メタバースとは何か?

2022年3月6日

エンタプライズ・アーキテクチャとテクノロジ・イノベーションのリーダーは、メタバースという先進テクノロジを探求して理解し、その採用と実装を促進する必要があります。

要約
  • ガートナーはメタバースを仮想的に拡張された物理的現実とデジタル化された現実の融合によって創り出される集合的な仮想共有空間と定義している。物理的な継続性があり、拡張された没入型 (イマーシブ) エクスペリエンスを提供する。
  • 別々の環境で行われている活動 (デジタル空間上の土地の購入、仮想空間での住宅の建築、仮想的なソーシャル・エクスペリエンスへの参加など) は、いずれメタバースの中で行われるようになる。
  • メタバース・テクノロジの採用はいまだ初期段階であるため、ビジネス・リーダーはメタバースへの投資を制限すべきである。

テクノロジ・イノベーションのリーダーは、ビジネス・リーダーが行う新製品開発、ビジネス・トランスフォーメーション、リスク軽減に役立つ先進テクノロジの確認、調査、追跡を行う必要があります。メタバースは、戦略的ビジネス・イノベーションを推進する上で、積極的に検討すべき大きな影響力のあるテクノロジの1つです。

アナリストでバイス プレジデントのマーティ・レズニック (Marty Resnick) は次のように述べています。「メタバースは、物理的な活動の再現や拡張を可能にします。これは、物理的な活動を仮想世界へと移動/拡張させたり、物理的な活動を変革したりすることで実現するでしょう。メタバースでは、こうした活動の多くを組み合わせることを目指していますが、現時点では、機能に制限のある個別のメタバースが多数存在している状態です」

今すぐダウンロード (英語):2021-2023 Emerging Technology Roadmap

メタバースとは何か?

2026年までに、25%の人は、仕事、ショッピング、教育、ソーシャル・メディア、エンタテイメントなどのために、1日1時間以上をメタバースで過ごすようになるとガートナーは予測しています。それでは、メタバースとは、一体何でしょうか。

メタバースは「インターネット上に構築され、物理空間 (リアル) と仮想空間 (バーチャル) を融合した、フルデジタル化された新たな環境」と言うことができます。メタバースはデバイスに依存するものでも、単一のベンダーが所有するものでもありません。それは、デジタル通貨やNFT (Nonfungible Token:非代替性トークン) によって実現される、独立した1つの仮想経済圏です。

メタバースが機能するには複数のテクノロジやトレンドが必要であるという点で、組み合わせ型のイノベーションであるといえます。メタバースのテクノロジ能力には、拡張現実 (AR)、柔軟な働き方、ヘッドマウント・ディスプレイ (HMD)、ARクラウド、モノのインターネット (IoT)、5G、人工知能 (AI)、空間テクノロジなどが関与します。

メタバースの概念は、「インターネットの次のバージョン」として捉えることができます。個人の掲示板と独立したオンライン上の場所として始まったインターネットは、仮想共有空間サイトへと発展しました。メタバースも、このような過程を経て進化すると考えられます。

メタバースを巡るハイプ (過剰な期待) が生じているのはなぜか?

メタバースは大きな注目を集めていますが、それをけん引しているのは、先を争ってメタバース企業への移行を表明しているテクノロジ企業や、人々のデジタル/物理的世界の拡張や強化を目的にメタバースを創り出しているテクノロジ企業です。また、現在サイロ化した環境で行われている活動は、最終的には単一のメタバースで行われるようになるでしょう。例えば、以下のような活動が考えられます。

  • オンライン・アバターの洋服やアクセサリを購入する
  • デジタル空間上の土地を購入し、仮想住宅を建築する
  • 仮想的な社会体験に参加する
  • 没入型なデジタル・コマースを活用し、仮想モールで買い物をする
  • 仮想クラスルームで没入型学習を体験する
  • デジタル・アート、コレクティブル (収集品)、資産を購入する (NFT)
  • 従業員のオンボーディング、顧客サービス、営業といったビジネス・インタラクションでデジタル・ヒューマンと交流する

メタバースに期待されているのは、継続性、分散性、協働性、相互運用性を備えた機会とビジネスモデルをもたらし、組織がデジタル・ビジネスを拡張できるようになることです。

メタバースの要素 | ガートナー

メタバースがもたらすビジネス機会にはどういうものがあるか?

メタバースには現在、個別のユースケースと製品が多数存在しており、それらすべてが固有のメタバースを生み出しています。複数の業界をまたぐ機会としては、以下のものが考えられます。

  • 高等教育、医療、軍事などの産業では、より没入感の高い学習体験を提供できる。メタバースがフレームワークを提供するため、独自のインフラストラクチャを構築する必要がない。
  • 過去2年間で人気を集めた仮想イベントを、より統合されたイベントとして提供できる。
  • 小売り業界では、より複雑な商品に対応した没入型ショッピング・エクスペリエンスを展開できる。
  •  企業は、仮想的に拡張されたワークスペースを導入することで、従業員により良いエンゲージメント、コラボレーション、つながりを提供できる。
  • ソーシャル・メディアは、メタバースへと移行し、3次元アバターを介した交流が可能になる。

メタバース・テクノロジの採用は始まったばかりで断片的であるため、ガートナーでは、特定のメタバースへの多額の投資を控えることを推奨しています。どの投資が長期的に有効であるかを判断するには時期尚早です。数少ないユースケースに基づいて実装を急ぐのではなく、メタバースの学習、検証、準備を優先すべきです。

テクノロジ・イノベーション・リーダーに対するガートナーの提言

  • メタバースに組み込まれたインフラストラクチャと、メタバースの参加企業を活用するデジタル・ビジネス戦略を策定する。
  • メタバースによる新たな機会とビジネスモデルに焦点を絞ったアイデアとイノベーションの管理を主導する。
  • 継続性と分散性を備えた新たなメタバース環境において、メタバース固有のテクノロジ・リスク、プライバシー、セキュリティへの影響を特定する。
  • 先進テクノロジのホイール図を用いて、メタバースがもたらす成果、機会、障壁をリストアップする。

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本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
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