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2020年3月27日

ガートナー、未来のアプリケーション像に関する2020年の展望を発表

顧客へのエクスペリエンス提供を軸に、変革を迫られる企業のアプリケーション

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下ガートナー) は、企業のアプリケーションに関する2020年の展望を発表しました。その中では、未来のアプリケーションの方向性として企業が押さえるべき4つの領域 (カスタマー・エクスペリエンス [CX]、開発者のペルソナ、管理系ERP機能のユーザー・エクスペリエンス、アーキテクチャ) に焦点を当て、今後3~5年を見据えて重視すべき動向を取り上げています。

企業のアプリケーションは、大きな変革の時期を迎えています。アナリストでシニア ディレクターの飯島 公彦は次のように述べています。「デジタル・テクノロジをビジネスに適用することに伴う顧客へのパワー・シフトにより、アプリケーションは顧客へのエクスペリエンス提供を軸に据えた変革を迫られています」

変革を具現化する際、最も重要な要因の1つに挙げられるのがエクスペリエンスです。エクスペリエンスは、個々の顧客の行動に対して期待される最善のサービスを、その都度状況に応じて判断し、最適なコミュニケーションを通じて提供することで実現されます。コミュニケーション手段に最適な形で最良のサービスを提供するアプリケーションは、従来のモノリシック (一枚岩的) な構造では実現できません。

コンテキストに応じて変化に素早く対応できる未来のアプリケーションを実現するには、社内/社外、オンプレミス/クラウド、手組み/パッケージといった多様なアプリケーションのソースから、コミュニケーション手段に最適な形で各ビジネス機能を組み合わせる必要がある、とガートナーは考えます。飯島は次のように述べています。「これからは、社内向けアプリケーションであっても、顧客に提供するビジネス価値を考慮する必要があります。しかし、多くの企業ではこの認識が希薄であり、スキル/リソース不足への対処も十分ではありません」

未来のアプリケーションのあるべき姿を目指す上で重要なガートナーの予測は、以下のとおりです。

2023年までに、デジタル・テクノロジによるカスタマー・エクスペリエンスの向上を目指す国内の大企業の80%以上は、既存のアプリケーションやデータの在り方について抜本的な見直しを迫られる

厳しいビジネス環境を切り抜けるための手段として、CXの向上を重視する企業が増えています。CXの強化に向けた基本的な取り組みの多くにおいて、IT部門への当初の影響はそれほど大きくないかもしれません。しかし、より良いエクスペリエンスを提供するためには、顧客からのフィードバックを反映した継続的な改善が必要となります。その一環として、複数システムのリアルタイム連携や、既存ビジネス・プロセスの見直し、システム内のデータを組み合わせて集計・分析できる仕組みなどが求められる可能性があります。

ところが、多くのエンタプライズ・アプリケーションでは、当初の要件から外れた利用方法が想定されていません。そのため、こうした改善を実現しようとすると、大規模な追加開発や運用変更が必要になるだけでなく、多くの時間と労力も要します。CXの向上を戦略的な課題としている企業では、改善案の早期実現を優先するあまり、場当たり的な対応を繰り返すことになり、システムはいっそう複雑化し、変化に対応できる柔軟性はさらに低下します。その結果、CXの向上も限定的になってしまう可能性が高いとガートナーは予測しています。

2023年までに、大企業ではエンドユーザーによるアプリケーション開発 (市民開発) のニーズが高まるが、ガバナンスの仕組みにまで手が回らず、ガバナンスの効いた市民開発を実現できるIT部門は20%にも満たない

昨今、日本企業の間では、システム化されてこなかった業務プロセスの非効率性が問題となっています。その対応策として、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA) による自動化が注目され、導入企業も増えています。しかし、すべての領域にRPAが導入可能なわけではないため、今でも紙やExcelでの作業が中心の領域には、作業を効率化するアプリケーションを導入し、属人化の排除や効率・生産性の向上を目指す必要があります。

それらの領域では、簡易なロー・コード・アプリケーション開発ツールや、Excelで扱うようなデータをデータベース化して処理できるツール類が採用され始めています。こうしたツールを用いて、ユーザー自身がアプリケーションを開発したり、ビジネス部門がシステム・インテグレーターに直接開発を発注したりするケースが増えています。

そのような局面でIT部門に求められる役割は、開発環境・本番環境の準備、所管する業務系アプリケーションとの連携に関する開発時の手続き、実装・運用上のルール設定などであり、ガバナンス業務の責務も増大するとみられます。しかし、IT部門は人材不足や既存業務への対応に手いっぱいで、ビジネス部門主導のアプリケーション開発にガバナンスを効かせることが難しくなります。その結果、属人化したアプリケーションが乱立する状態に陥りかねないことが懸念されます。

2024年までに、大企業の8割は、管理系ERP機能の導入プロジェクトにおける提案依頼書 (RFP) の中でユーザー・エクスペリエンスの改善を最も重要な評価項目の1つに設定するようになる

会計、人事・総務、調達など、ガートナーが管理系ERPと呼んでいる領域に属する業務アプリケーションの導入プロジェクトにおけるRFPでは、機能/非機能要件の充足性、シェアや事例などの実績、価格などの評価に重きが置かれています。個々のエンドユーザーが心地よくアプリケーションを利用できるかどうかというエクスペリエンスは、十分に考慮されないか、あるいは優先度が低くなることが一般的でした。

デジタル・ネイティブな世代が組織の中核を担い、活躍するようになるのに伴い、コンシューマーとして利用しているWebサイトやモバイル・アプリのように、業務アプリケーションに対しても、デバイス間をまたいでシームレスかつ直感的に使え、アップデートを通じて自動的に進化することを求める圧力が強まっていくでしょう。同時に今後の日本では、スクリーン・リーダのようなアクセシビリティ・テクノロジとの連携性など、シニア層の従業員や何らかの障害を抱える従業員へのサポートも求められます。したがって、ガートナーはユーザー・エクスペリエンスが業務アプリケーションにおいてますます重要な課題になると予測しています。

2023年までに、マイクロサービスの適用を検討する企業のうち、アジリティやスケーラビリティをマイクロサービスで実現する必要性をビジネスの観点から説明できる企業は、1割にも満たない

既存アプリケーションでは、ビジネスが変化するスピードや頻度に追従することが難しく、経営者からのデジタル化の要求に応えられない状況が明らかになっています。また、各種のサポートが切れることで、今後のアプリケーションに関する新たな指針の策定を迫られる企業が増えています。こうした企業の間では、変更への柔軟性の向上やデリバリ期間の短縮を重視し、アプリケーション戦略や構築指針にマイクロサービスを検討するケースが増えています。攻めのITを目指す企業が増える中、このような状況は今後もさらに進むと考えられます。

しかし、マイクロサービスを検討する企業の多くには、標準化という考えの下、すべてのアプリケーションにマイクロサービスを適用しようとする傾向が見られます。既存アプリケーションの多くは、ビジネス機能単位ではなく密結合型のモノリシックなスタイルを取っています。このため、リファクタリングによるモジュール分割が容易ではない事例が散見され、多岐にわたる領域で慎重な検討が必要となります。マイクロサービスは、デジタル・ビジネスに必要な俊敏性やスケーラビリティを実現します。しかし、多くの企業では、ビジネスとして何が求められているのかを明確にすることができず、マイクロサービスを適用する正当性を説明できないか、適切な効果が得られない、とガートナーは予測しています。

ガートナーのサービスをご利用のお客様は、ガートナー・レポート「2020年の展望:未来のアプリケーション像を描け」(APP-20-26) で詳細をご覧いただけます。

ガートナーのサービスについては、こちらをご参照ください。
https://www.gartner.com/jp/products

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