メタバースの進化がテクノロジ・プロダクト戦略に及ぼす影響とは?

2022年10月16日

メタバースは、今後3つの段階を経て進化していきます。それぞれの段階は重なり合いながら進化し、完全に成熟するのは2030年以降になります。テクノロジ・プロダクトのリーダーは、これからのメタバースによるビジネス・チャンスについて評価していく必要があります。

ポイント

  • メタバースは、「先進」「高度」「成熟」という3つの重なり合う段階を経て進化していく。

  • テクノロジ、市場、プロダクト/サービスで、各段階を特徴付ける変化が起こる。

  • テクノロジ・プロダクト・リーダーは、メタバースの完全な成熟を待たずに行動を起こすべきである。戦略的優位性を得るには、インタラクション機能、コンテンツ、インフラストラクチャを提供するビジネス・チャンスを今から評価する必要がある。

メタバースは、2030年より前に成熟することはないでしょう。しかし、個人や組織の相互のインタラクションや、周囲の世界とのインタラクションのあり方を変える可能性が非常に大きいことから、テクノロジ・プロダクト/サービスのプロバイダーは今から戦略を立てておく必要があります。ガートナーは、インタラクション、コンテンツ (相互運用性)、インフラストラクチャにおけるビジネス・チャンスの評価に今すぐ着手することを推奨しています。

ガートナーでは、「先進」「高度」「成熟」という3つの重なり合う段階を経て、メタバースが進化していくと予測しています。テクノロジ・プロダクト・リーダーは戦略を策定する際に、各段階でメタバース・エクスペリエンスを可能にする先進テクノロジや最新トレンドの成長と軌道を評価する必要があります。

これまでにテクノロジの進歩が顕著に現れた時代、つまり産業革命、メインフレームの時代、PCの時代、モバイルの時代などと同様に、新しいタイプのテクノロジ・プロバイダーが従来のテクノロジ・プロバイダーに取って代わる可能性があります。そのため、どの組織も、状況が進展する中で競争力のあるポジションの獲得を目指す必要があります。

テクノロジ・プロダクト・リーダーにとってのメタバースに関する戦略的な目標

ガートナーは、インターネットが1つしかないのと同様に、最終的にはメタバースも1つになると考えています。特定の企業だけが、必要なテクノロジをすべて所有/制御/開発したり、独自のメタバースあるいはメタバース全体を構築したりすることはないでしょう。

したがって、テクノロジ・プロダクト・リーダーにとっては、メタバースの進化の道筋を理解し、それに対応する以下の主要なステップを踏むことが目標となります。

  • メタバース・プロダクト/ソリューションを構築:単一の「キラー・アプリ」ではなく、スペーシャル (空間) コンピューティングなどの組み合わせによって新しく生まれるテクノロジに基づくイノベーションのパイプラインを創出する。

  • メタバースから着想を得たビジネス・チャンスを特定:ゲーム、道案内/ナビゲーション・アプリ、仮想現実 (VR)/拡張現実 (AR) エクスペリエンスなど、価値の高い既存のユースケースを、自社プロダクト/サービスとの関係で評価する。

  • メタバース・エクスペリエンスをサポートするためのコラボレーションを拡張:標準、コンテンツ、サービス・デリバリ・パートナーのエコシステムに積極的に関与 (またはエコシステムを創出) し、メタバースの発展途上の要素に対処する。

  • ビジネスモデルの変革への備え:スーパーアプリ、コンポーザブルな価格設定、API収益化などのトレンドを評価する。

メタバースの各段階におけるプロダクト/サービスの進化

現代のデバイス向けに構築されたイマーシブ・コンテンツは、メタバースを介してアクセス可能になり、専用に設計されたコンテンツで補完されています。これに伴い、多くの既存テクノロジはメタバース・ソリューションによってサポートされ、最終的に取り込まれていきます。

現在のメタバースは初期の先進段階にあります。つまり、私たちは実質的に、「プレメタバース」のソリューションを開発しているということです。各段階には、以下の領域で、インタラクションの機能、コンテンツ、インフラストラクチャを提供するビジネス・チャンスがあります。

  • メタバースの構築に必要なテクノロジ (機能)
  • 市場特性。これは、完全なピア・ツー・ピア (P2P) の環境では根底から覆されます。

  • 完全に機能するメタバースの属性を実現するために必要とされ、新しい市場やビジネスモデルを可能にするために不可欠なプロダクトとサービス

メタバースの進化には時間がかかります。しかし、市場リーダーはメタバースの成熟を待つことなく、今から積極的に将来のビジネス・チャンスを狙っていくでしょう。

メタバースの進化におけるテクノロジの特徴

 

 

進化の段階

 

先進

高度

成熟

インタラクション・レイヤ

スマート・デバイス、サイロ型のアプリとエクスペリエンス

マルチモーダルのインタフェース、イマーシブなエクスペリエンス (AR/複合現実/VR)

デバイス非依存、高度な仮想アシスタント、スマート・スペース

コンテンツ・レイヤ

ソーシャル・ネットワーク、ゲーム、E-Commerce、開発ツール、センサ・テクノロジ、モノのインターネット (IoT)

GeoPoseデータと持続データ、デジタル通貨/トークン、デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム (DXP)、環境マッピング

グラフ・テクノロジ、スペーシャル・データ統合

インフラストラクチャ・レイヤ

Web3、ワイヤレス接続、マルチプレーヤー・プラットフォーム

 

エッジ・クラウド・サービス、ブロックチェーン、デジタル・スペーシャル・プロトコル

スペーシャル・レジストリ、P2Pサービス、高帯域/低遅延ネットワーク、相互運用性フレームワーク

 

 

メタバースの各段階における市場投入へのチャンス

テクノロジ・プロダクト/サービスのリーダーにとって、メタバースの進化の段階に応じて、インタラクション/インタフェース、コンテンツ、インフラストラクチャの各レイヤには異なるタイプのビジネス・チャンスが存在します。

第1段階:先進のメタバース

2024年まで、直接的なビジネス・チャンスは限定されるでしょう。市場では、長期的な高い価値を持つアプリケーションやユースケースの探索と実験が始まっています。メタバースの潜在的価値を示す将来のユースケースの多くは、既存のユースケース (現場作業向けAR、高影響シナリオ向けVR) から着想を得て、徐々に高い価値を提供しています。

ほとんどのビジネス・チャンスは、直接的/明示的にメタバースの創出を意図しないテクノロジ (ロボット工学や自律的ナビゲーション向けの環境マッピングなど) によって推進されます。それでも、その後の段階で、組み合わせのトレンドに寄与することになります。

参入障壁が比較的低いインタフェース・レイヤでは、最も大きな動きが見られる可能性が高いと考えられます。しかし、多くのベンダーや企業は、広範な導入を鼓舞するような特定のアプリケーションやユースケースが存在するという誤った思い込みから、「キラー・アプリ」の発想に固執するでしょう。

第2段階:高度なメタバース

2024年から2027年にかけて、メタバースの直接的なビジネス・チャンスが増加します。その多くは、コンテンツ・レイヤ、つまりメタバース自体のデータ、情報、基盤 (インフラストラクチャ以外) に焦点を当てたものになるでしょう。例えば、物理環境をマッピングして理解するためのツールやテクノロジ、仮想環境の作成を民主化するためのテクノロジなどです。

そのほか、物理的なモノ、デジタル・コンテンツ、物理とデジタルの関係やプロセスを分析するためのテクノロジなども例として挙げられます。この新しいコンテンツ、コンテンツとのインタラクション、コンテンツ間のインタラクション、コンテンツの理解が、初期の組み合わせによるテクノロジ・イノベーションの原動力となります。このようなイノベーションに着想を得て、新しいアプリケーションやインタラクションに対応するための新しいビジネスモデルが生まれるでしょう。この段階の最後には、スペーシャルWebの相互運用性フレームワーク、プロトコル、レジストリなど、メタバースに特化した初期のインフラストラクチャのビジネス・チャンスがもたらされると見込まれます。

第3段階:成熟したメタバース

2028年以降、メタバースのビジョンと潜在能力は、組織と個人ユーザーの双方にとって、より明確で管理しやすいものとなります。進歩は、第2段階で見出された刺激的なユースケースやアプリケーションを基盤とし、隣接するテクノロジ (5G、コンピュータ・ビジョン、イマーシブ・テクノロジ、デジタル通貨など) の成熟によって強化されます。

そのため、成熟したメタバースを実現するために必要なシステムの側面や機能が広く理解されていきます。これにより、インフラストラクチャ・レイヤに大きなビジネス・チャンスが生まれ、革新的でユビキタスな潜在性のあるシステムのバックボーンを構築するために、ベンダーが競争するようになります。

プロダクト・リーダーの今後のステップ

メタバース・エクスペリエンスを可能にする新たなテクノロジやトレンドの成長と影響を評価するプロダクト・リーダーは、3つの側面からメタバースのビジネス・チャンスを評価すべきです。

  • メタバースの進化の段階を検討し、戦略的に優位に立つために、どの段階で市場に参入すべきかを見極める。

  • インタラクション、コンテンツ、インフラストラクチャのビジネス・チャンスの組み合わせを検討する。

  • インタラクション・レイヤのデバイスやブラウザ、コンテンツ・レイヤの暗号通貨やグラフィック・ツール、インフラストラクチャ・レイヤのエッジ・コンピューティングやP2Pネットワークなど、市場のサブセグメントで挙げられるようなテクノロジによって実現される機能について検討する。

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