データ/アナリティクスに関する12の注目すべきトレンド

2022年6月5日

適応性の高い人工知能 (AI) システム、データ共有、データ・ファブリックは、データ/アナリティクス (D&A) リーダーが新たな成長、レジリエンス、イノベーションを推進する上で取り入れる必要があるトレンドです。

要約
  • 本記事で紹介するD&Aのトレンドは、変化を予測し、不確実性に対処することを可能にする。
  • 組織にとって最も関連の深いD&Aのトレンドに投資することで、CEOの優先課題である成長への回帰と加速を実現できる。
  • 重要なトレンドをプロアクティブに注視し、実際に試し、そして緊急性と戦略的なビジネス上の優先課題との整合性に基づいて、積極的に投資することを決定する。

ロシアのウクライナ侵攻が始まったことで、終わりの見えない世界的パンデミックに地政学的な危機が加わりました。その結果、2022年は持続的な不確実性と変動性に対処することが、D&Aリーダーにとって重要な焦点になるでしょう。

ガートナーのアナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントのリタ・サラム (Rita Sallam) は、次のように述べています。「今こそ、D&A戦略の価値を予測し、適応させ、拡大するために、緊急性とビジネス上の優先課題との整合性に基づいて、D&Aテクノロジの主要なトレンドを注視し、実際に試し、積極的に投資する時です」 

2022年のデータ/アナリティクス (D&A) のトップ・トレンドは、次の3つのカテゴリに分類されます。

  •  ダイナミズムとダイバーシティの活性化:適応性の高いAIシステムを活用することで、不確実で不安定な市場環境においても、成長とイノベーションを推進する。
  • 人材と意思決定の強化:ビジネス部門によってモジュール型のコンポーネントから構築され、文脈や背景といった関係情報で補強されたコンテキスト・ドリブンなアナリティクスを提供する。
  • 信頼確保の制度化:D&Aから最大の価値を引き出すために、AIのリスクを管理し、分散システム/エッジ環境/先進エコシステムにわたるコネクテッド・ガバナンスを実現する。
2022年のデータ/アナリティクスに関するトップ・トレンド

2022年に注目すべきデータ/アナリティクス (D&A) に関する12のトレンド

ガートナーが特定したD&Aのトレンドは、ビジネス、市場、テクノロジのダイナミクスを表しており、どれも見過ごせないものです。これらのトレンドは、新たな成長、効率性、レジリエンス、イノベーションを推進するための投資を優先順位付けする際にも役立ちます。

トレンド1:適応性の高いAIシステム

意思決定が相互に結び付き、コンテキスト重視で継続的になるにつれて、意思決定のリエンジニアリングがますます重要になっています。変化に素早く適応することで迅速かつ柔軟な意思決定を可能にする適応性の高いAIシステムを利用すれば、それを実現することができます。

しかし、適応性の高いAIシステムを構築/管理するためには、AIエンジニアリングのプラクティスを取り入れる必要があります。AIエンジニアリングは、ディスラプション (混乱) に適応/抵抗、あるいはディスラプションを緩和すべくアプリケーションのオーケストレーションや最適化を行うため、適応性の高いシステムの管理を容易にします。

今すぐダウンロード:未来の意思決定とは

トレンド2:データ・セントリックAI

多くの組織が、AI特有のデータ管理の問題を考慮することなく、AIに取り組もうとしています。前出のサラムは、「適切なデータがないままでのAIの構築はリスクが高く、危険を招く可能性もあります」と述べています。そのため、「データ・セントリックAI」と「AIセントリック・データ」を正式に規定することが重要となります。そうすることによって、例えば、自動データ統合やアクティブ・メタデータ管理におけるデータ・ファブリックの活用など、データ管理戦略の一環として、より体系的にデータの偏り、多様性、ラベル付けに対処できるようになります。

トレンド3:メタデータ駆動型のデータ・ファブリック

データ・ファブリックは、メタデータを傾聴し、学習し、動作します。人やシステムに対してフラグを立て、アクションを推奨します。最終的には、組織内のデータの信頼性向上と利用の効率化を実現させ、設計、展開、運用など、さまざまなデータ管理作業を70%削減できるようになります。

例えば、フィンランドのトゥルク市では、データの不備によってイノベーションが阻害されていることが明らかになりました。そこで、断片化されたデータ資産を統合し、再利用することで、市場投入までの時間を3分の2に短縮し、収益化可能なデータ・ファブリックの構築に成功しました。

詳細を見る (英語):Your Ultimate Guide to Data and Analytics

トレンド4:あらゆるデータの共有

D&Aリーダーの多くは、データ共有がデジタル・トランスフォーメーションにおける重要な能力であることを認識していますが、データを大規模かつ信頼できる形で共有するノウハウが不足しているのが現状です。

データ共有を推進し、ビジネスケースに適合したデータへのアクセスを増大させるには、事業や業界の枠を超えたコラボレーションが必要です。そうすることで、データ共有のための予算権限と投資の拡大への賛同を得ることができます。上記に加え、社内外の異種混在型データ・ソース間でデータを共有するための単一アーキテクチャを実現するデータ・ファブリック設計の採用も検討する必要があります。

トレンド5:コンテキストで補強された分析

コンテキストで補強された分析の基盤となっているのは、グラフ・テクノロジです。ユーザーの状況やニーズに関する情報がグラフで保持され、データ・ポイントそのものとデータ・ポイント間の関係性を用いて分析を深めることが可能となります。類似点、制約、パス、コミュニティに基づいて、コンテキストを特定し、より詳細なコンテキストを作成できます。

コンテキスト・データの取得、保管、利用には、データ・パイプラインの構築、Xアナリティクスの手法、さまざまなデータ・タイプを処理できるAIクラウド・サービスなどの能力とスキルが必要です。2025年までに、従来のデータに基づいて構築された既存モデルの60%は、コンテキスト・ドリブンなアナリティクスとAIモデルに置き換わるでしょう。

トレンド6:ビジネス・コンポーズド D&A (データ/アナリティクス)

ガートナーは、D&Aに対するモジュール型アプローチ、すなわち「コンポーザブルD&A」を提唱しています。ビジネス・コンポーズドD&Aは、このアプローチを基盤としたものですが、その焦点はITからビジネスへと、人中心に移っています。

ビジネス・コンポーズドD&Aを活用することで、ビジネス・ユーザーやビジネス・テクノロジストはビジネス主導のD&A機能を共同で構築できるようになります。

詳細を見る (英語):Everything You Need to Know About Artificial Intelligence

トレンド7:意思決定に重点を置いたデータ/アナリティクス (D&A)

意思決定がどのように下されるべきかを慎重に検討する意思決定インテリジェンスは、組織がD&A機能への投資を再考する要因となっています。最適な意思決定を設計し、必要なインプットを提供するために、意思決定インテリジェンスを活用できます。

2023年までに、大企業の3分の1以上が、意思決定モデリングを含めた意思決定インテリジェンスを実践するアナリストを抱えるようになるとガートナーはみています。

トレンド8:スキルとリテラシーの不足

D&Aリーダーはチーム内に人材を確保して、測定可能な成果を得る必要があります。しかし、バーチャル・ワークプレースや人材獲得競争の激化により、従業員のデータ・リテラシー (置かれた環境や状況の中で、データを読み、書き、伝える能力) 不足が深刻化しています。

2025年末まで、大多数の最高データ責任者 (CDO) は、データ・ドリブンなビジネスの戦略的目標を達成するために必要な人材のデータ・リテラシーを向上できないままになるとガートナーではみています。

データ・リテラシーの向上と従業員のスキルアップのための投資コストは絶えず上昇しているため、従業員が離職する場合にコストを回収する「クローバック」条項、つまり「返済」条項を、新規採用者との契約に含めることを検討する必要があります。

トレンド9:コネクテッド・ガバナンス

組織が必要としているのは、運用に関する既存の課題に対処するだけでなく、柔軟性と拡張性を持ち、変化する市場ダイナミクスや戦略的な組織の課題に対して迅速に対応可能な、あらゆるレベルでの効果的なガバナンスです。

しかし、今回のパンデミックをきっかけに、ビジネスモデルの俊敏性を実現するためには、部門横断型の強力なコラボレーションと組織構造の変更に対する積極的な姿勢が急務であることが、これまで以上に浮き彫りになっています。

コネクテッド・ガバナンスを活用することで、ビジネス部門や地域を超えたバーチャルなD&Aガバナンス層を確立し、企業横断型の望ましいビジネス成果を達成することが可能となります。

ガートナーのエキスパートによるWebinarを視聴する (英語):How to Build a Comprehensive Data & Analytics Governance Framework

トレンド10:AIのリスク管理

企業がAIの信頼、リスク、セキュリティ・マネジメント (AI TRiSM) のサポートに時間とリソースを費やすことができれば、AIの導入、ビジネス目標の達成、社内外のユーザーの受け入れという点で、AIの成果が向上するでしょう。

2026年までに、信頼できる目的志向のAIを開発する組織では、AIイノベーションの75%以上で成功を収めるが、開発しない組織では40%にとどまるとガートナーでは予測しています。

AI TRiSMへの注目が高まることで、制御され安定した方法でのAIモデルの実装と運用が可能になります。また、ガートナーでは、AIの失敗 (完了できなかったAIプロジェクトを含む) は大幅に減少し、意図しない結果やマイナスの結果も減ると見込んでいます。

トレンド11:ベンダーと地域のエコシステム

現地のデータ・セキュリティに関する法律を遵守するために、多くのグローバル企業が地域ごとのD&Aエコシステムを構築しています。この傾向は、多極化した新たな世界でさらに加速するでしょう。

特定地域内のD&Aスタックの一部またはすべてを移行/複製することを検討し、バイ・デザインまたはバイ・デフォルトでマルチクラウドとマルチベンダーの戦略を管理する必要があります。

結束力のあるクラウド・データ・エコシステムを構築するために、アクションを起こすことも検討します。ベンダー・ソリューションがもたらす拡張性や幅広いエコシステムを評価し、それらと連携することを考えてみてください。また、コスト、俊敏性、スピードの面で単一ベンダーのエコシステムのメリットを比較検討することによって、クラウドにおけるエンド・ツー・エンドのD&A機能についてベスト・オブ・ブリード戦略またはベスト・フィット戦略を優先する方針を見直します。

トレンド12:エッジへの展開

データセンター外やパブリック・クラウド・インフラストラクチャに分散しているデバイス、サーバ、ゲートウェイで実行されるD&Aアクティビティが増加しています。これらは、データや意思決定が作成/実行される場所に近いエッジ・コンピューティング環境に配置されることが多くなっています。

2025年までに、企業の重要なデータの50%以上がデータセンター外またはクラウドで作成/処理されるようになるとガートナーのアナリストは予測しています。

D&Aガバナンス機能をエッジ環境にまで拡張し、アクティブ・メタデータによって可視化させる必要があります。さらに、エッジ環境に常駐するIT指向のテクノロジ (リレーショナル/非リレーショナル・データベース管理システム) や、デバイス・エッジの近くでデータを保存/処理するための省スペース型組み込みデータベースを含めることで、エッジ環境におけるデータ永続性をサポートします。

【海外発の Gartner Articles】
本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/

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