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2020年11月17日

ガートナー、組織は不確実な時代においてレジリエンスとアジリティを高めるために、コンポーザビリティを追求すべきという見解を発表

「Gartner IT Symposium/Xpo 2020」 (11月17~19日) において、コンポーザブル・ビジネスのビルディング・ブロックについてアナリストが解説

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下ガートナー) は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミックや他の要因によってビジネスの混乱が続く状況において、企業のレジリエンス (回復力) と持続可能性を高めるために、CIOやITリーダーはコンポーザビリティの発想を適用すべきとの見解を発表しました。

ガートナーでは、コンポーザブル・ビジネスを、レジリエンスの改善にむけてアーキテクチャを設計し、破壊的変化を標準として受け入れるビジネスと定義しています。コンポーザブル・ビジネスは、システム、アプリケーション、人材など企業経営に関わるモノをビジネス機能の粒度で定義 (モジュール化) し、それらを適切に組み合わせる (オーケストレーションする) ことで確実な成果を出せるよう企業を支援します。コンポーザブル・ビジネスを導入した組織は、変化が必要なタイミングを感知 (検出) し、自律的なビジネス部門を生かして、デジタル・テクノロジがもたらすディスラプション (破壊) に創造的に対応することができるようになります。

ガートナーが実施した2021年の取締役向けサーベイでは、企業の取締役会の69%が、継続的な混乱に対処するため、企業のデジタル戦略と実装を加速したいと回答しました。この意味は企業によって異なり、デジタル戦略が初めて現実のものとなった企業もあれば、デジタル投資を急速に拡大した企業もあります。

ディスティングイッシュト バイス プレジデント 兼 チーフ・オブ・リサーチでガートナー フェローのダリル・プラマー (Daryl Plummer) は、次のように述べています。「コンポーザブル・ビジネスは、組織が日々営むデジタル・ビジネスを自然に加速させます。これによって組織は、現在の興味深い状況において求められる、レジリエンスとアジリティ (俊敏性) をようやく実現できるようになります」

本日からバーチャル (オンライン) で開催している「Gartner IT Symposium/Xpo 2020」のオープニング基調講演において、ディスティングイッシュト バイス プレジデントのドン・シャイベンライフ (Don Scheibenreif) は、コンポーザブル・ビジネスは、その基本として3つのビルティング・ブロックを持つと解説しました。すなわち、「創造的な思考が決して失われないようにするコンポーザブル・シンキング」「柔軟性とレジリエンスを確保するコンポーザブル・ビジネス・アーキテクチャ」「現在および未来のためのツールであるコンポーザブル・テクノロジ」です。

シャイベンライフは次のように述べています。「現在の世界が私たちに求めていることは、これまでとは異なります。柔軟で流動的かつ継続的で、場合によっては即興的なコンポージングにより、私たちは前進することができます。したがって、コンポーザブル・ビジネスはかつてないほど重要なのです」

ディスティングイッシュト バイス プレジデントでガートナー フェローのティナ・ヌノ (Tina Nunno) は、次のように述べています。「COVID-19のパンデミックという危機的状況において、大半のCIOは組織の既存のデジタル投資を活用しました。3つのビルティング・ブロックの一部に投資することで、デジタル戦略を加速させたCIOもいました。また多くのCIOは、組織のレジリエンスを確保するため、コンポーザビリティの4つの必須原則のうち、少なくとも1つを適用しました。4つの必須原則とは、『検出によるスピードアップ』『モジュール化によるアジリティの強化』『オーケストレーションによるリーダーシップの向上』『自律によるレジリエンスの実現』です」

4つの原則の捉え方は、組織がどのブロックに取り組んでいるかに応じて異なる可能性があります。

  • コンポーザブル・シンキングでは「設計の原則」として、何をいつつくるかを概念化するために必要なアプローチを導き出します。
  • コンポーザブル・ビジネス・アーキテクチャでは「構造的機能」として、ビジネスのアーキテクチャ設計に利用するメカニズムをもたらします。
  • コンポーザブル・テクノロジでは「プロダクト・デザインの目標」となり、コンポーザビリティの概念を支えるテクノロジ機能を特定します。

前出のプラマーは次のように述べています。「結局のところ、組織に必要なものは、コンポーザビリティを実現するための原則とブロックです」

コンポーザビリティのビルディング・ブロックを使用することで、新しい機会、業界、顧客基盤、または収益源へと素早く方向転換できます。例えば、中国のある大手小売企業は、パンデミック発生時にコンポーザビリティを用いてビジネスのアーキテクチャを再設計しました。同社はコンポーザブル・シンキングのブロックを導入し、ライブ・ストリーミングによる営業活動に方向転換しました。また、ソーシャル・マーケティング・テクノロジを導入し、5,000人を超える店舗営業/カスタマー・サポート・スタッフをライブ・ストリーミングのホストにすることで、雇用を継続しました。これによって従業員を解雇せずに済み、売り上げの損失も最小限に抑えられました。

前出のヌノは次のように述べています。「2020年を通じて、CIOとITリーダーは冷静さを保ち、素晴らしい価値をもたらしてきました。次のステップは、3つのビルディング・ブロックを使用し、4つの原則を適用して、よりコンポーザブルなビジネスを創出することです。組織はコンポーザビリティによって、デジタル化を加速し、レジリエンスを高め、ディスラプションを通じたイノベーションを実現できるようになります」

ディスティングイッシュト バイス プレジデントでガートナー フェローの足立 祐子は次のように述べています。「現場の情報を吸い上げながら素早く意思決定を行い、必要なリソースを必要な場所に配置するコンポーザブル・ビジネスの考え方は、日本企業との親和性も高いと考えられます。コンポーザビリティの概念をシステム、ビジネス・アーキテクチャ、人材、カルチャーなどさまざまな要素に適用していくことが、経営環境の急変に対処しビジネス・チャンスを手にする秘訣です。これは民間企業だけでなく政府官公庁、地方自治体のすべてのCIOが意識すべき、新しい方向性といえます」

ガートナーは本日より3日間 (11月17~19日)、バーチャル (オンライン) で「Gartner IT Symposium/Xpo 2020」を開催しています。Gartner IT Symposium/Xpo 2020は、CIOをはじめとするITリーダーが、自社のリーダーシップ、テクノロジ、経営戦略の各アプローチを改めて見直す場です。複雑で混沌とした状況において、これまでの常識や前提を捨て去り、これからの新たな可能性を追求し、現実的なビジネス課題の解決と、将来にわたる組織の成功に欠かせない知見やアドバイスを提供します。コンファレンスのニュースや最新情報はTwitterでもご覧いただけます (#GartnerSYM)。

ガートナーのサービスについては、こちらをご参照ください。
https://www.gartner.com/jp/products

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