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2022年9月15日

Gartner、データ・ドリブンな組織がバランスよく備える4つの要素を発表

「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2022」(9月14~16日) において、アナリストがデータとアナリティクスに関する重要論点と指針を解説

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、データ・ドリブンな組織を目指すためには、「人」「牽引力」「仕組み」「支援」の4つの要素をバランスよく備えるべきであるとの見解を発表しました。

デジタル・トランスフォーメーション (DX) の実現にはデータとアナリティクス (D&A) の活用が不可欠であり、そのためにはデータを駆動力としてビジネスを推進すること (データ・ドリブン)が求められます。データ・ドリブンとは、データに基づいて戦略策定、計画立案、ビジネスの意思決定などを行うことを指し、そういったことが広く定着している組織を、データ・ドリブンな組織と定義しています。

アナリストでシニア ディレクターの一志 達也は次のように述べています。「日本企業は現在、DXの成功を目指し、D&Aの活用を意識し、データの民主化やデータ人材/デジタル人材の育成を掲げています。しかし、人だけで成功することは難しく、旗印を掲げるだけでも不十分です。他に何をしなければならないのか、重要性の高い主たる要素を理解し、それを備えるために戦略的に行動すべきです」

9月14~16日に開催しているガートナー データ&アナリティクス サミット 2022において、一志が解説したデータ・ドリブンな組織になるために企業がバランス良く備えるべき4つの要素は以下の通りです。

役割に応じて必要なスキルやリテラシーを備えた「人」

D&Aに携わる人材の選抜や育成は、企業の経営課題や事業課題を理解した上で戦略的に行い、評価することが重要です。高度な人材ほど役割を明確にし、組織のどこでどのように動き、どのような成果を求めるかを、組織と人材の間で合意しておく必要があります。その際には、適正に評価する仕組みと同時に、報酬面を含めた制度の整備も必要です。Gartnerは、2027年までの間、報酬以外の従業員価値提案 (EVP) にも注力し、それを人材市場に積極的に周知した企業は、IT技術専門職の採用と定着を少なくとも2倍有利に展開できるとの仮説を立てています。

必要な人材を確保する際は、社内人材を育成・採用するだけでなく、社外から人材を採用するという選択肢もあります。求める人材像 (スキルや経験) や業務内容、時間の緊急度にあわせて、検討すべきです。

リーダーによる「牽引力」

今日のリーダーには、組織の進むべき方向性やビジョンを示し、それを実現するための戦略を策定して推進する役割、任務遂行に必要な人材を任命し評価する役割 (任務内容や目標、期待する役割などについて合意し、遂行者の達成状況を評価する、問題の解決を支援する)、取り組みの障害を取り除き円滑化を助ける役割 (組織の壁、変化への抵抗、悪い習慣や行動様式などを取り除く) など広範囲に及ぶ役割が求められています。リーダーは、求められる役割を遂行するために、リーダーシップを発揮して変革を推進することが必要ですが、その際には、組織内で共感を得て、協働し、成果を共有できる人間関係を構築することが重要です。そのためにも、リーダー自身がD&Aについて理解した上で自分事として考え、ビジネス成果の獲得に向けて強力に組織を牽引する必要があります。

効果的なガバナンスや制度などの「仕組み」

D&Aリーダーは、不確実性の高い状況で、現在組織が直面している複雑で多様なビジネス上の課題に対応するために、適切なD&Aのガバナンスを整備することが求められています。ガバナンスや制度などを定め、施行し、維持運営する (執行する) 仕組みは、経営層や事業責任者のようなビジネス上の利害関係者の合意が不可欠となります。役員会や経営会議と同様に、ガバナンスの意思決定機関を設け、そこで合意を伴った意思決定が行われるようにしなければなりません。同時に、その執行を担う実務組織も不可欠となります。

ガバナンスの効果を高めるには、ITではなくビジネス主体で継続的に取り組むことが重要です。ビジネスの変化に応じて、追加と変更を継続する、ビジネス上重要なものを優先的に管理対象とする、利益など収益目標だけを求めるのではなく、既存の必然的なビジネス活動との連携性の改善を重視する、そして情報発信、注意喚起、定期監査、褒賞などを通じて、ガバナンスに対する意識を高める施策を進めることが肝要です。

スチュワードシップやコミュニティによる「支援」

ガバナンスが適切に働いているか、調整を必要とすることが発生していないかなど、現場の細部まで目を配ることは困難です。そこで、中央の執行機関と連携して現場でデータ活用が適切に行われるよう、組織はスチュワードを任命して必要な教育を施し報酬を提供しなければなりません。また、現場におけるデータ活用の気運を盛り上げ、より良い文化を醸成するためのコミュニティの形成も欠かせません。コミュニティにおいて、組織の広範での情報共有や自発的で積極的な活用促進などが行われるよう、コミュニティのリーダーを任命することも重要です。

一志は次のように述べています。「日本企業に不足しているのは人材ばかりではありません。DXの実現やD&Aの活用を焦るあまり、一部のITやDX推進組織では、つい自分の着手しやすいところから取り組みを始めたり、外部組織の手を借りようとしたりしがちです。それが絶対的な間違いとは言いませんが、ここに挙げた4つの要素を備えること、その中でも特にリーダー自身がD&Aを理解し、自分事としてリーダーシップを発揮することが重要で、そうでないと取り組みが頓挫するリスクが高まります。D&Aの成功あるいは失敗事例を研究すると、ここに挙げた要素を備える重要性に気づかされます」

Gartnerは9月14~16日にガートナー データ&アナリティクス サミット 2022 (会場:ANAインターコンチネンタルホテル東京) を開催しています。本サミットでは、革新的で適応力のある組織を構築する上でデータとアナリティクスのリーダーが直面する重要な課題を取り上げています。コンファレンスのニュースと最新情報は、Twitterでご覧いただけます (#GartnerDA)。
本プレスリリースに関連する内容は、来る10月31日~11月2日に開催するGartner IT Symposium/Xpo 2022 (会場:グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール) において、前出の一志が「データ・ドリブンな組織がバランス良く備えるべき要素」(11月2日、12:35~13:05) と題した講演でも解説します。

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート「2022年のリーダーシップ・ビジョン:データとアナリティクス」および「デジタル・ビジネスに役立つデータ人材の育成や採用を戦略的に進める」で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

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Gartnerについて

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