ガートナーによる2022年の先進テクノロジ・トレンドから、 インパクトの大きい5つのテクノロジを紹介

2022年1月23日

スマート・スペース、準同型暗号、ジェネレーティブAI、グラフ・テクノロジ、メタバースは、市場全体にディスラプション (破壊) と変革をもたらすでしょう。

空調システムのフィルタが原因でシステムの機能が低下し、フィルタ交換が必要になったことを、建物自体が知らせてくれたら便利だと思いませんか。また、冷暖房を利用状況に応じて調整してくれるとしたらどうでしょうか。現在のシステムでは、建物内の空調を能動的に管理したり、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の感染防止対策に従って人の密集を防いだりといったことまでは対応していません。

スマート・スペースであれば、これらすべてが実行可能です。プロダクト・リーダーは、スマート・スペースへの投資の可能性とともに、その将来的なビジネス機会をどのように取り込むかを検討すべきです。

2022年の先進テクノロジ・トレンドの検知レーダーには、市場に破壊と変革をもたらす可能性が最も高い20の先進テクノロジ・トレンドを挙げています。

今すぐダウンロード (英語):Explore the Emerging Technologies with the Most Potential to Disrupt

2022年の先進テクノロジとトレンドは、以下の4つの主要テーマに集約できます。

  1. スマート・ワールド:人と周りの世界との関わり方を変える。
  2. 生産性革命:AIのコア・テクノロジを基盤とし、コンピューティング能力を拡張する。
  3. ユビキタス性および透明性の高いセキュリティ:デジタル化が一層進む世界を保護することの重要性を浮き彫りにする。
  4. 重大なイネーブラ (実現因子):複数の先進テクノロジ/トレンドを統合し、このイネーブラを適用する市場で、ビジネスのプラクティス/プロセス/手法/モデル/機能を再構築すると、利益を高めるための付加的な力として機能する。

レーダーの見方について簡単にご説明しましょう。円環 (外側に向かって広がる輪) は先進テクノロジ/トレンドの採用までの期間を表しており、「アーリー・アダプター (早期採用者)」から「アーリー・マジョリティ・アダプター (早期多数派採用者)」になるまでの年数を推計しています。先進テクノロジ/トレンドに付いている円 (レーダーの輝点を模している) の大きさと色は、そのテクノロジの質量、つまり、そのテクノロジやトレンドが既存のプロダクトや市場に及ぼすインパクトの実質的な大きさを表しています。

2022年の先進テクノロジ・トレンドの検知レーダー

2022年の先進テクノロジ・トレンドの大半は、アーリー・マジョリティに達するまでに3~8年かかります。これは、今後数年間に大きなイノベーションが起こることを示唆しています。中でも特に注目すべき5つの先進テクノロジ・トレンドをご紹介します。

1. スマート・スペース

  • 市場に浸透するまでの期間:3~6年
  • インパクトの大きさ:大
  • テーマ:スマート・ワールド

スマート・スペースとは、オープン性、接続性、調和、インテリジェンスに優れたエコシステムにおいて、「人」と「テクノロジによって実現されるシステム」がやりとりする物理環境またはデジタル環境です。スマート・スペースは、「スマート・シティ」「デジタル・ワークスペース」「スマートな場所」「アンビエントな (環境に溶け込んだ) インテリジェンス」など、さまざまな名称で呼ばれています。

一般的な用途としては、建物のインフラの予防保全や、道路の通行料金の自動課金などが挙げられます。スマート・スペースは、さまざまな空間 (建物、工場、会場など) において、人同士のやりとりや、意思決定支援システムの制御方法を変えつつあります。

COVID-19は市場におけるスマート・スペースの採用を加速させました。従業員の安全性とソーシャル・ディスタンスの確保が事実上の標準となったためです。スマート・スペースが受け入れられ、IoTなどの新規テクノロジと一緒にレガシー・システムが組み込まれるようになると、対象とする空間において、より調整および接続されたインテリジェントなソリューションを推進できる機会が増えるでしょう。

スマート・スペースは、人やモバイル・トラフィックが監視と管理を必要とする場所であればどこでも、業種を超えて幅広くアピールできるため、インパクトは非常に大きくなります。

詳細を見る (英語):When and How to Turn Your Internal Capabilities Into Revenue-Generating Products

2. ジェネレーティブAI

  • 市場に浸透するまでの期間:6~8年
  • インパクトの大きさ:大
  • テーマ:生産性革命 

ジェネレーティブAIとは、コンテンツやモノについてデータから学習し、それを使用して創造的かつ現実的な、まったく新しいアウトプットを生み出す機械学習手法です。

ジェネレーティブAIの分野は、科学的な発見とテクノロジの商用化の両面で、今後急速に発展していくでしょう。現時点では未来の話ですが、ガートナーでは、新素材の開発やデータ・プライバシー保護など、既に幅広く適用され、成功している事例を確認しています。しかし、ジェネレーティブAIには安全面での懸念があり、ディープフェイクのように悪用されることもあるため、一部の業界で導入が遅れる可能性があります。

ジェネレーティブAIのインパクトが大きい理由としては、ジェネレーティブAI手法の探求が進んでおり、ライフサイエンス、ヘルスケア、製造、材料科学、メディア、エンタテイメント、自動車、航空宇宙、防衛、エネルギーなどの幅広い産業で実証されていることが挙げられます。

詳細を見る:2022年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド

3. 準同型暗号

  • 市場に浸透するまでの期間:3~6年
  • インパクトの大きさ:大
  • テーマ:重大なイネーブラ (実現因子) 

準同型暗号とは、暗号化された結果をデータの所有者に返す暗号方式のことです。基本的に、準同型暗号により、サードパーティはそのデータや結果について何も知ることなく、暗号化されたデータを処理できるようになります。

このテクノロジの採用までに時間がかかる要因は、パフォーマンス問題、標準化の欠如、複雑性など、いくつかあります。準同型暗号の先駆者たちは、このテクノロジの未来がオープン・イノベーションへ投資の役割の拡大につながること、さらに、従来の企業の研究施設における秘密主義やサイロ思考とは相反することを理解しています。

ガートナーは、準同型暗号が、サードパーティによるデータ処理とアナリティクス・プロバイダー間でのデータ/プライバシーを確実に保護する、将来の多くのSaaSプロダクト/サービスの中核テクノロジになると確信しています。現在は、ビジネス・パートナー間、サードパーティの分析企業間、拡張的なデータ・アナリティクス・ソリューション間でのデータ交換/保存が必要ですが、将来的には、これを排除するユースケースが主流になるでしょう。

4. グラフ・テクノロジ

グラフ・テクノロジとは、グラフ・データ管理/アナリティクスのための技法です。このテクノロジ・グループにより、組織、人、トランザクションなど、エンティティ間における関係を探ることが可能になります。リレーションシップ・データの分析には、大量の異種データ、ストレージ、分析が必要になる可能性がありますが、これらはいずれもリレーショナル・データベースには適していません。グラフ・アナリティクスは、データ・ポイント間の「つながり」を判断する複数のモデルで構成されています。

基本的に、グラフ・テクノロジは、さまざまなデータセット間の「つながり」、すなわち関係性を判断するものです。ソーシャル・メディア分析の例を紹介しましょう。具体的には、グラフ・テクノロジにより、想定外のコミュニティ・メンバーによって、さまざまなパスが生じ、それによって行動が広がっている状況を評価することで、ソーシャル・メディア・ネットワーク内のインフルエンサーやコミュニティの特定を強化できます。

グラフ・テクノロジは、潜在的な応用範囲が広いため、アーリー・マジョリティ・アダプターに達するまでに3~6年かかるとみられます。このテクノロジの大部分は、既存のデータ・プラットフォームへの組み込みコンポーネントとして、自社開発あるいは専門ベンダーとの再販契約を通じて統合され、販売されるでしょう。

グラフ・データベースにはグラフ特有の処理言語と機能、拡張性、コンピューティング・パワーが搭載されているため、グラフ・モデルにおける広く多様な視点を保存、操作、分析するのに最適です。

5. メタバース:8年以内のトレンドからは外れるが、注目に値する

もう1つの注目すべきトレンドは、メタバースです。通常リサーチで取り上げる8年という時間枠からは外れていますが、メタバースは、コンピューティング能力を現在よりも桁違いに向上させ、個人や組織が互いに、そして世界とどのようにやりとりするかを根本的に変えるものです。

メタバースとは、インターネット上に構築され、物理空間 (リアル) と仮想空間 (バーチャル) を融合した、フルデジタル化された新たな環境であり、使用される通信プロトコルはまだ確定していません。メタバースは、持続的、分散的、協働的で相互運用可能なデジタル・コンテンツが、物理世界における空間指向のインデックス化されたリアルタイムのコンテンツと交差できるようにします。

メタバースは、インターネットの次の進化段階ですが、既にその発展初期にあります。メタバースへの移行は、アナログからデジタルへの移行と同程度に大きな意味を持つとガートナーでは考えています。

メタバースから得られるベネフィットや機会はすぐに実現できるものではありませんが、すでに出現しているメタバース・ソリューションからは、潜在的なユースケースが明らかになっています。メタバースのエクスペリエンスは、(アプリやWebサイトなどを経由した) 現在のデジタル・インタラクションを全面的に置き換えるとまではいかないまでも、新たなタイプのインタラクションや、新たなユースケースを最適化するビジネスモデルを開拓しながら、その多くを置き換えていく可能性が高いでしょう。

【海外発の Gartner Articles】
本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/

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