2025年12月10日
2025年12月10日
AI共生時代を乗り越えるために企業を再定義し進化を加速させる必要がある
ビジネスおよびテクノロジのインサイトを提供するガートナージャパン株式会社 (以下Gartner) は、2026年に向けて獲得すべきマインドセットを発表しました。
ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストの亦賀 忠明は次のように述べています。「かつてない変化が相次ぐ中、従来の考え方に固執し続ける企業や組織は、時代とのギャップによって苦境に立たされ、取り残されて衰退していくことは確実です。企業や組織は、2026年に新たなマインドセットを身に付け、AI共生時代を楽しみながら乗り越えることが重要です」
2026年に向けて獲得すべき新たなマインドセットは、「適切な時代認識」「New Worldの創造」「江戸の店じまい」「ファンダメンタル」の4つのカテゴリに分けられます (図1参照)。
出典:Gartner (2025年12月)
時代認識と時代精神を理解し、共有する
自動車業界やメディア業界を中心に、デジタルによる産業革命的な破壊的時代変化が起こっています。これらのリアリティを直視し、適切に対応し、実行しない企業は、この先の厳しい競争で生き残るのは難しくなり、10年以内に消滅する可能性があります。企業や組織はこのような事態を正しく認識し、正しく対応するためにテクノロジと人と知による武装を行い、結果を出すために備える必要があります。
People-Centricを徹底する
産業革命、AI共生時代においては、テクノロジに関わる「人」がより重要になり、企業や組織が、従業員に心理的安全性を確保し (大事に)、彼らが元気に、活躍できる職場環境を提供することは、不可欠になります。「競争力を強化したい企業はテクノロジだけでなくPeople-Centricと人材投資を徹底的に強化すべきです。グローバルで強い企業は、破壊的なテクノロジを導入するだけでなく、People-Centricの徹底を明確で腹落ちするメッセージで伝えたり、施策で具現化したりしています」(亦賀)
新しいビジネス・アーキテクチャへと舵を切る:機械にできることは機械にやらせる
Gartnerは、機械的な対応をしている伝統的なコールセンター担当者の多くが、2030年までにAIによって置き換えられると見ています。また、事務的な業務の80%はハイパーオートメーションによって置き換えられるという仮説も立てています。企業や組織は、テクノロジに出来るものはテクノロジに任せ、人は人間ならではのサービスに注力することがこれからの大きな方向になります。それには、従来の業務中心の考え方から、既存の業務がなくなることを前提にした、新しいビジネス・アーキテクチャへの転換が求められます。
デジタル、AIを前提とした企業へと再定義する
テクノロジの進化による歴史的な変化の大きい時代においては、業務を中心にIT部門が対応を取る従来のやり方では、柔軟な変化対応を推進できません。企業や組織は、歴史的な大競争に備えるために、デジタルを「活用」する企業から「デジタルが前提の企業」への転換が必要であり、それにはテクノロジを駆使して、テクノロジや従業員に対するかつてない投資を行う必要があります。AIをはじめとしたスーパーパワー (想像を絶するテクノロジ) を駆使できる高度な人材が、企業としての能力を強化、進化させることができます。産業革命を実現できるエンジニアとしてのスキル、マインドセット、スタイルの能力を獲得すべく人材を強化することは、これからの企業の生き残りを左右します。
AI共生時代へ備える
AIエージェントやヒューマノイドの登場など、AIが強化され、すべてがAIとなり得る時代に突入している中、私たちは今まで以上に人間として何をすべきか、人間力や人間性の強化が問われています。亦賀は次のように述べています。「AIが進化し人間化が進むように、人間の機械化も進んでいます。機械化が進む人間は、強化されるAIに職を奪われる可能性があります。企業や組織は自社を従業員である人間が活躍できる組織に再定義し、AIの利用とパフォーマンス評価の在り方を明確にするなど、AIとの共生を前提とした組織への転換が必要です」
江戸ダッシュ問題を認識する
ITインフラの近代化はインフラストラクチャ&オペレーション (I&O) リーダーにとっての喫緊の課題であり、レガシー・マイグレーションの議論が活発になっています。一方、多くの場合では、現在の業務システムを引っ越すべきか、それとも維持すべきか、という「江戸ダッシュ」の議論に終始しています。業務を変えないでテクノロジだけを変えてもシステムはあくまでも従来のまま (江戸ダッシュ) であり、時代変化への対応という観点では相当にリスキーな状況です。また、レガシー・システムに対応できる人材は高齢化により、今後さらに人材不足は深刻化します。時代に即したビジネス・プロセスやアーキテクチャに再定義しなければ時代の変化に取り残される可能性があります。
高コストへ対応する交渉人となる
オンプレミス・インフラの老朽化対応やレガシー・インフラの維持に関するベンダーの製品コストやサポート・コストが上昇しています。2028年までに、メインフレームのマイグレーションを行おうとする企業の70%が、移行費、運用費、それぞれ300%以上の値上げを要求されるとGartnerはみています。I&Oリーダーには、ベンダーが提供するコストの値上げに対応する高い交渉能力が求められます。
引っ越しを成功させる
クラウドという名称が登場して約20年の間、クラウドは大きな変遷を遂げてきました。中でもクラウド・ネイティブとAI、特に生成AIやAIエージェントのトレンドは、クラウドの進化を加速させています。すべての企業は、クラウドのスーパーパワー化に備えるべく、クラウドそのものの見方を捉え直して戦略を抜本的に見直す必要があります。「本物のクラウド」を使ったオンプレミスからのメインフレーム移行 (引っ越し) に向けて、I&Oリーダーはもとより経営者は、引っ越しは企業の重大なビジネス・リスクにもなり得るテーマと捉え、業務の見直しができるところは見直し、断捨離し、無理なく無事に引っ越しを成功裏に終わらせる必要があります。昨今ではAIもうまく使いながら、効率よく引っ越しをさせるノウハウの獲得も急務となっています。
ベンダーとの関係を見直す
企業が産業革命クラスの大変化に対応するには、従来のベンダーとの関係性を見直すことも重要になります。それには、まず自分たちが変わる必要があります。IT部門は、ビジネス部門の下請け的な立ち位置で業務中心に考える、ベンダーに丸投げするという前時代的なやり方から、新しいスキル、マインドセット、スタイルを獲得して、企業内のプロとして「テクノロジを自分で運転する」能力を高めていくことが重要です。また、テクノロジを駆使してデジタルが前提の新しいビジネス・アーキテクチャを構築できるベンダーを中長期的な戦略的パートナーと捉え付き合いを深めることが推奨されます。
時代の変化を踏まえ適切な言葉を使う
時代変化への対応という点では、何かを決断、実行する際に使う言葉を見直すことも重要です。これは、大きな戦略を作るということではなく、すぐに経営から現場まで対応できる実行しやすい (アクショナブルな) 施策であると言えます。新しいことを始めたり投資したりする際に、「もうかるのか」「できるのか」「事例はあるのか」など「~なのか」が口癖になっている経営者やリーダーが今でも日本企業に多く見られます。亦賀は次のように述べています。「『なのか』は他人事としての表現となりますが、まずは自分で『勉強』『運転』してみるなど自分事として捉えて、自ら戦略を描いて実行する意識を持つことが重要です。競争力のある企業は、適切な言葉を使ってしっかりと言語化し実行しています」
Gartnerは、2028年までに、日本企業の70%は、時代に合わない言葉を無意識かつ継続的に使うことで衰退すると見ています。
亦賀は次のように総括しています。「長期的に進化し続ける企業は、People-Centricを徹底し、健全で活力のある企業を維持するとともに、顧客だけでなく従業員や地域社会といったステークホルダーにも配慮しています。そして短期だけでなく長期に向けた継続的な人材とテクノロジへの投資による能力の強化を行っています。こうした企業は、AI共生時代においても、スーパーパワーを駆使するケイパビリティを持つ企業へと転換できるでしょう。すなわち、これからの企業は、AIにより人の雇用が奪われるかもしれないと従業員の多くが不安になり、元気が無くなる企業と、AIによってさらに人間力が強化され、より人が大事にされ、元気になり、活躍できる企業に分かれるでしょう。結果として、前者はAIによる自動化を待たずに衰退し、後者は、AIを前提により強い企業になっていき、2030年に向けて、その差はさらに拡大していきます」
Gartner for Infrastructure & IT Operations Leadersは、インフラストラクチャおよびITオペレーション部門のリーダーがビジネスに価値を提供する方法を再考するのに役立つ先見性のある知見をご提供します。詳細については、こちらをご覧ください。https://www.gartner.co.jp/ja/infrastructure-and-it-operations-leaders
日本のITエグゼクティブ向けのニュースや最新情報は、GartnerのXやLinkedIn、Facebookでも案内しています。最新のプレスリリースや記事、ウェビナー情報については、ニュースルームよりご参照ください。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products
Gartner, Inc. (NYSE: IT) は、お客様の重要な課題において、より優れた意思決定と大きな成果を創出し、実行可能かつ客観的なビジネスおよびテクノロジのインサイトを提供します。詳細については下記Webサイトでご覧いただけます。