2026年10月27日
2026年10月27日
I&O統括責任者は、これらのトレンドを活用し、自律型オペレーションの加速とエンタプライズ規模のAIイニシアティブを支援する必要がある
ビジネスおよびテクノロジのインサイトを提供するGartner, Inc.は、2027年のインフラストラクチャおよびITオペレーション (I&O) におけるAIのトップ・トレンドを発表しました。
I&Oを統括する責任者は、ITオペレーションを改善すると同時に、全社的なAIイニシアティブを実現することが、ますます求められています。Gartnerが2026年4月から5月にかけてI&O統括責任者272人を対象に実施した調査では、回答者の58%がAIの概念実証 (PoC) を自社のインフラストラクチャやITオペレーションに導入・拡大することが、今後12カ月間の重要な優先事項になると考えていることが明らかになりました。
バイス プレジデント アナリストのジョナサン・フォレスト (Jonathan Forest) は、次のように述べています。「AIは、I&O部門がこれまで直面した中でも、最も大きな変革の1つをもたらしています。I&O統括責任者は、AIのあらゆる側面に同時に取り組もうとするのではなく、意義のある成果を生み出す少数の戦略的投資に集中すべきです」
Gartnerは、I&O統括責任者が今すぐ注目すべきAIのトレンドとして、次の5つを特定しました。これらは、AIを活用してオペレーション効率を高め、コストを最適化し、AI推論を支えるために必要なハイブリッド・インフラストラクチャを構築し、相互に影響を及ぼし合いながら密接に関連するITオペレーションリスクとサイバーセキュリティ・リスクに対処するとともに、エンタプライズAIプラットフォームのオーケストレーターとしてのI&Oの役割を強化するものです (図1参照)。
出典:Gartner (2026年10月)
AIエージェントが自律型ITオペレーションを加速
I&Oにおけるエージェント型AIは、目標達成を志向するソフトウェア・エージェントへと移行する動きを示しています。これらのエージェントは、人間の介入を最小限に抑えながら、複雑なITワークフローを実行できます。ITオペレーションの複雑性、規模、スピードが増す中、組織はインシデント・アラートのトリアージ、変更の検証、問題の修復などの作業を自動化するために、AIエージェントを導入しています。
Gartnerは、2030年までに、組織の50%がITオペレーションにおいて、人間の関与を最小限に抑えたAIエージェントを利用するようになると予測しています。これは2026年時点では、ほぼ0%からの大幅な増加となります。
フォレストは次のように述べています。「AIエージェントは、人間がループ内で判断する受動的なオペレーションから、人間が監督者として関与する能動的なオペレーションへの移行を促しています。エージェント型AIを中心に組織を再構築できないI&O統括責任者は、コストの増大、運用の俊敏性やパフォーマンスの低下、そして最終的には存在意義の喪失というリスクにさらされます」
エージェント型AIがトークン・エコノミクスの課題を生み出す
対話型AIから自律型のエージェント型AIワークフローへの移行により、トークン消費量が大幅に増加しています。従来のAIとのやり取りとは異なり、エージェント型システムは、複雑な複数ステップのタスクを実行するため、爆発的なトークン消費量を必要とします。その結果、I&Oチームに新たなコスト管理上の課題が生じています。
Gartnerは、2027年までに、トークン使用量に連動した上限なしの変動価格モデルでITオペレーションにAIエージェントを導入する企業は、予測可能なサブスクリプション型およびバンドル型の料金モデルを利用する企業と比べ、初期コストの予想から50%超上回って負担することになると予測しています。
Gartnerは、AIへの支出とトークン使用量に関する盲点をなくすため、「テレメトリがなければ導入しない (no telemetory, no deployment)」という厳格な方針を推奨しています。
AI推論がハイブリッドAIインフラストラクチャの台頭を促進
大半の企業は、モデルをゼロからトレーニングするのではなく、推論を通して既存の基盤モデルを利用しています。企業データは、パブリック・クラウド、プライベート・データセンター、エッジ環境に分散して存在しています。そのため、AIインフラストラクチャはますますハイブリッド化しています。この変化は、プライバシー、コスト、パフォーマンス、データ主権に関する要件によって加速しています。
2029年までに、大企業の80%が、パブリック・クラウド、ネオクラウド、オンプレミスのデータセンター、エッジ拠点など、少なくとも3つのインフラストラクチャ環境にわたって、本番環境のAIワークロードを運用するようになるとGartnerは予測しています。
AIがITオペレーションリスクとサイバーセキュリティ・リスクを融合
AIが企業インフラストラクチャにますます組み込まれていく中、ITオペレーションリスクとサイバーセキュリティ・リスクは、より密接に関連するようになっています。共通のAIツール、テレメトリ、そしてAIエージェントの利用拡大により、レジリエンス、リスク管理、オペレーション効率を向上させるため、I&Oチームとセキュリティチームはより緊密な連携を迫られています。
Gartnerは、2030年までに、企業の25%がネットワーク・オペレーション・センター (NOC) とセキュリティ・オペレーション・センター (SOC) を統合すると予測しています。こうしたチーム統合は2026年時点の5%から増加し、ツールおよび人員にかかる総支出が25%以上削減されると予測しています
I&OがエンタプライズAIプラットフォームのオーケストレーターへ
クラウド、データセンター、エッジ環境におけるAI導入が進む中、AIインフラストラクチャ、ガバナンス、セキュリティ、オペレーションを統合的に管理する必要性が高まっています。その結果、I&Oは従来のゲートキーパーとしての役割から、エンタプライズAIプラットフォームのオーケストレーターへと進化しています。これにより、企業は信頼性、安全性、費用対効果を確保しながら、AIを導入・拡張できるようになります。
Gartnerは、2030年末までに、AIインフラストラクチャの設計、アーキテクチャ、サポートを主導する強力なI&O機能を持たない組織は、AIイニシアティブに失敗する可能性が2倍以上高くなると予測しています。
フォレストは次のように述べています。「AIインフラストラクチャのコストが高いことから、失敗の余地はほとんどありません。そのため、企業におけるAIの成否の鍵をI&Oが握る状況を生み出しています。I&O統括責任者は、チームの能力を高め、技術的負債を削減し、縁の下の力持ち的な受動的オペレーションから、企業のAI活用を先回りして支援し、潜在的リスクを低減するプロアクティブなオペレーション体制へと移行する必要があります」
なお、シニア ディレクター アナリストの青山 浩子は、国内企業向けに次のように補足しています。「日本企業のI&O部門は、企業全体でのAIイニシアティブやAIの最新知識獲得とスキルセット強化、役割転換などのプレッシャーにさらされています。しかしながら、前述のI&OにおけるAIのトップ・トレンドは確実に日本企業にも影響を及ぼすため、I&O統括責任者は、こうしたトレンドにキャッチアップしながら、AI駆動型のITオペレーション (AgentOps) のビジョンを構想することが重要です。チーム内の認知負荷を下げることにも配慮しながら、AgentOpsの先駆者として自らのポジションを確立し取り組むことが求められます」
※本プレスリリースは、グローバルで2026年10月26日 (現地時間) に発表したプレスリリースを基に日本向けに編集しています。原文はこちらを参照ください。
Gartnerのサービスをご利用のお客様は、Top AI Trends in Infrastructure and IT Operations for 2027 (英語) で詳細をご覧いただけます。AgentOps時代の到来:エージェント型AIオペレーションの変革とエージェント障害に備える、AI共生時代の運用管理:新たな意思決定の基礎を創るでも関連する内容をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products
Gartnerは、組織の経営幹部およびテクノロジ・プロバイダーにとって欠かせないパートナーとして、AI戦略の実行による重要なビジネス課題の解決を支援します。Gartnerのインサイトは独立性と客観性に基づいており、お客様が確信を持って意思決定を行い、AIの可能性を最大限に引き出すことを可能にします。経営層のお客様は、自社におけるAI活用の方向性を見極めるため、Gartner独自のAIツールAskGartnerを活用しています。Gartnerは、2,500人以上のビジネスおよびテクノロジ領域のアナリストによるインサイト、6,000本を超えるリサーチ、ならびに4,000件以上のAIユースケースおよびケーススタディを有し、AIにおける世界的なインサイトを提供しています。詳細はこちらをご覧ください。
Gartnerは来る12月1~3日にガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション & クラウド戦略コンファレンス をウェスティンホテル東京にて開催します。アナリストがクラウド戦略やITインフラストラクチャとオペレーションのトレンドに関する最新の知見を提供します。コンファレンスのニュースや最新情報は、XやLinkedInでご覧いただけます (#GartnerIO)。
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