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2022年11月1日

Gartner、世界のCIO約2,000人を対象にした調査結果を発表 — CIOは、デジタル投資から価値実現までの時間の短縮を迫られることに

「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」(10月31日~11月2日) において、2023年のCIO/テクノロジ・エグゼクティブのアジェンダを解説

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、開催中の「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」において、世界のCIOとテクノロジ・エグゼクティブを対象に毎年実施している「CIO/テクノロジ・エグゼクティブ・サーベイ」の最新版の結果を発表しました。

Gartnerの調査では、CIOをはじめとするITリーダーが、デジタル投資からの価値実現までの時間を短縮し、企業の売り上げと最終利益の拡大を推進するためのアクションを起こさなければならないことが明らかになりました。Gartnerでは、これを「持続可能な成長のためのIT」と呼んでいます。

Gartnerの「2023年CIO/テクノロジ・エグゼクティブ・サーベイ」では、世界81カ国のあらゆる主要業種に属する2,203人のCIOから回答を得ました。日本からの回答者数は204人でした。回答したCIOとテクノロジ・エグゼクティブが所属する企業の売上高/公的機関の予算の総額はおよそ15兆米ドルであり、IT支出総額は3,220億米ドルに達します。

「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」において、アナリストの藤原恒夫が「2023年のCIO/テクノロジ・エグゼクティブのアジェンダ」について解説しました。

アナリストでバイス プレジデント 兼 ガートナー フェローの藤原 恒夫は、次のように述べています。「CIOにデジタル化への投資から『配当』を期待する声はかつてないほど高まっています。これをどのように実現するのかはCIOの腕次第です」

今回の調査で、CIOがデジタル化の「配当」を実現し、テクノロジ投資が財務に与えるインパクトを実証するための2つの方法が明らかになりました。

適切なデジタル・イニシアティブを優先する

世界のCIOに、過去2年間のデジタル・テクノロジ投資について、経営幹部の目的をランク付けしてもらったところ、「オペレーショナル・エクセレンスの向上 (53%)」と「カスタマー・エクスペリエンス/市民エクスペリエンスの向上 (45%)」がそれぞれ1位、2位でした。これに対して、「売り上げの拡大」が主目的だと回答したのはわずか27%、「コスト効率の向上」は22%でした。

今回の調査では、CIOが将来のテクノロジ計画では引き続き、成長よりも最適化を重視していることが明らかになりました。CIOが2023年に投資を増やす上位の領域は「サイバー・セキュリティ、情報セキュリティ (66%)」「ビジネス・インテリジェンス、データ・アナリティクス (55%)」「クラウド・プラットフォーム (50%)」ですが、「人工知能 (AI)」「ハイパーオートメーション」に投資を増加すると回答したのはそれぞれ32%、24%にとどまっています。

本調査では、組織の95%がデジタル変革のビジョン策定に苦労しており、その原因は概して、さまざまなステークホルダーからの期待事項の対立にあることも明らかになりました。CIOは、目指す「配当」を実現できるよう、評価指標を階層化して示し、関連するデジタル・イニシアティブ全体での相互依存関係を伝達および実証し、サイロ化された複数のイニシアティブを調整する必要があります。

藤原は次のように述べています。「デジタル化のメリット実現を加速させるために必要となる重要な要素は、『相棒』です。例えば、利幅の改善を財務目標としつつ、カスタマー・エクスペリエンスを改善するためのデジタル・イニシアティブに着手するなら、CIOにとって最適な相棒は最高マーケティング責任者 (CMO) でしょう」

CIOは、各デジタル・イニシアティブの部門リーダーにコンタクトを取って、ここで言う「改善」の意味と、改善の程度を測定する方法を理解すべきです。各イニシアティブのテクノロジ成果指標とビジネス成果指標を階層化して示した全体像を作成すると、説明責任の連鎖を特定しやすくなり、目指す「配当」を実現できます。

ビジネス主導のフュージョン (融合) チームにIT人材を提供する

デジタル・イニシアティブの加速には、ビジネス部門のリーダーへの戦略的な関与が必要ですが、本調査から、IT部門が、ソリューションのデリバリは「独力でするもの」というマインドセットを持っていることが明らかになりました。例えば、イノベーション/コラボレーション・ツールの主たる提供者について尋ねたところ、77%のCIOが、IT部門の従業員と回答しました (日本のCIOの回答は70%)。これに対し、IT部門外の従業員と回答したのは18%でした (日本の回答は19%)。

藤原は次のように述べています。「デジタル・デリバリにおけるIT人材への過度な依存の背景には従来型のマインドセットがあります。これは俊敏性の阻害要因になります。CIOは、価値実現までの時間を短縮するために、計画的に民主化されたデジタル・デリバリを取り入れる必要があります。IT部門以外の人材、特にビジネス・テクノロジストが、デジタル化された能力、資産、チャネルを構築するために必要なものを提供し、そのための権限を付与することは、ビジネス目標の早期達成に役立つ可能性があります」

ビジネス領域の専門家、ビジネス・テクノロジスト、IT領域の専門家や開発者が連携する複数のフュージョン・チームにIT人材を提供すると、デジタル・ビジネスの成果の達成に注力したチームの結成が促され、互いに支援する道も開かれます。

多くのCIOは今もなお、デジタル・イニシアティブを加速させるためのIT人材の雇用と定着に苦労しています。しかし、本調査では、テクノロジ系の多数の人材ソースが未開拓であることが判明しました。例えば、技術力の発展のために (インターンシップや大学との連携を通じて) 学生を活用している企業の割合は12%にすぎず、ギグ・ワーカーを活用しているのもわずか23%でした。日本のCIOの回答では、それぞれ3%、15%とさらに低い割合でした。

藤原は次のように述べています。「人材不足は、デジタル化を妨げる最大障壁の1つです。CIOの行動を制約しているのは概して、優先プロバイダーや雇用契約に関連するポリシーです。いつもとは異なる人材ソースの開拓と活用はデジタル化の『配当』の実現の助けになることを、ビジネス部門と人事部門のリーダー層に強調する必要があります」

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、「2023 CIO and Technology Executive Agenda: 4 Actions to Deliver ‘Digital Dividends’」で詳細をご覧いただけます。

10月31日~11月2日に開催している「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」(会場:グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール) では、CIOとITエグゼクティブに、組織を次のレベルへと引き上げるために押さえておくべき将来の方向性、成功に向けた戦略、重要な実行策などの知見を提供しています。コンファレンスのニュースや最新情報はTwitterでご覧いただけます (#GartnerSYM)。

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