2025年8月21日
2025年8月21日
ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、2025年のアジア太平洋 (APAC) 地域における政府関連テクノロジのトップ・トレンドを発表しました。これらのトレンドは、公共セクタのリーダーが、よりスマートで効率的な市民サービスを提供し、短期および長期のAIアジェンダを策定することを支援します (グローバルで2025年8月21日に発表しています)。
バイス プレジデント アナリストのディーン・ラチェカ (Dean Lacheca) は次のように述べています。「AIが日常生活に深く組み込まれる中、市民は公共サービスにもイノベーションとともに進化し、アクセスしやすく、パーソナライズされ、かつレジリエントな体験を期待しています。こうした期待値の高まりと地政学的な不安定さが交錯するこの地域において、APACの政府機関は、市民に具体的な成果をもたらす安全かつスケーラブルなテクノロジを基盤とした、テクノロジ主導のイノベーションに積極的に取り組む必要があります。AIもその中核です」
政府機関のCIOは、以下のトレンドが自組織に与える影響を踏まえて、投資、サービス提供、責任あるイノベーションに関する意思決定の指針とすべきです。
トレンド1:市民向けパーソナライズ・サービスとサポートのためのAIエージェント
AIエージェントとは、デジタルおよびリアルの環境で、状況を認識し、意思決定を下し、アクションを起こし、目標を達成するためにAI技術を適用する自律的または半自律的なソフトウェアであり、公共サービスの提供を強化します。初期導入では、建築申請などの申請や給付の処理を法令や政策に基づいて行うことに焦点が当てられます。多くのAPACの政府機関は、法令や規制フレームワークの解釈にもAIエージェントの使用を模索しています。
「複数のAIエージェントの利用とオーケストレーションは、技術の成熟とともに拡大し、政府機関が構築・購入・ガバナンスに確信を持つようになるでしょう。透明性と市民の信頼が最終的な普及を左右するため、自律性や障害時の対応、セキュリティ、データ・プライバシーに対する明確なガバナンス、倫理的なガードレール、説明責任を確立することが重要です」(ラチェカ)
トレンド2:デジタル・イノベーション・ラボとデータ・サンドボックス
政府機関内のイノベーションは、データの制約や、テクノロジ・パートナーとの関わり方を規定する調達に関する法令やガイドラインによって制限されています。APACの多くの政府機関は、イノベーション・ラボを設立し、人間中心のイノベーションの取り組みを支援するための管理されたデータ環境、すなわち「サンドボックス」を設けるとともに、政府データを保護しています。シンセティック (合成) データは、個人情報やプライバシーを守りつつオープンデータを補完するためにしばしば使用されます。
例としては、シンガポール海事港湾庁の各種テクノロジを試験するイノベーション・ラボや、台湾のデジタルIDウォレット・サンドボックス・プログラムが挙げられます。オーストラリアでは、連邦および州政府が教育機関と連携し、イノベーション・スペースの設立や支援に積極的です。
Gartnerは政府機関のCIOに対し、ラボから得られる本質的な成果を検証し、イノベーション投資の妥当性を強固にすることを推奨しています。これにより、政府全体での投資とするか、特定部門や機関のミッションに特化するかを判断することができます。
トレンド3:ガバナンス主導のAI導入
AIの導入が進む中、市民体験の向上や業務効率化、ミッション成果の支援を目的として、政府機関にはリスク・コスト・コントロール・価値のバランスを取るAIガバナンス・フレームワークの確立が求められています。Gartnerは2028年までに、少なくとも80%の政府機関がAI導入および継続的な監視を独立監査下に置くと予測しています。
「政府機関はAI技術を監督し、リスクを特定・軽減し、規制要件やガバナンス基準への整合性を確保する必要があります。多くのAPAC政府機関が自国のデータ主権のAI戦略 (ソブリンAI※ アジェンダ) を推進する中、こうしたガードレールが将来のAI導入の透明性・説明責任・変化への適応力を担保します」(ラチェカ)
※ソブリンAI:国家や組織 (企業など) が自国や自社のデータおよび技術を基に、独立して運用・管理するAIシステムのこと。具体的には、外部のクラウド・サービスや第三者のデータセンターに依存せず、自国や自社のインフラ内でAIシステムを完結させる形態を指します。
ディスティングイッシュト バイス プレジデント アドバイザリの松本 良之は次のように述べています。「日本では本年6月に『AI新法』が施行され、透明性・説明責任・社会的信頼性を確保するための新たな制度が整いました。本提言は、こうした制度環境の変化と呼応しており、政府・公共機関に加えて民間企業にとっても、AI導入やデジタル活用を進める上での方向性を示しています。特に公共分野では、規制遵守と効率性、市民サービス向上をいかに両立させるかが重要な課題として認識されつつあります。さらに、近年注目を集めるソブリンAIの観点は、データ主権や社会的信頼性の確保という点からも、日本におけるAI活用を考える上で欠かせない要素になりつつあります」
Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート Top Government Trends in APAC for 2025 (英語) で詳細をご覧いただけます。
なお日本では、政府機関におけるAI:Eye on Innovationのユースケース事例および2025年のCIOアジェンダ:政府機関における最優先課題とテクノロジ計画をはじめとした政府・公共向けのレポートを発行しています。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products
政府が市民サービス向上のためにAIをどのように導入しているかについては、Gartnerの無料ウェビナー Government Leaders, Is Your Data Ready to Enable Secure AI Initiatives? (英語) をご覧ください。
Gartner IT Symposium/Xpoについて
Gartnerは来る10月28~30日にGartner IT Symposium/Xpoをパシフィコ横浜ノースにて開催します。2025年度は「変革のエージェント:知を武器に、道を切り開く」をテーマに、主要なトピック領域における最新のテクノロジ、戦略、リーダーシップに関する知見を提供し、CIOとリーダーシップ・チームにとっての最重要課題を取り上げます。コンファレンスのニュースと最新情報は、XやLinkedIn、Facebookでご覧いただけます (#GartnerSYM)。
Gartner AI Use Case Insightsについて
Gartner AI Use Case InsightsはテクノロジおよびビジネスリーダーがAIユースケースを効率的に発見・評価・優先順位付けし、導入を検討できるインタラクティブ・ツールです。Gartnerのサービスをご利用のお客様は、業界ごとのAIの活用事例 (ユースケース) 500件以上、実際の導入事例 (ケーススタディ) 380件以上を、業界・業務機能・Gartnerによるビジネス価値評価などの条件で検索できます。インタラクティブ・ツールは https://tools.gartner.com/use-case-insights からアクセスいただけます。
Gartner for Government and Public Sectorは、政府・公共セクタのITリーダーとそのチームのミッション・クリティカルな課題について、より優れた意思決定と大きな成果へと導く実行可能かつ客観的な知見を提供します。詳細は https://www.gartner.com/en/industries/government-public-sector/all よりご覧いただけます。
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