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2022年6月8日

Gartner、日本企業のデジタル・トランスフォーメーションにおけるソーシング動向に関する調査結果を発表

デジタル・トランスフォーメーションを加速させるために、企業はリスクや課題への対策を含めたイン/アウトソーシング戦略を検討すべき

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、日本企業のデジタル・トランスフォーメーションにおけるソーシング動向に関する調査結果を発表しました。

デジタル・トランスフォーメーションの取り組みは進んでいるが、分野により主導する組織が異なる

Gartnerは、2022年4月に国内企業を対象に実施したWeb調査で、予め8つの分野を提示して「デジタル・トランスフォーメーションの取り組み」状況を尋ねました。その結果、すべての分野で、回答企業の過半数以上が取り組んでいる状況が明らかになりました (図1参照)。最も高い割合の取り組みは、「既存ビジネスにおけるコスト削減やオペレーションの効率化」(74%) でした。「既存の商品やサービスの機能や品質の強化」や「既存ビジネスにおける顧客体験価値や付加価値の向上」のほか、関連する「データやITインフラ等の基盤の整備」の取り組みも高い結果になりました。

図1. デジタル・トランスフォーメーションの取り組み

出典:Gartner (2022年6月)

アナリストでシニア プリンシパルの中尾 晃政は次のように述べています。「コロナ禍における業績悪化や、商流/消費者行動の変化を背景に、企業のビジネス変革に対する意識は確実に高まったと言えます。取り組みを主導する組織は、既存の業務システムの改革が必要な分野では、必然的にIT部門が主導して進める企業が多い一方で、新規製品/サービスの開発は、関連する事業部門や、R&D、顧客マーケティング部門などが適宜連携しながら進めていると考えられます」

「新規製品/サービスの開発においては、IT部門を介さずに社外のベンダーやサービスを選定し、活用するシャドーITと言われるようなケースも増えていると考えられます。こうした状況では、社外のベンダー/サービスを適切に選定できないといったリスクも高まるため、ITリーダーが検討すべき課題として大きくなっています。IT部門の立ち位置を明確化し、関連部門との合意形成の下、ベンダー選定や契約、パフォーマンス管理などの側方支援の施策を検討していくことが重要です」

イン/アウトソーシングの実施状況はフェーズによる違いはあるものの、全体的に人材不足を背景に社外のリソースを活用せざるを得ない傾向

本調査では、3つのフェーズ (戦略・企画立案、設計・開発・実装、運用・管理・保守) におけるイン/アウトソーシングの実施状況についても尋ねました。戦略・企画立案は、社内リソースを中心として進めている企業 (「大部分を社内のリソースで対応している」「社内リソース中心だが、社外リソースを部分的に補完目的で活用している」) が約60%に上りました。一方、後工程となるシステムの設計・開発・実装では、「大部分を社外のリソースに委託している」と回答した割合が48%と高い傾向を示しました (図2参照)。

図2. デジタル・トランスフォーメーションにおけるイン/アウトソーシングの状況

出典:Gartner (2022年6月)

中尾は次のように述べています。「関連するスキルを有する人材不足を主な背景として、多くの企業では、上流工程においても社外のリソースを活用せざるを得ない状況であるとみられます。上流工程では、社外リソースを活用することで、外部から新しいアイデアや先端技術などの知見を得られる一方で、社外のスキルに依存してしまい、知見やノウハウが社内に蓄積されないといったリスクがある点に予め留意する必要があります。また、従来よりも、社内リソースとの連携スピードや柔軟性を求められるため、社外のリソースを活用する際は、連携体制の実現性や、ベンダー依存のリスクへの対応策なども併せて検討しておくことが重要です」

なお、本調査では、今後のソーシング方針のほか、デジタル・トランスフォーメーションにおける社外のリソースの選択肢についても調査しました。今後のソーシングの方針は、それぞれの企業の課題や現状のソーシング施策によって異なることがうかがえます。内製化を進める傾向を示した企業では、社外リソースを補完的に活用しつつも、今後は、社内リソースの育成や強化を目指そうとする様子が見受けられます。

中尾は次のように述べています。「こうした企業は、社内リソースを増やし、定着させるために、中核を担う人材の育成/獲得の方針を明確にするとともに、人材が継続的に活躍できる環境の整備など、自走するための具体的な施策を検討する必要があります」

一方、社外のリソースでは、新しいビジネス・アイデアや、新しい技術のノウハウを提供できるベンダーを積極的に開拓している企業の動きもうかがえました。テック・ベンチャーやスタートアップ、異業種/競合する企業、大学や各種研究機関との連携など、多彩なソーシングのオプションの活用も視野に入れている企業も一定数見受けられます。とはいえ、多くの企業にとっては、これまで馴染みのない取り組みであると考えられます。

中尾は次のように補足しています。「社外のリソースを活用する際は、期待する成果が得られないリスクや、選定時の評価、あるいは、委託後のパートナーとの関係性やパフォーマンス管理など、管理、監督体制の対策が必要です。デジタル時代のソーシング戦略では、社内、社外のリソース両面で、それぞれの能力を最大限引き出していくための施策が、これまで以上に重要となっています」

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート「デジタル時代のソーシング戦略:サーベイ結果から見えてきた考慮すべきポイント」で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

調査手法

本Web調査は、2022年4月に実施し、ITユーザー企業で、ITシステムの構築/導入/保守/運用およびサービス委託先の選定に関与している担当者のみを対象にしました。有効回答企業数:400社。なお、調査では、デジタル・トランスフォーメーションを「デジタル技術を用いた既存のビジネスモデルの最適化や新たなビジネスモデルの構築」と定義し、実施しました。

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