2025年10月29日

Gartner、2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドを発表

Gartner IT Symposium/Xpo 2025 (10月28~30日開催) において、業界のトレンドを明らかに

ビジネスおよびテクノロジのインサイトを提供する企業であるガートナージャパン株式会社 (以下Gartner) は、2026年に企業や組織にとって重要なインパクトを持つ「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」を発表しました。

木曜日まで開催中のGartner IT Symposium/Xpoの講演において、バイス プレジデント アナリストの池田 武史が解説しました。

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Gartner IT Symposium/Xpoのステージで解説するアナリストの池田 武史

池田は次のように述べています。「テクノロジ・リーダーにとって、2026年は重要な節目の年であり、かつてないスピードで拡大するディスラプション、イノベーション、リスクに直面することになります。2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドは、互いに深く結び付き、AIを原動力とするハイパーコネクテッドな世界の現実を反映するものとなっています。こうした状況において、組織は責任あるイノベーション、オペレーショナル・エクセレンス、デジタル・トラストを推進しなければなりません。これらのトレンドは、テクノロジの変化にとどまらず、ビジネス変革を促進する役割を果たします。2026年以降は、特に、こうした進化の真っただ中にあるテクノロジの信頼を確保すること、ビジネス面での受け入れ体制やルールの見直しを含めた取り組みがより重要となります。次なるイノベーションの波は、何年も先の話ではありません。今すぐ行動する組織こそが、この変動期を乗り越え、長期にわたり業界の未来を形作っていきます」

2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドは、次のとおりです。

AIネイティブ開発プラットフォーム (AI-Native Development Platforms)

AIネイティブ開発プラットフォームは、生成AIを使用して、これまで以上に迅速で簡単なソフトウェアの創出を可能にします。ビジネス部門に組み込まれて活動するソフトウェア・エンジニアは、「最前線に配置されたエンジニア」として、こうしたプラットフォームを活用し、領域専門家と連携してアプリケーションを開発できます。人間とAIが「小さなチーム」として協働することで、現在と同じレベルの開発者数でより多くのアプリケーションをデリバリできるようになります。先進的な組織は、セキュリティとガバナンスのガードレールを装備した上で、小規模なプラットフォーム・チームを設置し、非テクノロジの領域専門家が自らソフトウェアを構築できるよう支援しています。

2030年までに、AIネイティブ開発プラットフォームによって、80%の組織が大規模なソフトウェア・エンジニアリング・チームを転換させ、AIによって増強され、より小規模で敏捷なチームへと進化させるようになるとGartnerではみています。

AIスーパーコンピューティング・プラットフォーム (AI Super Computing Platform)

AIスーパーコンピューティング・プラットフォームは、CPU、GPU、AI ASIC、ニューロモルフィック・コンピューティング、その他のコンピューティング・パラダイムを統合します。これによって組織は、複雑なワークロードのオーケストレーションに加え、新たなレベルのパフォーマンス、効率性、イノベーションを実現できるようになります。これらのシステムは、強力なプロセッサ、大容量メモリ、専用ハードウェア、オーケストレーション・ソフトウェアを組み合わせ、機械学習、シミュレーション、アナリティクスなどの領域でデータ集約的なワークロードに対応します。

2028年までに、主要企業の40%以上が、重要なビジネス・ワークフローにハイブリッド型コンピューティング・パラダイムのアーキテクチャを採用するようになるとGartnerではみています。

この能力は、既にさまざまな業界でイノベーションを推進しています。例えば、ヘルスケアやバイオテクノロジでは、これまで数年単位の時間がかかっていた新薬のモデル化を数週間で実行できるようになっています。また、金融サービス業界では、グローバル市場のシミュレーションによるポートフォリオ・リスクの軽減、公益事業では、異常気象のモデル化によるグリッドのパフォーマンス最適化が行われています。

マルチエージェント・システム (Multiagent Systems)

マルチエージェント・システム (MAS) は、個別または共通の複雑な目標を達成するために相互作用するAIエージェントの集合体です。エージェントは、単一のAIサービス・プロバイダーで提供されることもあれば、クロスプラットフォームで独立して開発/展開されることもあります。

マルチエージェント・システムの採用は、企業が複雑なビジネス・プロセスを自動化し、チームのスキルを向上させ、人間とAIエージェントの新しい連携のあり方を創出するための実用的な方法となります。モジュール型の専門的エージェントは、ワークフロー全体で定評のあるエージェントを活用することにより、効率を高め、デリバリを加速し、リスクを軽減できます。また、このアプローチによって、オペレーションの規模を拡張し、変化するニーズに迅速に対応することが容易になります。

ドメイン特化言語モデル (DSLM: Domain-Specific Language Models)

CIOやCEOは、AIにさらなるビジネス価値を求めていますが、一般的な大規模言語モデル (LLM) では専門的なタスクに対応できないことが少なくありません。ドメイン特化言語モデル (DSLM) は、正確性の向上、コストの削減、コンプライアンスの強化を通じて、このギャップを埋めます。DSLMは、業界、機能、プロセスに特化したデータを用いてトレーニング/ファインチューニングされた言語モデルです。汎用モデルとは異なり、DSLMはターゲットとするビジネス・ニーズに対して、より高い正確性、信頼性、コンプライアンスを提供します。

2028年までに、企業が使用する生成AIモデルの過半数がドメイン特化型になるとGartnerではみています。

エージェントの展開を成功させる上で、コンテキストが最も重要な差別化要因の1つとして浮上しています。DSLMを基盤とするAIエージェントは、業界特有のコンテキストを解釈して、未知のシナリオでも適切な判断を下すことができ、卓越した正確性、説明可能性、合理的な意思決定を実現します。

フィジカルAI (Physical AI)

フィジカルAIは、ロボット、ドローン、スマート・デバイスなど、現実の環境を検知/理解/行動するマシンやデバイスを強化し、現実世界にインテリジェンスをもたらします。自動化、適応性、安全性が優先される業界において、明確な成果を実現します。

導入の拡大とともに、組織ではIT、オペレーション、エンジニアリングの橋渡しをする新しいスキルが必要になります。この変化は、スキルアップやコラボレーションの機会を生み出しますが、同時に雇用上の懸念も生み、慎重なチェンジ・マネジメントが求められる可能性もあります。

先制的サイバーセキュリティ (Preemptive Cybersecurity)

ネットワーク、データ、接続システムを標的とした脅威の急激な拡大を受けて、先制的サイバーセキュリティに注目する必要性が高まっています。2030年までに、CIOが受け身の防御から脱却し、プロアクティブな防御へと転換するのに伴い、先制的なソリューションがセキュリティ支出全体の半分を占めるようになるとGartnerではみています。

先制的サイバーセキュリティとは、AIで強化されたセキュリティ運用を活用し、プログラムで脅威を阻止、妨害し、攻撃者を欺くことで、攻撃される前に先制的に防御することです。企業は、予測こそが防御となる時代に変わってきていると認識する必要があります。

デジタル属性 (Digital Provenance)

組織がサードパーティのソフトウェア、オープンソースのコード、AI生成コンテンツの適用を拡大させる中、デジタル属性の検証が不可欠になっています。デジタル属性とは、ソフトウェア、データ、メディア、プロセスの出所、所有者、完全性を検証する能力を指します。ソフトウェア部品表 (SBOM)、認証データベース、デジタル・ウォーターマークなどの新しいツールは、サプライチェーン全体でデジタル資産を検証/追跡する手段となります。

2029年までに、デジタル属性への適切な投資を怠った組織は、最大で数十億ドル規模に上る制裁のリスクにさらされる可能性があるとGartnerではみています。

ジオパトリエーション (Geopatriation)

ジオパトリエーションとは、企業のデータやアプリケーションをグローバルなパブリック・クラウドから、ソブリン・クラウドや地域のクラウド・プロバイダー、自社データセンターといった適切な場所に移設することを意味します。これは、地政学的リスクの高まりによる地域や国によるルールの変化が背景にあります。ソブリン・クラウドは、以前は金融機関や政府機関に限定されていましたが、世界情勢の不安定化に伴い、現在では幅広い組織に影響を及ぼしています。

ソブリン・クラウドのサービスを強化しているプロバイダーにワークロードを移行することで、CIOはデータ・レジデンシ (データの保存場所)、コンプライアンス、ガバナンスをより厳密に管理できるようになります。こうした管理強化により、地域の規制との整合性が向上し、データ・プライバシーや国益を懸念する顧客との信頼関係構築にも寄与します。

2030年までに、欧州と中東の企業の75%以上がジオパトリエーションを採用し、地政学的リスクの軽減を念頭に設計されたソリューションへと仮想ワークロードを移行するようになるとGartnerではみています。これは、2025年の5%未満から大幅な増加となります。

AIセキュリティ・プラットフォーム (AI Security Platforms)

AIセキュリティ・プラットフォームは、サードパーティ製およびカスタム構築のAIアプリケーションを保護するための統一された方法を提供します。一元的に可視化し、使用ポリシーを適用し、プロンプト・インジェクション、データ漏洩、不正なエージェント・アクションなど、AI特有のリスクから保護します。こうしたプラットフォームを役立てることで、CIOは、使用ポリシーを適用し、AIの活動をモニタリングし、AI全体に一貫したガードレールを適用できます。

2028年までに、企業の50%以上がAI投資を保護するためにAIセキュリティ・プラットフォームを使用するようになるとGartnerではみています。

コンフィデンシャル・コンピューティング (Confidential Computing)

コンフィデンシャル・コンピューティングによって、機密データの取り扱い方法が変わります。ハードウェア・ベースの信頼できる実行環境 (TEE) 内にワークロードを隔離することで、インフラストラクチャのオーナーやクラウド・プロバイダー、さらにはハードウェアに物理的にアクセスできる人に対しても、コンテンツやワークロードの機密性を保持できます。これは、規制産業や、地政学的リスク/コンプライアンス・リスクに直面するグローバル組織、そして競合間の連携にとって、特に高い価値があります。

2029年までに、信頼されていないインフラストラクチャで処理されるオペレーションの75%以上が、コンフィデンシャル・コンピューティングによって、データ使用中の段階でも保護されるようになるとGartnerではみています。

2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドでは、今後5年間にCIOやIT/ハイテク・リーダーにとって顕著なディスラプションと機会をもたらすトレンドにスポットライトを当てています。Gartnerのサービスをご利用のお客様はスペシャル・レポートTop Strategic Technology Trends for 2026 (英語) で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

Gartner IT Symposium/Xpoについて
Gartner IT Symposium/Xpo (10月28~30日、パシフィコ横浜ノースにて開催) は、世界のCIOおよびITエグゼクティブが集う最重要コンファレンスです。CIOITエグゼクティブは、組織変革の担い手としてAIを活用し、デジタル変革を成功させるためのインサイトを得る場として活用しています。最新情報は、XLinkedInFacebookで#GartnerSYMをフォロー、またはニュースルームをご覧ください。

Gartner AI Use Case Insightsについて
Gartner AI Use Case InsightsはテクノロジおよびビジネスリーダーがAIユースケースを効率的に発見・評価・優先順位付けし、導入を検討できるインタラクティブ・ツールです。Gartnerのサービスをご利用のお客様は、業界ごとのAIの活用事例 (ユースケース) 500件以上、実際の導入事例 (ケーススタディ) 380件以上を、業界・業務機能・Gartnerによるビジネス価値評価などの条件で検索できます。インタラクティブ・ツールは https://tools.gartner.com/use-case-insights からアクセスいただけます。

Gartner for High Tech Leaders and Providersについて

Gartner for High Tech Leaders and Providersは、ハイテク業界のリーダーとそのチームに対し、役割に応じたベスト・プラクティス、業界インサイト、そして新たなトレンドや市場変化に関する戦略的な視点を提供し、重要な優先事項の達成と将来の成功する組織づくりを支援します。詳細は https://www.gartner.co.jp/ja/industries/high-tech でご覧いただけます。

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