2025年9月9日

Gartner、政府機関のAI導入を牽引する重要なテクノロジを発表

 

ビジネスおよびテクノロジのインサイトを提供する企業であるGartner, Inc.は、今後2〜5年以内に、ソブリンAIとAIエージェントが公共機関におけるAI導入を牽引するとの見解を発表しました。これらのテクノロジは、Gartnerの2025年版のHype Cycle for Government Services (行政サービスのハイプ・サイクル:2025年) において、「過度な期待」のピーク期に位置付けられています。

Gartnerのハイプ・サイクルは、テクノロジやアプリケーションの成熟度と普及率のほか、それらが実際のビジネス問題の解決や新たな機会の活用にどのように関連するかを図示したものです。Gartnerのハイプ・サイクルの方法論では、テクノロジやアプリケーションが時間の経過とともにどのように進化するかを視覚的に説明することで、特定のビジネス目標に沿って採用を判断するのに最適なインサイトを提供します。

バイス プレジデント アナリストのディーン・ラチェカ (Dean Lacheca) は次のように述べています。「公共セクタのリーダーは、高まる市民の期待に応え、地政学的な不確実性を舵取りし、より少ないリソースでより多くの成果を挙げなければならないというプレッシャーに直面しています。AIエージェントを活用すれば、こうした課題に対処できますが、それを成功させるには、『イノベーション目標』と『政府機関の広範な優先課題』のギャップを埋め、投資がサービス/信頼/レジリエンスの強化につながるようにする必要があります」

政府機関にとって高いポテンシャルを秘めているとGartnerが特定したイノベーションのうち、プロンプト・エンジニアリングは今後2~5年以内に、そしてマシン・カスタマーは5~10年以内に主流の採用に達すると見込まれています (図1参照)。

図1. 行政サービスのハイプ・サイクル:2025年
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出典:Gartner (2025年9月)

ソブリンAI
ソブリンAIとは、国家が独自の主権目的を達成するために、自国のAI開発とAI活用に投資し、それらを進展させる取り組みを指します。それによって、自動化を通じた行政オペレーションの強化、プロセスの近代化による従業員エクスペリエンスの改善、市民エンゲージメントの加速が可能になります。

Gartnerは2028年までに、世界の政府機関の65%が独立性を高めて他国による規制干渉から守るために、テクノロジ主権に関する何らかの要件を導入するようになると予測しています。ソブリンAIが目指すのは、AIの価値を最大限に高めつつ、関連するリスクを軽減することです。これは特に、共通の目標を達成するため協力し合う主権国家にとって重要となります。

AIエージェント
AIエージェントとは、デジタルおよびリアルの環境で、状況を知覚し、意思決定を下し、アクションを起こし、目的を達成するためにAI技術を適用する自律的または半自律的なソフトウェアを指します。AIエージェントは、政策に関する市民からの申請プロセス、法令の解釈、定型作業の自動化など、政府によるサービス提供の向上に役立ちます。

Gartnerは2029年までに、世界の政府機関の60%がAIエージェントを活用して、市民との多様なやりとりの半分以上を自動化するようになる (2025年の10%未満から増加) と予測しています。

「政府機関のリーダーは、まずAIエージェントの価値が最も発揮される領域を特定した上で、戦略的な計画にAIエージェントを組み込む必要があります。次に、組織内や市民からの期待事項を管理し、懸念に対処するために、的を絞った試験運用を実施します。その後はさらに、試験運用から先の段階へと取り組みを進めるための明確なロードマップも策定すべきです」 (ラチェカ)

プロンプト・エンジニアリング
プロンプト・エンジニアリングとは、生成AIモデルの応答に指示や制約を与えるために、テキストや画像のインプットを提供することです。適切に設計されたプロンプトは、応答の品質、パフォーマンス、信頼性を大幅に向上させます。政府機関は、状況に即したプロンプト・エンジニアリングのスキルへの投資や、効果的なプロンプト開発を支える再利用可能なプロンプト・ライブラリの作成を通じて、組織内のAIリテラシーを高めることで、AI生産性ツールの効果を最大限に高めることができます。

「政府機関が現在投資しているAIソリューションは、状況に即した明確なプロンプトをユーザーが作成したときに最大の効果を発揮します。強力なプロンプト・エンジニアリング能力の育成に投資する意向が組織内にないのであれば、AIソリューションに投資すべきではありません」 (ラチェカ)

マシン・カスタマー
マシン・カスタマーとは、ソフトウェアやロボットが人や組織の代わりにモノやサービスを購入する、人間以外の経済主体のことです。Gartnerは2030年までに、現在インターネットに接続されカスタマー (顧客) として動作できる30億台のB2Bマシンが、80億台にまで増加すると予測しています。政府機関には、マシン・カスタマーに対する認証、サービス提供、規制を行える機能が必要になります。例えば、オーストラリアで提案されている電気自動車の道路使用税は、車両から運行状況が政府機関に直接報告されるという方法で管理される可能性があります。

「政府機関のリーダーは、市民や産業界によるマシン・カスタマーの導入に伴って、規制の適用やサービス提供の見直しが必要になる分野を特定する必要があります。既存の行政サービス提供モデルは破壊され、倫理/法律/説明責任に関する課題が生じるでしょう。政府機関は、マシン・カスタマーの増大に向けて準備不足のままでいる余裕などありません」 (ラチェカ)

ディスティングイッシュト バイス プレジデント アドバイザリの松本 良之は、日本向けに次のように補足しています。「日本においても、自治体や中央省庁の現場では、限られた予算や人員の中で多様化・高度化する市民ニーズに応えるとともに、業務の効率化と信頼性を両立することが求められています。こうした状況下で注目されるのが『ソブリンAI』です。ソブリンAIは、国家や組織が自らの主権を維持するために、外部に依存せず自国・自組織内でAIシステムを運用・管理する枠組みを指します。これは、セキュリティや規制対応、データ主権といった観点から、公共機関にとって戦略的なテクノロジの選択肢となり得ます。Gartnerでは、日本の公共機関がこのようなテクノロジを導入・活用する際には、現場のニーズと制度的要請を両立させる『現場主導×戦略志向』のアプローチが今後ますます重要になると見ています」

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート行政サービスのハイプ・サイクル:2025年およびHype Cycle for Government Services, 2025 (英語) で詳細をご覧いただけます。
なお日本では、政府機関におけるAI:Eye on Innovationのユースケース事例および2025年のCIOアジェンダ:政府機関における最優先課題とテクノロジ計画をはじめとした政府・公共向けのレポートを発行しています。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

政府機関でAIを導入して市民へのサービス提供を改善する方法については、Gartnerの無料ウェビナーGovernment Leaders, Is Your Data Ready to Enable Secure AI Initiatives? (英語) をご覧ください。

Gartner IT Symposium/Xpoについて
Gartnerは来る10月28~30日に「Gartner IT Symposium/Xpo」をパシフィコ横浜ノースにて開催します。2025年度は「変革のエージェント:知を武器に、道を切り開く」をテーマに、主要なトピック領域における最新のテクノロジ、戦略、リーダーシップに関する知見を提供し、CIOとリーダーシップ・チームにとっての最重要課題を取り上げます。コンファレンスのニュースと最新情報は、XLinkedInFacebookでご覧いただけます (#GartnerSYM)。

Gartner AI Use Case Insightsについて
Gartner AI Use Case InsightsはテクノロジおよびビジネスリーダーがAIユースケースを効率的に発見・評価・優先順位付けし、導入を検討できるインタラクティブ・ツールです。Gartnerのサービスをご利用のお客様は、業界ごとのAIの活用事例 (ユースケース) 500件以上、実際の導入事例 (ケーススタディ) 380件以上を、業界・業務機能・Gartnerによるビジネス価値評価などの条件で検索できます。インタラクティブ・ツールは https://tools.gartner.com/use-case-insights からアクセスいただけます。

※本プレスリリースは、グローバルで2025年9月9日 (現地時間) に発表したプレスリリースを基に日本向けに編集しています。原文はこちらを参照ください。

Gartner for Government and Public Sectorについて

Gartner for Government and Public Sectorは、政府・公共セクタのITリーダーとそのチームの重要な課題において、より優れた意思決定と大きな成果を創出し、実行可能かつ客観的なインサイトを提供します。詳細は  https://www.gartner.com/en/industries/government-public-sector/all (英語) よりご覧いただけます。日本の府省庁/地方自治体および公共機関・団体のITリーダーとそのチーム向けには以下よりご案内しています。https://www.gartner.co.jp/ja/industries/government-leaders-choose-gartner

日本のITエグゼクティブ向けのニュースや最新情報は、GartnerのXLinkedInFacebookでも案内しています。最新のプレスリリースや記事、ウェビナー情報については、ニュースルームよりご参照ください。

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