2028年までのデータ/アナリティクスに関する10の戦略的展望

2023年6月18日

組織のデータ/アナリティクス戦略について、ビジョン/デリバリ計画にご活用ください。

ビジネス・イニシアティブの種類はかつてないほど増えています。そうしたデリバリのサポートではテクノロジの活用が重要であるように、データ/アナリティクス (D&A) の重要性も高まり続けています。ガートナーは、D&A戦略を企業のデジタル・ビジネス・ロードマップに統合する際の一助となるよう、D&Aの展望に関する広範なリストを毎年作成し、戦略的プランニングの仮説事項として提供しています。

ガートナーのシニア ディレクター アナリストのサラ・ジェームズ (Sarah James) は、次のように述べています。「デジタル・ビジネスはビジネス価値を創出するためのほぼ無限の可能性を組織にもたらします。データ/アナリティクスは、以前にも増して主要なビジネス成功要因になっているほか、ビジネス戦略がデータ・ドリブンになる可能性がかつてないほど高まっているため、デジタル・トランスフォーメーションとデータ・ドリブンなビジネスはさらに加速するでしょう」

将来のデータ/アナリティクスに関する実用的なアドバイス

戦略的プランニングの仮説事項は、テクノロジによって可能となる変革と、その結果としてビジネスと人に及ぶ影響を特定し、理解し、計画する上で役立ちます。また、潜在的なディスラプションを突き止めるためにも活用できます。例えば、大半の企業は今後数年間、データ中心の組織体制になって真のビジネス価値を推進しようと努めるでしょう。

ガートナーは、データ/アナリティクスに関連する2028年末までの戦略的プランニングの仮説事項を合計で100以上作成しました。これらは以下の4つのカテゴリに分類され、いずれも将来に関する内容です。

  • 中核的なデータ/アナリティクス 
  • ITリーダーシップ  
  • デジタル・ビジネス部門におけるデータ/アナリティクス
  • 業種におけるデータ/アナリティクス

以下の10の戦略的展望では、幅広いデジタル・イニシアティブにおける価値創出でD&Aがどの程度浸透し、そのためにどのような備えが必要かを示しています。

No. 1:2026年までに、Fortune 500企業の最高データ/アナリティクス責任者 (CDAO) の4分の1以上は、データ/アナリティクスをベースとした高収益プロダクトの少なくとも1つに対して責任を持つ。

CDAOはデータ/アナリティクスの主たるリーダーであり、主要なビジネス・ステークホルダーに対して、確かな成果を証明できるようにする必要があります。成功するCDAOとは、今の立場で成長し、組織のパフォーマンスにプラスの影響をもたらせる人物です。

No. 2:2026年までに、ファウンデーション・モデル (膨大な量のデータでトレーニングを行った大規模AIモデル) を拠り所とするAIスタートアップに対して、100億ドル以上が投資される。

AIは、テクノロジ・プロダクトと、プロダクト管理のあらゆる側面に多大な影響を与えます。プロダクト/オファリング・マネージャーは、価値提案の向上にAIをどのように役立てられるかについて、今すぐ、徹底的に調べる必要があります。

No. 3:2026年までに、組織の75%は、基盤となる基本プラットフォームとして、クラウドを前提としたデジタル・トランスフォーメーション・モデルを採用する。

クラウド・コンピューティングは、サービス・デリバリにおいてあらゆる期待を上回り、大いに進化してきました。オペレーション・リーダーは、デジタル・トランスフォーメーションと、より迅速なビジネス・アプリケーション革新をサポートするという任務を負っています。

No. 4:2027年までに、ジェネレーティブ・デザインAIツールによって、新規Webアプリ/モバイル・アプリの設計作業の70%が自動化される。

No. 5:2027年までに、管理者と従業員の両方のデジタル・デクステリティ向上を促進する組織は、そうしない組織よりも高い前年比売上増加率を実現する。

No. 6:2025年までに、初等中等教育 (幼稚園年長から高校卒業まで) に携わる組織の80%は、生徒のために設計された何らかのアナリティクス・アプリケーションを活用して、素早く知見を得られるようにする。

教育機関は長期戦略の改善と改良を継続的に行っています。教育業界のCIOは、デジタル・トランスフォーメーションを加速して、組織の長期的成功を促進するために、戦略的展望を活用する必要があります。

No. 7:2026年までに、政府機関の75%以上は、組織のミッションに対する長期的影響を測定することによって、デジタル・トランスフォーメーションの成功を評価する。

政府機関は、世界情勢に対応する形でデジタル投資を増加しています。CIOは、組織における技術的負債、人材/リソース不足、サービス・デリバリ要求に対処しつつ、組織による目標達成を支援することができます。

No. 8:2026年までに、医療機関の20%は、デジタルな患者エンゲージメントの主たる手段として、電子カルテ (EHR) にテザリングされる患者ポータルから、デジタル・フロントドア・ソリューションに移行する。

医療機関のCIOは、シームレスなデジタル・エクスペリエンスを提供することで潜在的なリスクを防ぎ、新しいビジネス機会を生かす必要があります。テクノロジの高度化とベンダー・ソリューションの近代化により、医療は、消費者と患者にとって、革新的なエンゲージメントの機会が伴う新たな方向へと向かっています。

No. 9:2026年までに、小売薬局の60%以上は、臨床研究を実施して、ライフ・サイエンス試験の多様性要件への対応を支援する。

ライフ・サイエンスの新時代を支配しているのは、経済的な圧力、既存のビジネスモデルに挑む外部の破壊者、そして、高度なテクノロジと科学イノベーションの結合です。CIOは戦略的展望を活用して、このような変化によって業界がどのように形作られる可能性があるかを理解することができます。

No. 10:2026年までに、クラウド・プラットフォーム/SaaSプロバイダーの上位20社のすべては、コンポーネント・マーケットプレースを提供し、顧客がコンポーザブルな戦略を使って品質、利便性、セキュリティの面で差別化を図れるようにする。

プロダクト・マーケティング担当者が成功するには、効果的で効率的な成長を推進する戦略とテクノロジに重点を移すことが必要となります。企業は、イノベーションと変革の拡大をサポートするために、機能をAPI (アプリケーション・プログラミング・インタフェース)/イベント・ファーストのビジネス・コンポーネントとして提供する、モジュール型のアプリケーションを優先するようになります。テクノロジ/サービス・プロバイダーは、自社のプロダクト/サービスを近代化してコンポーザブルなアプリケーション・アーキテクチャをサポートするようになります。

Sarah James  は、ガートナーのシニア ディレクター アナリストです。リサーチでは主に、データと人間の行動が交差する領域のトピックに注力しています。

【海外発の Gartner Articles】
本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/

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