2025年10月28日

Gartner、2030年までにすべてのIT業務にAIが導入されるとの調査結果を発表:組織はAIと人間の両面を準備してバリューの発見/獲得/持続を目指す必要がある

Gartner IT Symposium/Xpo 2025 (10月28~30日開催) にて、Gartner Positioning Systemを活用したバリュー創出の道筋をアナリストが解説

 

ビジネスおよびテクノロジのインサイトを提供する企業であるガートナージャパン株式会社 (以下Gartner) は、2030年までに、AIを使わずに人間が行うIT業務はなくなり、AIを活用して人間が行うIT業務は75%、AI単独で行うIT業務は25%になるとCIOが予想しているという調査結果を発表しました。これは、Gartnerが2025年7月に世界で700人以上のCIOを対象に実施した調査から明らかになったものです。この結果は、AIのバリューを獲得するために、AIの準備と人間の準備の両面が必要になることを意味しています。

本日から木曜日まで開催されているGartner IT Symposium/Xpoのオープニング基調講演において、Gartnerのアナリストは日本のCIOおよびITエグゼクティブの参加者に対し、この両面での準備に心配ない組織はまだ少数である状況を説明しました。

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Gartner IT Symposium/Xpoのステージで解説するエキスパートの松本 良之とアンディ・ラウゼル・ジョーンズ

ディスティングイッシュト バイス プレジデント アドバイザリの松本 良之は、次のように述べています。「Gartnerは長年にわたって、CIOやITエグゼクティブにAIへの取り組みに関する指針を提供してきました。2023年には、AIの目標を具体化する方法を提示し、昨年のIT Symposium/Xpoでは、組織ごとに最適なペースでAIの成果を実現する方法について説明しました。そして今年は、AIによるバリュー創出への正しい道筋『ゴールデン・パス』を示していきます」

ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストのアンディ・ラウゼル・ジョーンズ (Andy Rowsell-Jones) は、次のように述べています。「すべてのAIに、バリューを生み出す準備ができているというわけではありません。しかし、それ以上に、人間側にバリューを獲得する準備ができていません。AIの準備とは、人間がバリューを見つけ、特定のユースケースのニーズに効果的に対応する上で、AIを役立てることを意味します。人間の準備とは、AIのバリューを獲得し、持続させるために、適切な人材と組織があるかどうかを意味します」

人材の変革により、AIのバリューを獲得し、持続させる

Gartnerは、AIが世界の雇用に与える影響について、2026年末までは全体として均衡が保たれると見ています。また、2036年までに、AIソリューションの導入によってタスク/活動/仕事が拡張されたり自律的に提供されたりすることで、新しいAIイニシアティブを支援するために5億人以上の新たな雇用が生み出されるようになると見ています。

松本は、次のように説明しています。「AIの活用は、雇用の喪失ではなく、人間の働き方の変革を意味します。CIOは、この変革の手始めとして、特に複雑度の低い業務での人材不足を緩和し、収益を生み出す新しいビジネス領域に人材をより多く再配置すべきです」

AIの活用は、生産性向上やコスト最適化に寄与しますが、新たなバリューを獲得するには、さらなる施策が求められます。従業員は、新しい方法でAIと働くことができるようになる必要があります。必須とされるスキルも変化していきます。AIから大きなバリューを獲得できるか否かは、人間とAI技術の両方の準備に大きく依存します。

ラウゼル・ジョーンズは、次のように指摘しています。「AIによる自動化や補完できる準備が整っているため、要約、情報検索、基本的な翻訳などのタスクに関するスキルの重要性は低下するでしょう。その一方で、AIは新しいスキルのニーズも生み出します。こうしたAIスキルは、従来の多くのスキルと本質的に異なります。従来のスキルがタスクをより良く遂行することを目的としていたのに対して、AIのスキルは人間の能力を高めることに重きを置きます。AIが提供する高度なシミュレーション環境 (AIツイン) を活用することで、人間の意欲を引き出し、思考力を磨き、コミュニケーション力を高める役割も果たします」

Gartnerのアナリストは、組織のスキル育成計画を新しいスキルの習得に限定すべきではないと指摘しています。AIへの依存が過度に高まり、人々が自らの中核となるスキルを使わなくなると、スキルが衰えてしまう恐れがあります。職務に必要な重要スキルを維持できているかどうかを確認するために、従業員のスキル減退を定期的に評価することが求められます。

AIの準備を通じてAIのバリューを見つける

AIの準備は、技術的な能力、コスト、ベンダー選定の観点から評価する必要があります。

  • 技術的な能力:検索、コンテンツ生成、要約など、いくつかのAI機能は、既に実用化されています。しかし、AIの正確性やAIエージェントなどの能力はまだ十分とは言えません。組織が技術的な能力を正しく見極めることができなければ、AIから得られるバリューの実現が不安定になり、失敗するリスクが高まります。例えば、AIの正確性やAIエージェントを検討する際には、AIの正確性を確保するためのプロセスを独自に構築し、自律型かつマルチエージェント型のAIシステムの試験運用を行うことで、業務プロセスの再構築や新たな収益創出につなげることが重要です。
  • コスト:2025年5月にGartnerが世界のCIO/テクノロジ・リーダー506人を対象に行った調査では、CIOの74%が現在のAIのコストは、実現されるバリューと同等か、それを上回っていると回答しています (日本の回答者だけで見るとこの割合は63%)。組織は、AIツールを1つ購入するごとに、トレーニングや変革推進プログラムといった移行コストを見込む必要があります。こうしたコストを分析し、どこに資金を投じるかを判断することが重要です。
  • ベンダー選定:組織のAIのニーズに合致するベンダーを選定する上では、AI導入のタイプに応じて選択肢が異なります。
    • AIの大規模な展開を計画している場合、主要なハイパースケーラーが幅広い成果をサポートするAIインフラの規模を提供する
    • 業界特有のユースケースの場合、各業界のリーディング企業と提携したスタートアップ企業が領域に特化したAIエージェント、深い専門知識、即効性のある能力を提供する
    • 迅速なイノベーションと最先端のAI能力を求める場合、AI研究開発企業がイノベーションに対応する。ただし、現状では、エンタプライズ対応の規模には、まだ対応できていない
    • AIのあらゆる意思決定は国や地域の主権に関わるようになるため、各国が個別に導入するソブリンAIの政策ソリューションを無視してはならない

Gartnerは、新たな取り組みに対して組織の準備がどの程度整っているかを評価するために、人間とAIの準備の「現在地」を4象限で示しています。このシステムを指針として活用し、テクノロジと人間の両面でAIの目標を達成する準備ができているかどうかを評価することで、組織はAIのバリュー実現に向けて前進できます (図1参照)。

図1:組織の「現在地」を示すGartner Positioning System (位置表示は例)

出典:Gartner (2025年10月)

松本は、次のように強調しています。「Gartner Positioning Systemを指針とすることで、AIのバリューを見つけ、獲得し、持続させることを目指して前進できます。取り組みに成功すれば、現状の限界を突破でき、AIは衝撃を生み出します。未来の予測が容易になる可能性もあります。しかし、AIの真価が発揮されるのは、組織のコア・コンピテンシの向上や、これまで不可能だった問題の解決のためにソリューションが活用されたときです」

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、Walking the Golden Path to Value: 2025 IT Symposium/Xpo Keynote Highlights (英語) で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

Gartner IT Symposium/Xpoについて
Gartner IT Symposium/Xpo (10月28~30日、パシフィコ横浜ノースにて開催) は、世界のCIOおよびITエグゼクティブが集う最重要コンファレンスです。CIOやITエグゼクティブは、組織変革の担い手としてAIを活用し、デジタル変革を成功させるためのインサイトを得る場として活用しています。最新情報は、XLinkedInFacebookで#GartnerSYMをフォロー、またはニュースルームをご覧ください。

Gartner AI Use Case Insightsについて
Gartner AI Use Case InsightsはテクノロジおよびビジネスリーダーがAIユースケースを効率的に発見・評価・優先順位付けし、導入を検討できるインタラクティブ・ツールです。Gartnerのサービスをご利用のお客様は、業界ごとのAIの活用事例 (ユースケース) 500件以上、実際の導入事例 (ケーススタディ) 380件以上を、業界・業務機能・Gartnerによるビジネス価値評価などの条件で検索できます。インタラクティブ・ツールは https://tools.gartner.com/use-case-insights からアクセスいただけます。

Gartner for Information Technology Executivesについて

Gartner for Information Technology Executivesは、CIOおよびITリーダーが組織のデジタル・トランスフォーメーションを推進しビジネス成長を創出するための実行可能かつ客観的なインサイトを提供します。詳細は www.gartner.com/en/information-technology (英語) よりご覧いただけます。

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