2026年6月5日

Gartner、国内企業の約4分の3がコンサルティング・サービスを利用する一方、期待以上の成果を実感する企業は半数未満との調査結果を発表

価格以上に「コンサルタントの品質のばらつき」が不満要因に/委託範囲・成果物とともにスキル定義の明確化が重要

ビジネスおよびテクノロジのインサイトを提供するガートナージャパン株式会社 (以下Gartner) は、日本国内企業におけるコンサルティング・サービスの利用実態に関する調査結果を発表しました。

2026年3月に国内企業を対象に実施した調査では、IT製品やサービスの導入や選定に関与している、または影響力を持つ回答者400人のうち、74.0%がコンサルティング・サービスを利用中であることが明らかになりました。

同調査によると、コンサルティング・サービスの利用は、デジタル・トランスフォーメーション (DX)/デジタル・ビジネス関連よりも、システム更改など従来型ITプロジェクトの戦略/計画策定で最も多く見られました「システム更改などその他ITプロジェクトの戦略/計画策定」が最も高く、これに「DX/デジタル・ビジネスの戦略/計画策定」、「デジタル/IT人材の育成や関連組織の立ち上げ」が続きました。一方で、「プロジェクト開始後の要件定義やPM (プロジェクト・マネジメント)」における活用は相対的に低い結果となりました (図1参照)。

図1. 国内企業によるコンサルティング・サービスの利用状況
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出典:Gartner (2026年6月)

同調査で利用企業にサービスへの満足度を尋ねたところ、いずれの利用局面でも、「期待以上」と回答した企業は半数未満にとどまりました。具体的には、「DX/デジタル・ビジネスの戦略/計画策定」で48.6%、「システム更改などその他IT (DX/デジタル・ビジネス以外の) プロジェクトの戦略/計画策定」では41.5%、「デジタル/IT人材の育成や関連組織の立ち上げ」では37.8%、「プロジェクト開始後の要件定義やPM」で34.4%でした。Gartnerは、コンサルティング・サービスには一定の効果は感じられており、有効に活用すればビジネス上の武器になるものの、満足度は総じて高くないと見ています。

コンサルティング・サービスに期待未満と回答した企業に、不満の理由を尋ねたところ、「価格が高い」とする回答は多かったものの、それ以上に「コンサルタントの品質 (能力) のばらつきが大きい」ことが、すべての利用局面で最も大きな不満要因として挙がりました (図2参照)。Gatnerはこの結果から、コンサルティング・サービスにおいては価格だけでなく、期待に沿う安定した品質をいかに確保するかが、顧客企業にとって重要な論点になっていると考えています。

2.コンサルティング・サービスへの不満の理由

出典:Gartner (2026年6月)

バイス プレジデント アナリストの海老名 剛は、次のように述べています。「コンサルティング・サービスの成果物には、アセスメント結果、ロードマップ、プロジェクト憲章などがあり、それらはコンサルタント個人の構想力や分析力に左右されやすいと見ています。また、戦略や全体方針に関わる支援であるがゆえに、他のITサービス以上に広範なステークホルダーとのコミュニケーション力も求められます。このため、コンサルティング・サービスはしばしば『人次第』と言われます。他方、同サービスの提案では、リーダークラスの一部のコンサルタントの経歴のみが説明される場合が少なくありません。『人次第』であるからこそ、アサインされるコンサルタント全員の能力や経験が、可能な限り明確に定義されていることが大切です」

「この人物が入るなら安心」といった曖昧な基準で、コンサルティング・サービスの採用を決めてしまう企業も少なくありません。しかしGartnerは、そのような属人的な判断では、実際に提供されるサービスの均質性を確保することは難しく、結果として高額な契約であっても、成否が「運任せ」になるリスクがあると見ています。個人の経歴だけでは対象プロジェクトへの適性や能力を判断することも難しいと考えています。

海老名は次のように述べています。「コンサルティング・サービスの選定や評価を即時に改善できる『銀の弾丸』はありません。ソーシング、調達、ベンダー管理のリーダーは、まず委託対象の業務や範囲、求める成果物、補完してもらいたいスキルといった契約上の基本合意を徹底することが求められます。その際に、コンサルタントに求めるスキルについては、職務経歴書などの属人的な説明だけに依存するのではなく、顧客企業が必要とするスキルを客観的に定義し、それを契約上の約束として明確に合意することが重要です」

Gartnerは、日本における2026年のコンサルティング・サービス市場を2兆709億円規模になると予測しています。カスタム・システムのオープン化、クラウドへの移行、DXなどの戦略/企画策定を背景に、今後も国内企業におけるコンサルティング・サービス活用は拡大すると見ています。

海老名は次のように補足しています。「調達に責任を持つソーシング、調達、ベンダー管理のリーダーは、これまで以上に選定の際はコンサルティング・サービスの品質が期待に見合うよう管理していく必要があります。サービスが期待どおりの効果を発揮しない場合、経営層やビジネス・リーダーからIT全体への信頼を損なうことにもつながりかねません」

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