ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下 ガートナー) は、「日本におけるポストモダンERPのハイプ・サイクル」の最新版を発表しました。
現在、国内のERP市場は、新たな変革期を迎えています。1990年代以降に一般的であったオンプレミスのモノリシック (一枚岩的) なERPスイートによるさまざまな業務機能の統合と集約化、つまりERPによるアプリケーションの「近代化」が一段落し、その次を担うERPへの進化が顕著になっています。ガートナーでは、従来の密結合型のERPスイートがカバーしている広範な業務機能をいったん分解した上で、クラウド・アプリケーションを含む複数のアプリケーション群を疎結合で連携するスタイルを採用した新たなERP像を「ポストモダンERP」と呼んでいます。本ハイプ・サイクルでは、日本の関連市場に大きな影響を及ぼすと考えられる主要なキーワード (テクノロジ、サービス、方法論、プラクティス、コンセプトなど) について取り上げ、それぞれの期待度および成熟度 (時間の経過) の関係を相対的に位置付けています。
ガートナーのハイプ・サイクルは、横軸に「時間の経過」、縦軸に「市場からの期待度」を置く2次元の波形曲線で表されています。新しいテクノロジ、サービス、方法論などが登場してから市場に受け入れられるまでは、総じて同じ経過をたどります。まず、市場に登場した直後は期待が急上昇しますが (黎明期)、期待に見合う成果を伴わないまま過熱気味にもてはやされ (「過度な期待」のピーク期)、熱狂が冷めると期待が一気に幻滅に変わり (幻滅期)、それを乗り越えて改めて市場への浸透が進むことで (啓蒙活動期)、成熟したテクノロジとして市場に認知されるに至ります (生産性の安定期)。ハイプ・サイクルは、これら5つの段階で市場の成熟化の過程を示し、各キーワードはそれぞれの成熟度に従い、ハイプ・サイクル上に位置付けられています。ドットの形状や色は、最後の成熟段階である「生産性の安定期」に至るまでに要する期間を表しています。企業のCIOやITリーダーは、本ハイプ・サイクルを活用することによって、適切なテクノロジを最適なタイミングで採用することができます。ERPの導入、更新、刷新を計画している企業は、本ハイプ・サイクルで紹介しているテクノロジやコンセプトが将来的に主流の採用に至る可能性を踏まえ、これらをあらかじめ評価し、自社のERP戦略に織り込む必要があります (図1参照)。