前出の松本は次のように述べています。
「デジタル・ビジネスの推進には抵抗勢力が存在します。今回の調査結果では、IT部門が直面する抵抗勢力の筆頭は社長であることが判明しました。IT部門が主導するデジタル・ビジネスの成功のために、IT部門は、役員自らのコミットメントや、具現化に向けて経営サイドを巻き込める環境の構築を目指し、経営/役員層を関与させていくことが肝要です。そのためには、CIOやIT部門のリーダー1人1人が、経営レベルを納得させるビジネス知識や交渉能力を持ち、社長との信頼関係を構築できるようになる必要があります。また、他の部門の抵抗が強い場合は、その部門への対策をしっかりと行うことが重要です。社内の抵抗勢力とどう折り合いをつけていくのかが、今後のデジタル・ビジネス推進の課題でしょう」
ガートナー リサーチ&アドバイザリ部門 バイス プレジデント 兼 最上級アナリストの足立 祐子は、今回の結果について次のように述べています。
「IT人材の不足が、日本企業におけるデジタル・ビジネスの推進を妨げる最大要因であることは、想定範囲内です。しかし、単純な人数不足だけでなく、最新の技術を使いこなせる人材や、企画能力に長けた人材、経営層をはじめとする社内外のステークホルダーと交渉できる人材など、役割に応じたさまざまなタイプの人材と能力の不足が、問題の根を深くしています。この難局を乗り切るためには、IT人材の採用や育成の強化だけでなく、ソーシングと調達能力の向上、IT戦略と予算の考え方や見せ方の変更、CIO個人のリーダーシップの強化など、多角的に切り込むことが重要です」
ガートナーは8月31日、『ガートナー ITソーシング、プロキュアメント&アセット・マネジメント サミット 2018』を開催します。本サミットでは、国内外のアナリストならびにコンサルタントが、デジタル時代のIT人材を中心テーマに据えつつ、IT戦略・投資・組織・ソーシングなどのトピックにおける最新のトレンドや最先端の知見、洞察を提供いたします。
本サミットの詳細については下記Webサイトをご覧ください。 https://gartner-em.jp/ss/
本サミットのニュースと最新情報は、ガートナーのTwitter (https://twitter.com/Gartner_jp) でもご覧いただけます (#GartnerITSV)。
調査手法
本Web調査は、日本全国のITユーザー企業で、ITシステムの構築、導入、保守、運用およびサービス委託先の選定に関与している担当者のみを対象に、2018年5月に実施しました (有効回答数:412)。
ガートナーのサービスをご利用のお客様は、ガートナー・レポート「サーベイ・アナリシス:日本企業が優先するIT施策とITサービスの利用状況 (2018年版)」で詳細をご覧いただけます。