Gartner、AIを複数の事業部門にわたって本格的に展開できている組織は22%にとどまるとの調査結果を発表

2026年9月3日

成功事例は少ないものの、AIへの投資は加速

ビジネスおよびテクノロジのインサイトを提供するGartner, Inc.は、AIを複数の事業部門にわたって本格的に展開した、またはAIファーストのアプローチを採用した組織は全体の22%にとどまるとのグローバルの調査結果を発表しました。また、2025年に自部門がAIへどれだけ費用を投じたかを全く把握していない組織も約11%存在します。

Gartnerは2026年1月から4月にかけて、2025年度の年間売上高が5,000万ドル以上の企業に所属する1,303人を対象に調査を実施しました。その結果、成功事例が限られているにもかかわらず、AIへの投資は引き続き加速していることがわかりました。部門リーダーの85%が、2026年にはAI関連支出を増やす予定と回答しており、2025年には各部門予算の平均12%をAIに充てていました。

ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストでGartnerフェローのティナ・ヌノ (Tina Nunno) は次のように述べています。「このような財務面での可視性の欠如は、支出の加速に伴いリスクが高まります。ビジネス成果に直接結び付いた厳格な測定基準がなければ、組織はリソースの無駄遣いや期待外れの結果に陥るリスクがあります」

AI投資のROI (投資対効果) を継続的に追跡し、AIを価値創出のポートフォリオとして管理するとともに、プロジェクトのパフォーマンスを定期的に評価し、成果の低い施策には再配分または中止する高パフォーマンス企業では、AI施策の81%がプラスのリターンを生み出していました。一方、低パフォーマンス企業では、AI施策の29%について投資対効果を把握できていないと回答しています。

さらに、多くの部門では大胆な変革や新たな収益源の創出よりも、生産性向上を優先しています。生産性向上は部門リーダーの75%が主要な成果目標として挙げており (図1参照)、AI関連予算の平均約30%がこの目的に充てられています。この割合は、次に高い目標の約2倍に相当します。

図1. AI活用で各部門が最も重視する成果は「生産性向上」(複数回答、リーダー回答比率)
AI活用で各部門が最も重視する成果は「生産性向上」

出典: Gartner (2026年9月)

ヌノは次のように述べています。「生産性向上、売上成長、リスク軽減、イノベーションといった成果のカテゴリごとに投資額を追跡している部門リーダーは、投資を正当化し、不調なプロジェクトがあれば、迅速に再配分できる体制を整えています。ビジネス目標に直結した厳格な測定基準がなければ、組織は監視や説明責任への要求が高まる中で、資源配分の誤りや機会損失に直面することになります」

人気のAIユースケースが高い投資効果をもたらすとは限らない

最も広く導入されているAIユースケースが、必ずしも最大のリターンを生み出しているわけではありません。部門リーダーは、実際に価値を生み出す活用例よりも、人気や話題性の高いAIアプリケーションを優先するという落とし穴に陥りがちです。

最も多く取り組まれている上位3つのAIユースケースと、プラスのリターンを報告したリーダーの割合が高い上位3つのAIユースケースを比較すると、IT分野において明確なギャップが見られます。Cレベル幹部が最も多く推進しているAIユースケースは、サイバーセキュリティ脅威の検知/対応 (54%)、ITサービスデスクの自動化 (54%)     、コード生成およびリファクタリングの自動化 (44%) でした。一方、投資効果が最も高かったAIユースケースはインテリジェントなIT資産・コスト最適化 (40%)、合成データ生成 (28%)、コード生成およびリファクタリングの自動化 (23%) が挙げられています。

ヌノは次のように述べています。「組織は、一般的にはあまり導入されていないものの、自社固有のビジネスニーズと密接に整合した戦略的なユースケースから、最大限かつ定量的な価値創出を得ています。CEOやCIOは、どのユースケースが最大のリターンを生むかを特定し、各部門や部門リーダーに明確かつ効果的な目標を設定することが求められます」

ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストの亦賀 忠明は日本国内向けに、次のように補足しています。「日本においても、多くの企業が3年ほど前から生成AIの導入を進め、生産性向上を期待してきました。一方で、現在でも『期待したほどの効果が得られていない』という声は少なくありません。その背景には、AIを導入すればそのまま生産性向上につながるという安易な期待や、AIを使うカルチャーや業務プロセスが十分に整っていないまま導入を進め、結果として利用が広がっていないといった、さまざまな要因があります。その一方で、従業員個々人による生成AIの利用にとどまらず、AIエージェント・プラットフォームを企業共通の基盤として整備し、業務そのものを変えていこうとする動きも急速に広がっています。企業には、これまでの取り組みを単純に成功・失敗で評価するのではなく、進化し続けるAIと継続的に向き合いながら、従業員個々人の生産性向上からAIエージェントによるビジネス変革へと段階的に取り組み、企業そのものを時代変化に対応させていくことが重要です」

※本プレスリリースは、グローバルで2026年9月1日 (現地時間) に発表したプレスリリースを基に日本向けに編集しています。原文はこちらを参照ください。

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