2026年6月17日

Gartner、内製化は「コスト削減」ではなく変化の時代を勝ち抜くための「スピード」と「知見の社内蓄積」を目的に進めるべきとの見解を発表

ガートナー アプリケーション・イノベーション & ビジネス・ソリューション サミット (6月17~18日) においてアナリストが最新トレンドや指針を解説

 

ビジネスおよびテクノロジのインサイトを提供するガートナージャパン株式会社 (以下Gartner) は、本日から開催しているガートナー アプリケーション・イノベーション & ビジネス・ソリューション サミットにおいて、内製化は「コスト削減」ではなく変化の時代を勝ち抜くための「スピード」と「知見の社内蓄積」を目的に進めるべきとの見解を発表しました。

日本企業のITはこれまで外注を中心に発展してきました。一方で、ビジネス・スピードが経営課題となる中、RFP作成、見積もり取得、社内承認といった外注特有のプロセスが、変化対応の遅れを生みやすい構造になっています。さらに、業務要件がどのような設計判断によって実装されているのか、その背景や変更時の影響といった知見が外部ベンダー側に蓄積されるため、社内に残りにくいという課題が顕在化しています。

Gartnerが日本国内で2025年に実施した調査では、54.5%の企業がITの内製化に踏み切る目的として「コスト削減」を挙げています。一方Gartnerは、内製化をコスト削減策として位置付けるべきではなく、評価軸を「ビジネス要求を反映するまでのリードタイム短縮」と「設計判断や変更影響に関する知見の社内蓄積」へ移すべきであると指摘しています (図1参照)。

評価軸の転換が必要
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出典:Gartner (2026年6月)

ディレクター アナリストの横山 龍児は次のように述べています。「内製化は、単なる外注費削減策ではありません。変化の激しい領域で、要件定義からテストまでの意思決定と実行を迅速化し、組織としてのスピードと知見を強化するための重要な経営課題です」

こうした状況を踏まえ、Gartnerは、内製化を成功させるための3つのステップとして、(1) 現状を分析して内製能力を把握する、(2) スモール・スタートで知見を蓄積する、(3) 組織全体へ定着させて仕組み化する、というアプローチを示しています。

横山は次のように補足しています。「すべてを一度に内製化するのではなく、変化頻度が高く事業インパクトの大きい領域から始め、成功パターンを標準化して広げることが重要です。仕様が安定している領域や制度対応が中心の領域では、外部パートナーやSaaSの活用による『選択と集中』が、現実的かつ効果的な方法です」

「特に現在の内製能力を、コーディングやテストなどの『作る力』と、設計の妥当性判断やアーキテクチャ選定、技術負債の管理といった『決める力』の両面で捉えることが重要です」(横山)

人材不足が深刻化する日本市場では、内製化はIT部門だけで完結するテーマではありません。業務知識を持つ人材や市民開発者を戦力化する選択肢も考えられます。Gartnerの国内調査では、2027年までにローコード/ノーコード (LCNC) ツールの導入を検討している企業は92%に上り、非IT人材を巻き込んだ開発体制への関心が高まっています。一方で、LCNCの導入は業務部門への丸投げを意味するものではなく、アプリ台帳の整備、承認プロセス、定期的な棚卸しなど、IT部門によるガバナンスとライフサイクル管理が不可欠です。

Gartner は、外部パートナーの役割も再定義する必要があると見ています。横山は次のように補足しています。「従来のように工程単位で成果物責任を委ねるのではなく、自社が定義したプロセスと意思決定の枠組みの中で、設計補完、実装支援、レビューなどを担う『伴走者』として位置付けることが望まれます。その上で、各プロジェクトで得た成功・失敗の知見を『標準の型』として形式知化し、継続的に見直し、アップデートしていくことが、内製化を一過性の取り組みで終わらせない鍵になります」

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