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2020年6月24日

ガートナー、2020年のデータ/アナリティクス・テクノロジ・トレンドのトップ10を発表

2024年末までに、75%の組織は、人工知能 (AI) の「試験的な導入」から「運用化」の段階へ移行する

英国エガム発、2020年6月22日 - ガートナーは、2020年のデータとアナリティクスに関するテクノロジ・トレンドのトップ10を発表しました。これは、データ/アナリティクス・リーダーが新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) への対応を舵取りし、パンデミック後の回復や再出発に備える上で役立つものです。

ディスティングイッシュト バイス プレジデントのリタ・サラム (Rita Sallam) は次のように述べています。「COVID-19の影響を乗り越えた後の世界でイノベーションを起こすために、データ/アナリティクス・リーダーは、前例のない市場の変化に対応しつつ、分析処理やデータ活用の高速化と規模の拡大を絶え間なく推進する必要があります。」

データ/アナリティクス・リーダーは、COVID-19のパンデミックからの再出発や回復を加速させるために、データとアナリティクスに関する以下のテクノロジ・トレンドのトップ10を確認すべきです。

トレンド1:より賢く、速く、信頼の置けるAI

2024年末までに、75%の組織がAIを試験的な導入から運用化の段階へと移行させることは、データのストリーミング量とアナリティクス・インフラストラクチャを5倍に増加させる原動力となるでしょう。

現在のパンデミック状況下では、機械学習 (ML) や最適化、自然言語処理 (NLP) といったAIを活用した手法により、感染の広がりや対応策の効果/影響などについて、極めて重要な洞察と予測が得られています。

また、より多様なテクノロジ (強化学習、伝達学習、適応学習など) を用いた、よりスマートな (賢い) AIによって、システムの適応性や柔軟性が向上し、複雑なビジネスの状況にも対処できるようになっています。

トレンド2:ダッシュボードの衰退

これまでの事前に設計されたダッシュボードのように、マウス操作を伴う可視化と探索に代わって、拡張アナリティクスやNLPなどを活用する動的 (ダイナミック) なデータ・ストーリーが用いられるようになるでしょう。それは高度に自動化され、コンシューマー志向のエクスペリエンスを提供し、ユーザーの状況、役割、用途に基づいて、最も関連の深い洞察が、それぞれのユーザーに届けられることを意味します。

トレンド3:意思決定インテリジェンス

2023年までに、大企業の3分の1以上が、意思決定モデリングを含めた意思決定インテリジェンスを実践するアナリストを抱えるようになるでしょう。

意思決定インテリジェンスは、意思決定の管理や支援など、いくつかの専門領域を統合したものです。データ/アナリティクス・リーダーが、ビジネス上の成果や行動の状況に沿って、意思決定モデルとプロセスを設計し、モデル化し、実装し、実行して、監視や調整するのを支援するフレームワークを提供します。

トレンド4:Xアナリティクス

「Xアナリティクス」は、テキスト・アナリティクス、ビデオ・アナリティクス、オーディオ・アナリティクスなどを総称するために、ガートナーが考えた造語です。Xはデータ種別に対する変数のようなもので、ビデオ、オーディオ、テキストなど、構造化されているか否かにかかわらず、さまざまなコンテンツを対象としています。

COVID-19のパンデミック下でAIは、何千本もの研究論文や、報道、ソーシャル・メディアへの投稿、臨床試験のデータを解析してきました。このことは、医療や公衆衛生の専門家が感染の拡大を予測し、医療体制を計画し、新しい治療法を発見し、重症化しやすい人を特定する上で、重要な役割を果たしてきました。Xアナリティクスは、AIのほか、グラフ・アナリティクスなど他の手法と組み合わされ、自然災害をはじめとする将来の危機的状況を特定し、予測し、計画する上で重要な役割を果たすでしょう。

トレンド5:拡張データ管理

拡張データ管理は、運用の最適化と改善を図るために、MLとAIの手法を活用します。また、監査/来歴/レポート作成などに用いられているメタデータを、システムの強化に役立てます。

拡張データ管理プロダクトでは、実行されているクエリ、パフォーマンス・データ、スキーマを含む、運用データの膨大なサンプルを調査します。拡張エンジンはオペレーションをチューニングするだけでなく、現在の使用状況やワークロードを踏まえて、構成やセキュリティ、パフォーマンスを最適化することができます。

トレンド6:クラウドは必然

2022年までに、データとアナリティクスのイノベーションの90%において、パブリック・クラウド・サービスが不可欠になるでしょう。データとアナリティクスがクラウドへと移行する中、データ/アナリティクス・リーダーは依然として、サービスとユースケースを適切に組み合わせることに苦慮しています。これにより、ガバナンスと統合のオーバーヘッドが不必要に増大する事態を招いています。

データとアナリティクスに関する問いは、「特定のサービスにかかるコストはどの程度か」といった価格に関するものから、「ワークロードの性能要件に対応するにはどうしたらよいか」といったものへと変わりつつあります。データ/アナリティクス・リーダーは、コスト最適化に注力しながら、クラウドの能力を生かせるワークロードを優先的にクラウドに移行させる必要があります。

トレンド7:データとアナリティクスの世界が衝突

データとアナリティクスはこれまで、別個の存在と見なされ、そのように管理されてきました。ところが、拡張アナリティクスを活用することによって、エンド・ツー・エンドでワークフローを網羅しようとするベンダーが、これら2つの市場の区切りを曖昧にしています。

データとアナリティクスの領域がぶつかり合うことで、これまで個別に活動していたデータとアナリティクスの職務を担う人々の間で、インタラクションやコラボレーションが増加するでしょう。このことは、提供されるテクノロジや機能にとどまらず、それらを用いる人やプロセスにも影響を及ぼします。そして、役割の範囲も、これまでのデータとアナリティクスの領域にとどまらず、情報探索者や市民開発者などへと多様化していくでしょう。

トレンド8:データの流通や取引市場

2022年までに、大企業の35%が公式のオンライン・データ・マーケットプレースを通じて、データの売り手または買い手になるでしょう。データの市場や取引所は、サードパーティのデータ・オファリングを集約し、サードパーティ・データにかかるコストを削減するための単一のプラットフォームとして機能します。

トレンド9:データとアナリティクスにおけるブロックチェーン

ブロックチェーンのテクノロジは、「情報資産とトランザクションの全来歴の明確化」と「複雑な参加者の相関関係の透明化」という、データとアナリティクスにおける2つの課題に対応します。

Bitcoinとスマート・コントラクトの限定的なユースケース以外では、企業がデータ・ソースの単独監査を行う上で、台帳データベース管理システム (DBMS) が非常に魅力的な選択肢となっていくでしょう。ガートナーでは、2021年までに、パーミッション型ブロックチェーンの用途のほとんどが、台帳DBMS製品に取って代わられると予想しています。

トレンド10:データとアナリティクスの価値基盤を築く関係分析

2023年までに、全世界の組織の30%において、意思決定に役立つ迅速なコンテキスト (文脈) 化をグラフ・テクノロジが支援するようになるでしょう。グラフ・アナリティクスは、組織、人、トランザクションなど、重要なエンティティ間の関係を分析する手法です。データ/アナリティクス・リーダーは、データから未知の関係を見つけ出し、従来のアナリティクスでは分析の難しかったデータを見直せるようになります。

なお、アナリストでディレクターの一志 達也は、データ/アナリティクス・トレンドに関して次のように述べています。「COVID-19の影響によって、日本でも暮らし方や働き方が大きく変化し、同時に、事実を正しく把握することの大切さやデジタルの活用がいかに価値をもたらすかが、広く世間に認識されたのではないでしょうか。AIに代表されるデータとアナリティクス関連の最新テクノロジは、これまでは得られなかったような洞察を効率良く導き出し、デジタルの価値を高める活動へつなげる手助けをしてくれます。ポストコロナ時代のビジネス活動において、その価値を認識し、有効活用できるかどうかは極めて重要です。組織のリーダーは、データとアナリティクスのビジネス価値を再認識し、適切に活用できるよう、戦略的に行動しなければなりません」

ガートナーのサービスをご利用のお客様は、ガートナー・レポート「Top 10 Trends in Data and Analytics, 2020」で詳細をご覧いただけます。

ガートナーのサービスについては、こちらをご参照ください。
https://www.gartner.com/jp/products
 

【海外発プレスリリース】
本資料は、ガートナーが海外で発信したプレスリリースを一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含めガートナーが英文で発表したリリースは、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/en/newsroom/
 

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