2026年3月12日

Gartner、2026年以降のデータ/アナリティクスに関する重要な展望を発表

 

ビジネスおよびテクノロジのインサイトを提供するGartner, Inc.は、2026年以降のデータ/アナリティクス (D&A) に関する重要な展望を発表しました。AIは、リーダーシップ、ガバナンス、人材、市場のダイナミクス、コンテキストの必要性、テキスト・ベースのモデル以外の世界を含むデータ/アナリティクスのあらゆる側面に影響を及ぼします。

ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストのリタ・サラム (Rita Sallam) は次のように述べています。「データと人工知能 (AI) の変化のスピードは非常に速く、毎年がまるでSF小説の新章に足を踏み出すような感覚です。2026年には、人間、機械、組織としての知性の垣根がさらに低くなります。企業はこれまで以上にデータに依存し、AIシステムは人間を単に支援するだけではなく、パートナーとして協働するようになります。これらの展望は、リーダーが今後直面する機会と課題に備えるためのロードマップとなります」

2026年以降のデータ/アナリティクスに関する重要な展望は以下のとおりです。

2027年までに、人材採用プロセスの75%において、職場でのAI習熟度の認定とテストが実施されるようになる

AIイノベーションの急速な進展により、AIを前提とした人材戦略の必要性が高まっています。テクノロジ人材の戦略を刷新できないリーダーは、人間とAIの協働を実現した競合他社に対し、恒久的に後れを取るリスクがあります。

「D&Aリーダーは、AIに対する目標と自社のIT人材の準備状況 (レディネス) のギャップを明らかにするため、厳格でデータ・ドリブンなスキルの評価測定を推進すべきです」(サラム)

2027年末までに、生成AIとAIエージェントの活用は、過去30年間で初めて、主流の生産性向上ツールに本格的に対抗するものとなり、580億ドル規模の市場変動を促す

現在、新しいコンテンツの作成は、白紙の状態から始めるのではなく、膨大な情報を生成AIが多様な方法で合成することから始まることが多くなっています。編集作業も、著者自身が手作業で修正するのではなく、AIが継続的に書き直すことが一般的になっています。

AIの価値がエージェント型AI体験へとシフトするにつれて、オフィス・スイートのような生産性を向上するツールに新たな競争を引き起こし続けます。D&Aリーダーは、新しいユーザー・インタフェース (UI)、プラグイン、ドキュメント・タイプ、フォーマットなど、現代のニーズに合ったツールを求める必要があります。

2029年までに、AIエージェントが物理環境から生成するデータ量は、すべてのデジタルAIアプリケーションを合わせた量の10倍に達する

エージェント型AIアプリケーションは、実世界において活動するさまざまな環境との相互作用を通じて論理的、空間的、マルチエージェント・シナリオにおいて膨大な軌跡データ (行動・状態変化の時系列データ) を生成しています。これによって、AIが周囲の環境や状況を理解し、予測・シミュレーションを行うために内部で構築する世界モデル (World Model) がデータからパターンを学び、正確な予測やシミュレーションを行うための機会が提供されます。

2030年までに、組織の50%がガバナンス・ポリシーや技術標準を機械が検証可能なデータ契約に変換する自律型のAIエージェントを導入し、コンプライアンスとガバナンス・ポリシーの自動執行を実現するようになる
   ※データ契約:システム間で交換するデータのスキーマや利用ルールを定義した取り決め

2030年までに、AIエージェントの導入に失敗するうちの半数は、機能管理やマルチシステム間の相互運用性を実行時に担保するAIガバナンス・プラットフォームの仕組みが不十分であることが原因になると予測されます。短期的には、大規模言語モデル (LLM) を用いたガバナンス不在の意思決定が、企業に財務的損失や評判の低下を招く恐れがあります。

「D&Aリーダーは、まずはリスクの低いワークフロー (テスト用や開発用のデータフロー) で、データ利用申請から承認条件の提示・合意形成と契約締結までの一連のやりとりを自動化するデータ・ガバナンス・エージェントを試験導入すべきです。その際、エージェントが利用ルールや合意形成プロセスを正しく理解して実行できることを、安全な環境で十分に検証する必要があります。また、分析ワークフローも、必ず“評価ステージ”(AIの判断結果を人がチェックする段階) を組み込むように再設計すべきです」(サラム)

2030年までに、従業員1人当たり年間経常収益 (ARR) 200万ドルを達成し、時価総額10億ドル超のユニコーン企業の新たな波が起きる。これらは投資家資本ではなく、極めて高い資本効率と実績に基づくバリュエーション倍率が原動力となる

先進的なAIネイティブのスタートアップ企業は、独自開発のAIで特定の未対応課題を解決し、ワークフローにAIを組み込み、シンプルで直感的なユーザー・エクスペリエンス (UX) を提供することで、前例のない成長効率を実現しています。これにより、迅速な導入や日常的な利用を可能にし、測定可能なビジネス成果をもたらしています。

「すべての業界の既存企業は新たな基準を突きつけられています。D&Aリーダーは、AIファーストのスタートアップ企業から学ぶべきです。彼らは少数精鋭のチームに大きなオーナーシップを持たせ、特定のテクノロジに依存しないフルスタック・エンジニアや最新のAIツールに迅速に適応できるゼネラリストを採用することで、急成長と早期収益化を実現しています。このアプローチにより、企業 (およびチーム) は限られたリソースでも効率的に規模を拡大できるようになります」(サラム)

2030年までに、AIによる差別化に成功している組織の60%は、人間関係スキルを最優先とする経営層が率いるようになる

協力関係を築く力や強い影響力を持つCDAO (最高データ/アナリティクス責任者) は、組織がAI活用における人間主導の戦略的ビジョンの価値を認める中で、CEOを含むより影響力のある経営層の役職へと昇進しています。

2030年までに、ユニバーサル・セマンティック・レイヤは、データ・プラットフォームやサイバーセキュリティと並ぶ重要インフラと見なされるようになる

ユニバーサル・セマンティック・レイヤの構築は、AIを主導または支援するD&Aリーダーにとって必須となります。これにより、精度向上、コスト管理、AI負債の大幅削減、マルチエージェント・システムの整合性確保、高コストな不整合の拡大防止を実現できるからです。D&Aリーダーは、セマンティック・レイヤを不可欠な基盤として予算を確保すべきです。

2028年までに、コンテンツ・リスク管理の役割の50%が、法務およびサイバーセキュリティ部門からAIエンジニアリング部門へ移行し、部門ごとに分断された保証プロセスが抱える固有のリスクに対応するようになる

リスク管理業務は、AIエンジニアリング、データ・サイエンス、ソフトウェア開発のプロセスへとますます統合されつつあります。これらのチームは、コンテンツを知的に生成・管理するシステムを設計し、設計段階で組み込まれたコントロールによってリスク軽減の責任を担うことが求められます。これにより、特にAIモデルがユーザーのコンテキストに基づいて判断を下す必要がある場合でも、倫理的・法的枠組みのもとで迅速かつ責任あるイノベーションが可能となります。

上記展望について、日本でD&A領域を担当しているバイス プレジデント チームマネージャーの一志 達也は、国内の企業向けに次のように補足しています。「日本企業はグローバル先進企業の動きを参考にしつつ、AI導入やデータ・ガバナンス整備を加速する必要があります。特にセマンティック・レイヤ構築やデータ契約の仕組み化は、一度整えれば継続的に効果を生む基盤投資となります。まずは部門横断の小規模パイロットを通じて成果を確認し、その学びを全社展開に活かすことが肝要です。また、人材面ではAIリテラシーとともに、部署や職種を超えて連携を生む“協働推進力”を持つリーダーの育成が重要です。経営層はOJTやワークショップを活用し、次世代の人材戦略を早期に策定・実行すべきです」

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、無料ウェビナー Top Trends in Data and Analytics, 2026 (英語) で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

※本プレスリリースは、グローバルで2026年3月11日 (現地時間) に発表したプレスリリースを基に日本向けに編集しています。原文はこちらを参照ください。

AI における世界的なインサイトを提供するGartner

Gartnerは、組織の経営幹部およびテクノロジ・プロバイダーにとって欠かせないパートナーとして、AI戦略の実行による重要なビジネス課題の解決を支援します。Gartnerのインサイトは独立性と客観性に基づいており、お客様が確信を持って意思決定を行い、AIの可能性を最大限に引き出すことを可能にします。経営層のお客様は、自社におけるAI活用の方向性を見極めるため、Gartner独自のAIツールAskGartnerを活用しています。Gartnerは、2,500名以上のビジネスおよびテクノロジ領域のエキスパートによるインサイト、6,000本を超えるリサーチ、ならびに1,000件以上のAIユースケースおよびケーススタディを有し、AIにおける世界的なインサイトを提供しています。詳細はこちらをご覧ください。

Gartner Data & Analytics Summitについて

Gartnerのアナリストは、2026年に世界で開催されるGartner Data & Analytics Summit (日本は5月19~21日に東京で開催) において、データおよびアナリティクスのトレンドに関するさらなるインサイトを提供します。コンファレンスに関するニュースや最新情報は、XおよびLinkedInで#GartnerDAを使用してご覧いただけます。

Gartner for Data & Analytics Leadersについて

Gartner for Data & Analytics Leadersは、最高データ/アナリティクス責任者 (CDAO) とデータ/アナリティクス・リーダーがD&A戦略とオペレーティング・モデルの実装を加速させてビジネス価値を高めるのに役立つ、実行可能的かつ客観的なインサイトを提供するサービスです。詳細については、https://www.gartner.co.jp/ja/data-analytics/products/gartner-for-cdaos でご確認いただけます。

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