I&Oプロフェッショナル:主要6分野における先進テクノロジのスキルを磨く

2021年12月24日

デジタル・トランスフォーメーションに対応するには、クラウド、セキュリティ、自動化などのテクノロジ分野のスキルを磨く必要があります。

組織がパンデミックから立ち直り始める中、ITインフラストラクチャとオペレーション (I&O) のリーダーは、新しい革新的なテクノロジを導入したいと考えています。しかし、その行く手には大きな壁が立ちふさがっています。そのようなテクノロジを実装し、サポートできる人材が決定的に不足しているのです。実際、ガートナーの「2021~2023年Emerging Technology Roadmap Survey」によると、ITリーダーは多くの先進テクノロジに対する導入を妨げている最大の阻害要因が人材不足であると認識しています。

ガートナーのバイス プレジデントでチーム マネージャーのイヌオ・ゲン (Yinuo Geng) は、次のように述べています。「I&Oリーダーは、先進テクノロジの導入スケジュールを加速するよう迫られていますが、能力の高いITプロフェッショナルの不足が導入の大きな障壁となっており、特にクラウド、エッジ、自動化のテクノロジに大きな影響が出ています」

今すぐダウンロード (英語):2021-2023 Emerging Technology Roadmap

人材の採用に関する課題を抱えている組織において、人材不足を解消する手段の1つは、既存チームのスキルとコンピテンシの向上に注力することで、以下に挙げるテクノロジ・トレンドを舵取りすることです。

1. クラウド・インフラストラクチャ/プラットフォーム・サービス

組織は、物理的な場所と仮想的な場所の間で、職場環境や情報を円滑に移動させることができるように、クラウド・インフラストラクチャに投資をしています。また、従業員の生産性を向上させるために、サービスとしてのクラウド・インフラストラクチャ (クラウドIaaS) 環境にデプロイされている従来のエンタプライズ・ソフトウェアを、サーバレスのサービスとしてのクラウド・プラットフォーム (クラウドPaaS) やサービスとしてのソフトウェア (SaaS) に切り替える組織も増えています。I&Oチームは、自社のためにレジリエンスに優れたテクノロジ基盤の構築/管理を支援できるよう、ハイブリッド・クラウド/マルチクラウド・プラットフォーム・サービスの管理スキルを磨く必要があります。

主要テクノロジ:マイクロサービス、分散クラウド・システム、クラウド・アクセス・セキュリティ・ブローカ (CASB)、データ・サイエンス/機械学習プラットフォーム、クラウドERP、人工知能 (AI) クラウド・サービス

2. インフラストラクチャのセキュリティ

ビジネスに対する脅威が増え続けている今、ITインフラストラクチャのセキュリティの強化と維持は、組織にとって優先課題の1つとなっています。例えば、ハイブリッドな職場環境では、組織が管理するエンドポイント・デバイスの数が増え、新たな脅威の可能性が生じています。また、ハイブリッド・ワークにより、組織のデータやアプリケーションがサービスの境界やビジネス部門をまたいで分散されるようになり、それらのセキュリティの確保が複雑化しています。

結果として、2021年にセキュリティ・テクノロジへの投資額が増えた、または増える予定であると答えたサーベイ回答者は64%に達しています。進化する脅威環境において組織を保護するために構築/導入されている最新テクノロジや先進テクノロジについては、重点的によく理解すべきです。

主要テクノロジ:エンドポイント保護プラットフォーム (EPP)、セキュア・アクセス・サービス・エッジ (SASE)、クラウド・ワークロード保護プラットフォーム (CWPP)、静的アプリケーション・セキュリティ・テスト (SAST)、ゼロトラスト・ネットワーク・アクセス (ZTNA) 

3. ネットワーク・テクノロジ

I&Oは、企業ネットワークへ中断なくアクセスを続けられるようにし、また組織内でネットワーク・サービスが効率的に提供されるようにする責任を負っています。近年、ハイブリッド・ワーク・モデルにおいて安定したネットワーク・アクセスの必要性が高まり、ネットワーク・テクノロジへの投資が拡大しています。しかし、多くの組織ではネットワーク・エキスパートの採用が難航し、先進ネットワーク・テクノロジの導入が制限されています。各地に分散した従業員へ信頼性の高い接続を提供できるネットワーク・テクノロジのスキルを磨くことは、重要な差別化要因となります。

主要テクノロジ:コンテナ・ネットワーキング、Wi-Fi 6 (802.11ax)、クラウド・マネージド・ネットワーク (CMN)

4. IT自動化

デリバリの効率性/品質/スピードを改善するために、I&Oリーダーは自動化をますます重視するようになっています。しかしその一方で、スキル不足が、IT自動化テクノロジ導入の大きな障壁となっています。I&Oプロフェッショナルが自動化の専門知識を身につければ、自社にとって強力なビジネス価値を促進できます。特に注力すべきは、社内のカスタマー・エクスペリエンスを最適化する自動化テクノロジです。そうした自動化テクノロジは、カスタマー・ジャーニーに欠かせない要素になりつつあります。

主要テクノロジ:AIOpsプラットフォーム、クラウド・テスト・ツール/サービス、デジタル・エクスペリエンス監視、コードとしてのインフラストラクチャ (IaC)

5. デジタル・ワークプレース・テクノロジ

パンデミックが始まった当初は、デジタル・ワークプレース・テクノロジへの投資が急激に増えましたが、その後2021年には、新たなデジタル・ワークプレース・テクノロジに対する需要は横ばいになりました。現在、デジタル・ワークプレースに対する企業の意欲は、従業員が場所を問わずに業務を遂行できるようレジリエンスの高い基盤を実現する先進テクノロジに向いています。

デジタル・ワークプレース・テクノロジは、ほかのカテゴリのテクノロジと比べ、それほど高度なスキルが必要なわけではありませんが、ハイブリッドな職場環境では企業の中核基盤となるため、この分野における最新のアプリケーションや先進のアプリケーションには後れを取らずに対応する必要があります。

主要テクノロジ:デジタル・アドプション・ソリューション、クラウド型で提供されるサービスとしてのユニファイド・コミュニケーション (UCaaS)

6. ストレージとデータベース

2021年はストレージとデータベースに関連する先進テクノロジの採用が減速しました。これは、I&Oリーダーが既存のストレージとデータベースのインフラストラクチャをそのまま維持し、最適化しようとしたためです。現在、I&Oリーダーは、データベースやストレージのソリューション向けに、クラウド・ベースの強力な基盤を構築することに焦点を絞っています。2022年以降は、オブジェクト・ストレージやソフトウェア・デファインド・ストレージ (SDS) などの採用の増大が見込まれるため、こうした新しい社内アプリケーションの大規模な開発を可能にするテクノロジに関連したスキルを磨くことをお勧めします。

主要テクノロジ:パブリック・クラウド・ストレージ、ソフトウェア・デファインド・ストレージ

【海外発の Gartner Articles】
本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/

ガートナーのサービスをご利用のお客様*にお勧めのレポート (英語):

*契約されているサービスにより本ドキュメントを閲覧いただけない場合もございますので、ご了承ください。

ビジネスを成功に導くガートナーのサービス

ガートナーのエキスパートから提供する、確かな知見、戦略的アドバイス、実践的ツールにより、ミッション・クリティカルなビジネス課題の解決を支援します。

Get Smarter

Gartner Webinars

Gartner Webinars

ガートナーのエキスパートから、さまざまな分野における最新の知見をご紹介

ガートナー コンファレンス

ニュースレター「Gartner News」へご登録ください

「Gartner News」はITの各分野を幅広くカバーした「皆様のビジネスとITを成功に導く情報」をお届けいたします。

ご登録のEメールアドレス宛てに、最新リサーチ情報、コンファレンス開催情報などをお届けいたします。

Gartner Articles

さらに Gartner Articles を表示する