求する中で、ガバナンスと管理に足りないないものを補うための基準を持つことが求められます。

攻めのアプローチでは最初に、必要なデータ管理とデータ・ガバナンスを含むデータ・プラットフォームを構築することに注力します。それに対し、守りのアプローチを取るCDAOは、プラットフォーム導入後にビジネス価値を生み出すユースケースにばかり焦点を当てます。

守りのアプローチは、コンプライアンス問題、保守関連の負債、データ・ガバナンスやデータ管理の失敗に起因するリスクに直面している組織にとっては正しい選択かもしれません。

これは、金融サービス企業や公的機関でよく見られます。しかし、そうした組織であっても、データ/アナリティクスにおけるイニシアティブの価値を示すことができるように、短期的なビジネス成果を達成するための取り組みを並行して行うべきです。

就任後数カ月以内に、まず以下の4つの優先事項に取り組みます。

  1. CDAOをビジネス・リーダーとして位置付けることにより、CDAOのリーダーシップを確立し、ビジネス・リーダー間で強力な関係を育む

  2. ビジネス成果にフォーカスした優先事項を設定する (売り上げの創出/売り上げへの貢献、カスタマー・エクスペリエンスの向上、プロセスの効率化、その他のROIに優れた機会の開拓など)

  3. 必要なスキルを高め、適切なコラボレーション/データ・ドリブン文化を醸成する

  4. データ・ガバナンスとデータ管理を含む、共通のデータ・プラットフォームを構築する

CDAOは幹部リーダーとしての評価を高めるべき

トップ・クラスの成果を挙げているデータ/アナリティクス・リーダーは、データ/アナリティクスにおけるイニシアティブのポートフォリオを管理/制御するビジネス幹部として活動しています。

ガートナーがCDAOを対象に実施した「2023年CDAOアジェンダ・サーベイ」によると、幹部としての存在感を高めているCDAOは、チーム・リーダーやプログラム・リーダーとして活動しているCDAOよりも成功しています。しかし、幹部として自らを成長させているCDAOは全体の30%に過ぎません (ガートナーの2023年CDAOアジェンダ・サーベイの詳細については、eBook [英語] をダウンロードしてご確認ください)。

有能なデータ/アナリティクス・リーダーが幹部としての評価を高める方法の1つは、ビジネス・リーダーと協力してデータ活用の目標を定め、それに向かって取り組むことです。結果的に、新任のCDAOは関係を築くことから始める必要があるということです。そうした関係は、データ/アナリティクスのイニシアティブに対してステークホルダーを賛同させるのに役立ちます。

さらにCDAOは、自らの組織を主導しなければなりません。これにより、データ/アナリティクスのイニシアティブを実行する力を保持できるようになります。また、中央のデータ/アナリティクス部門が組織全体のデータ/アナリティクス活動にも影響を及ぼすことによって、各拠点のD&Aチームが協力し、一貫した基準と取り組み方法を使用できるようになります。このモデルは、ハイブリッド分散モデルまたは「ハブ・アンド・スポーク」モデルとよく呼ばれます。

多くのCDAOは、責任あるデータ倫理に基づく利用や責任あるAI (人工知能) の推進についても主導権を握っています。そうしたCDAOは、AIやデータについて、リスク面でビジネスに及ぶ影響を考えるだけでなく、社会のデジタル化に積極的に貢献できるテクノロジとして捉えています。

ビジネス成果に基づく戦略を策定することにより、独立採算型のデータ/アナリティクス組織を構築する

現代のD&A戦略は、売り上げの創出、カスタマー・エクスペリエンスの向上、プロセスの効率化、その他のROIに優れた機会の開拓など、ビジネス成果に重点が置かれます。こうしたビジネス成果の達成は、CDAOにとって主要な実績となり、経営幹部、特にCEO、CIO、CFOといったステークホルダーから継続的に賛同を得るのに使用できるようになります。ビジネス価値の高いD&Aのユースケースに優先順位を設定し、それらのビジネス成果を実現し、成功を周知させるというサイクルは、継続的なサイクルとして扱う必要があります。

データ/アナリティクス戦略において優先すべきユースケースを見極めるために、データ/アナリティクスの幹部は、次の3つの基準に焦点を絞るべきです。

  1. ビジネスへの直接的な影響はどの程度になるか。ユースケースの実行コストは、財務的/非財務的に測定可能な観点で、そのユースケースが提供する価値を上回るか確認する。
  2. 重要なステークホルダーが成功に向けて取り組んでいるか。ビジネスへの直接的な影響が大きいユースケースよりも、熱心に取り組まれているユースケースを優先した方が良い場合もある。
  3. 実行を成功させると、それ以外のユースケースの成功にもつながるような影響力があるものか。ビジネスへの影響はそれほどなくても、他のユースケースへの影響力が大きいものを優先した方が良い場合もある。

CDAOが資金を確保する際は、予算へのアプローチよりもビジネスケースへのアプローチを優先すべきです。ビジネスケースへのアプローチでは、価値の創出をベースとする独立採算型のデータ/アナリティクス部門を構築します。それとは対照的に、予算から資金を確保してデータ/アナリティクス部門を構築すると、コストの削減方法について現場で頻繁に話し合うことが必要になります。

ビジネス・プロフェッショナルのデータ・スキルを高めることで、データ/アナリティクスを成功に導く

CDAOとして成功するには、既存のデータ/アナリティクス・プロフェッショナルと広範なビジネス・プロフェッショナルの両者のために、組織行動を変革する取り組みを主導する必要があります。

今後データ/アナリティクス・プロフェッショナルの仕事は、データ結果を提供することから、ビジネス・プロフェッショナル向けにセルフサービスのデータ/アナリティクスを管理/実現することへと重点が移るでしょう。

つまり、データ/アナリティクスのプラットフォームやツールを展開するだけでなく、データ/アナリティクスのエバンジェリストや、データ・リテラシーの向上を担う先生の役割を担う必要もあります。これには、共通のデータ方法論のほか、トレーニング・プログラムや基準を展開することも含まれます。

こうした取り組みの目標は、データ・リテラシーを高めて、スキルやスタッフの不足を打開することです。成功を妨げる障壁のトップ3に、スキルやスタッフの不足を含めているCDAOは39%にのぼります。

ビジネス部門のマネージャー、アナリスト、ナレッジ・ワーカーは、データ・リテラシーのスキル向上を義務として受け入れて対応することが必要になるでしょう。データ/アナリティクスがビジネス・プロセスや意思決定の価値を最大限に高めるためには、それが日常業務の一部になる必要があります。かつてデータ・スチュワードシップを「雑務」と捉えていた経営幹部は、今やそれはビジネス機能に必須の「責務」であると認識を変えなければなりません。その認識を変えるために、CDAOには、新しいスキルの教育、時代遅れの信念体系の見直し、データ・ドリブンな新たな振る舞いの開発を実現するための意識的/計画的/持続的な取り組みを主導することが求められます。

データ/アナリティクス組織の構造は、時間とともに進化し、組織のさまざまな領域に属する多様なプロフェッショナルを含むようになる可能性があります (詳細については、リサーチ「What Are the Essential Roles for Data and Analytics? [英語]」をダウンロードしてご確認ください)。

成熟度が高い組織では、データ・サイエンティストが、CDAOオフィスのほか、中央または分散型の報告経路に関係なく、さまざまなビジネス部門に常駐できます。コラボレーションを重視する組織文化では、ジョブ・ローテーションが標準となっており、データ・サイエンティストは日常的に他のビジネス部門のスタッフとの共同作業に多くの時間を費やしています。

共通のデータ・プラットフォームとプロセスを構築し、ビジネス価値のデリバリを加速させる

共通のデータ・プラットフォームは、ビジネス成果を実現するまでの時間を短縮し、従業員間のコラボレーションを可能にします。ガートナーの2023年CDAOアジェンダ・サーベイでは、回答者の20%が成功を阻害する要因として「不十分なデータ共有」と「アクセス不足」を挙げました。また、64%はデータ管理への投資額を増やす計画があると回答しています。こうした事実は、データ管理、アナリティクス/ビジネス・インテリジェンス、データ・サイエンス/AIの集約に対処し、ビジネス価値をデリバリする基盤を提供するための、共有/アクセス可能なデータ・プラットフォームの必要性について、意見の一致が見られることを示しています。

着手する際には、リサーチ「3 Essentials for Starting and Supporting Master Data Management」で詳細をご確認ください。

データ/アナリティクスのプラットフォームは、以下のバイモーダルなデリバリ・モデルをサポートしている必要があります。

  • バイモーダルのモード1:十分に理解された再現性の高い要件があるコンテキストや変動の少ないコンテキスト向けに、持続性と拡張性の高いデータ/アナリティクス・プラットフォーム・ソリューションやビジネス・アプリケーションを開発する

  • バイモーダルのモード2:調査重視のアプローチを取るイノベーション・ラボにおいて、価値創出の新たな機会を特定することに重点を置いた実験的なソリューションをテストする。2~4週間のアジャイルなスプリントで実施され、サンドボックス環境が含まれる

モード2のアプローチから生まれ、持続性と拡張性の高いソリューションにつながる機会は、モード1の環境へと組み込まれます。

ガートナー データ&
アナリティクス サミット

データとアナリティクスを戦略的に利用することは、組織の競争力の強化に重要であるだけでなく、ビジネスの存続をも左右します。本サミットでは、データと分析がもたらすビジネスへの影響や組織に求められる要件、AI、機械学習、ブロックチェーン、IoTなどの最新テクノロジ・トレンドや企業の文化を変革するために必要なリーダーシップなどについて提言します。

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