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2020年1月27日

ガートナー、カスタマー・エクスペリエンスに影響をもたらす先進テクノロジ・トレンドのトップ5を発表

「ガートナー カスタマー・エクスペリエンス&テクノロジ サミット 2020」(2月13~14日) において、最新のトレンドと知見を解説

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下ガートナー) は、今後3年間で企業のカスタマー・エクスペリエンス (CX) プロジェクトに大きな影響をもたらす先進テクノロジ・トレンドのトップ5を発表しました。

テクノロジの活用は、CXプロジェクトにおいて今まで以上に重要な要素になりつつあります。企業のCIOやアプリケーション・リーダーは、成熟したCRMのテクノロジに加えて、先進テクノロジが自社のCXをどのように改善できるのかを見極めることが重要です。ガートナーが2019年4月に世界で実施したCXのイノベーションに関する調査 (Customer Experience Innovation Survey) において、今後3年間で企業のCXプロジェクトに大きな影響をもたらす先進テクノロジについて尋ねたところ、人工知能 (AI) が53%と最も多く、次いで仮想顧客アシスタント/チャットボット (39%)、マルチチャネル顧客エンゲージメント (37%) が挙げられました。

ディスティングイッシュト バイス プレジデントのドン・シャイベンライフ (Don Scheibenreif) は次のように述べています。「先進テクノロジはそれ自体がディスラプティブ (破壊的) なテクノロジですが、それと同時に、企業に競争優位性をもたらすテクノロジであることはあまり認識されていません。先進テクノロジのほとんどは、ガートナーのハイプ・サイクル上で『生産性の安定期』に至るまでに5~10年以上かかるとみられています。先進的な企業は、これらのテクノロジが自社のCXに影響をもたらし、CXを改善するものの、利益が出るまでには何年もかかるという前提で実装を進めていくでしょう」

ガートナーが発表したCXに影響をもたらす先進テクノロジ・トレンドのトップ5は、以下のとおりです。これらのテクノロジ・トレンドは相互に関連しており、継続的でアダプティブな未来のCXの先駆けとなるものです。

トレンド1:AI

AIは多様なインテリジェンスと自律性から成る多数のテクノロジで構成されています。ガートナーはAIのテクノロジを大きく3つのタイプに分けています。1つ目は人間のようなエンゲージメントをもたらすシステムであり、コンピュータ・ビジョン、チャットボット/エージェント、自然言語ベースのユーザー・インタフェースが挙げられます。2つ目は自動化と最適化のためのテクノロジであり、自己最適化スマート・マシン、自律走行車、リアルタイム脅威検知システムなどが挙げられます。3つ目は、データ、画像、音声に基づく隠れたシグナルや予測からインサイトを導き出す、ディープ・ニューラル・ネットワークなどの高度なテクノロジです。

企業は、膨大かつ豊富で、増え続けるデータに対応しきれなくなっています。人間のインサイトに加えて、AIテクノロジとアナリティクスのスピードと精度が、未来のCXに求められる継続的なインテリジェンスを提供すると、ガートナーはみています。AIテクノロジは、テキスト、感情、音声、インタラクション、IoT (モノのインターネット)、さらには従来のサーベイ分析を強化し、リアルタイムでの顧客インサイトをもたらすとともに、CXの精度を改善します。

ガートナーは、2023年までに、デジタル・コマースにAIを活用する企業の80%が、顧客満足度、売り上げ、コスト削減のいずれかにおいて少なくとも25%の改善を達成すると予測しています。

トレンド2:仮想顧客アシスタント/チャットボット

仮想顧客アシスタントやチャットボットへの関心が高まっています。ガートナーの2019年CIOアジェンダ・サーベイにおいて、CIOの26%は、自社で使用しているAIベースのメイン・アプリケーションがチャットボットであると回答しています。テキストや音声会話を介したアプリケーションやサービスとのチャット機能は、CXに新しいイノベーションをもたらしています。仮想顧客アシスタントやチャットボットの導入を成功させるには、まず顧客が使用したいユースケースを特定することです。

ガートナーは、2030年までに、顧客サービスに関する10億件のリクエストが企業所有のボットによって自動生成されると予測しています。シャイベンライフは次のように述べています。「仮想顧客アシスタントやボットは、膨大かつ反復的な顧客サービスのリクエストに24時間体制で対応する役割を果たします。将来的には、顧客も気軽なエクスペリエンスを望むようになり、顧客主導での自動化を実現するセルフサービスが標準になるでしょう」

トレンド3:マルチチャネル顧客エンゲージメント

マルチチャネル顧客エンゲージメントは、顧客とやりとりを行うすべてのチャネルとデバイスに対応し、顧客エンゲージメント・ルール、コンテンツ、ワークフローを処理します。顧客とのあらゆるチャネルでのエンゲージメントは、AI機能によって自動化されます。それにより、パーソナライゼーション、高度なアナリティクス、ビデオチャット、共同ブラウジング、モバイル・サポートの利用が促進されます。

2022年までに、顧客サービス応対では、機械学習、チャットボット、モバイル・メッセージング・アプリなどの先進テクノロジが活用され、その割合が2018年の15%から70%にまで伸びると、ガートナーは予測しています。マルチエクスペリエンスは、デバイスやチャネル、場所に関係なく一貫したシームレスなエクスペリエンスを顧客に提供します。マルチチャネルは、企業が顧客に応対する複数のチャネルを意味します。

トレンド4:イベント駆動型アーキテクチャ

イベント駆動型アーキテクチャ (EDA) は、リアルタイムに知覚するデジタル・ビジネスの中核です。企業は、IoTデバイス、モバイル・アプリケーション、エコシステム、ソーシャル・ネットワークやビジネス・ネットワークなどのイベント情報を「聞く」ことで、物理的な世界の「イベント」をデジタル形式で捉えます。例えば、顧客が注文すると、イベントが発生します。EDAベースのシステムでは、ソースによってデジタル・レコードが生成されます。そして、ネットワーク全体に通知され、関連する担当者に認識・処理されます。

2022年までに、顧客エンゲージメント・ハブ・アーキテクチャに取り入れられるリアルタイムのイベント・ストリーミングやストリーミング・アナリティクスは10%超にとどまると、ガートナーは予測しています。

トレンド5:モノのインターネット (IoT)

IoTは、モノ、通信、アプリケーション、データ・アナリティクス、セキュリティ、モニタリング、マネジメント、プロフェッショナル・サービスを含むエコシステムで構成されています。2022年までに、230億のモノがインターネットにつながるようになると、ガートナーはみています。IoTデバイスはさらにインテリジェントになり、家庭や医療施設を含むあらゆる場所で、AI対応システムの能力を潜在的に提供するようになると期待されています。インテリジェントなモノは、進化するにつれて人間の顧客の振る舞いに近づき、人間の代わりに振る舞うようになるでしょう。

CIOやアプリケーション・リーダーは、デジタル社会における未来の顧客を見据えて戦略を策定すべきです。モノが顧客である場合、企業は所有者となる人間のCXを最大化することに注力しなくてはなりません。モノの顧客についてのカスタマー・ジャーニーを作成するには、モノと所有者である人間、ならびに所有者とモノのインタフェースに対処する必要があります。それにより、人間中心に提供してきたCXから、人間とモノに提供されるCXへと変革が進むことになります。

 

ガートナーは来る2020年2月13~14日、東京コンファレンスセンター・品川 (東京都港区) において「ガートナー カスタマー・エクスペリエンス&テクノロジ サミット 2020」を開催します。本サミットでは、「将来のカスタマー・エクスペリエンスに備えよ」をテーマに、CXの施策を実現するための取り組み、主要な新興テクノロジとトレンド、先進企業による事例など、CXに関する知見と洞察を提供します。本プレスリリースに関連した内容は、前出のシャイベンライフが「新たなテクノロジは未来のカスタマー・エクスペリエンスにどう影響するか」(14日 11:30~12:15) で解説します。ニュースや最新情報は、ガートナーのTwitterでもご覧いただけます (#GartnerCX)。

ガートナーのサービスについては、こちらよりご参照ください。
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