2025年5月14日
2025年5月14日
AGIに向けた新たなエージェント型AIとヒューマノイドと共にビジネスを行うことが常態化する「AI共生時代」に備えるために、それぞれの理解を深め、実践へと舵を切る必要がある
ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、市場で混乱が生じているAIエージェントとエージェント型AIに関する見解を発表しました。
2024年には「AIエージェント」、2025年には「エージェント型AI (またはエージェンティックAI)」という言葉が注目されるようになり、両者の違いについて混乱が見られます。Gartnerでは、AIエージェントとエージェント型AIを以下のように定義しています。
ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストの亦賀 忠明は次のように述べています。「AIエージェントとエージェント型AIの境界線は曖昧であり、市場でも、AIエージェントとエージェント型AI (エージェンティックAIとも表現される) の2つの用語があり混乱しています。この用語の使い方はこれから定着していくとみていますが、Gartnerでは、AIエージェントは、エージェント型AIの1つと捉えています。すなわち、エージェント型AIは、AIエージェントよりも包括的かつ進化的な概念であり、より高度で自律性の高いAI像を示唆しています」
Gartnerはチャットボット、RPA (ロボティック・プロセス・オートメーション)、AIエージェント、エージェント型AIの違いを次のように示しています (図1参照)。
出典:Gartner (2025年5月)
AIは、その自律性や判断力に応じて段階的に進化しています。現在の多くのAIエージェントは「手組み細工的な存在」であり、ある程度の判断力を持ち、シンプルなタスクの一部を自律的に実行できます。一方、新世代のエージェント型AIは「エージェント性と目標指向性※を備えた進化系」であり、記憶や計画、ツール活用などの機能を備え、複雑なタスクを自律的に目的指向で遂行することが期待されています。AIは単なる自動化から、人の代理として行動する高度なエージェント型へと進化しつつあります。
※エージェント性:特定の成果を達成するためにどのアクションを実行すべきかを自律的に選択する性質/目標指向性:目標に向かって一貫した行動を取る性質
AIエージェントやエージェント型AIに関連するテクノロジの進化は、まさに日進月歩です。実際、日々、新たな手法やテクノロジやアプローチが考案され、先進的なエンジニアを中心に議論、実践され、グローバル・エコシステムの中で進化し続けています。現在、急速にホットになりつつあるテーマとしては、AIエージェントがツールなどを多用する際に、一貫した思考や記憶を与えるプロトコルであるMCP (モデル・コンテキスト・プロトコル)、また、AIエージェント同士が連携するための会話のルールを定めるAgent-to-Agent (A2A) のようなエージェント間プロトコルです。こうした具体的なイノベーションを伴い、AIエージェントは、さらに高度なものへと進化しつつあります。
亦賀は次のように述べています。「このような状況の中で、企業は、これらのテクノロジに対する理解を深め、手組み細工的なAIエージェントと進化系となるエージェント型AIの違いを見極める目利き力を高めていく必要があります。AIエージェントは新たなバズワード的な側面も持っています。ベンダーは、これを新たな商機としてみなし、こぞってAIエージェント構築を企業に提案しつつあります。ここでは、ユーザー企業は、少なくとも、具体的なテクノロジやフレームワークが無い概念だけのベイパーウェア (存在するかのように宣伝されるが、実際には存在しない製品) に振り回されないようにすることが重要です。一方で、候補となるベンダーが明確で堅実な競争力のあるテクノロジを提示していると判断できる場合には、それを戦略的に導入し、Ops (継続的改善) のアプローチでリアリティとビジョンを追及していくことが、産業革命とAI共生時代に向けた組織や企業の適応力を高めるうえで重要なテーマとなります」
Gartnerは、2028年までに、日本企業の60%では、AGIベースの新たなエージェント型AIとヒューマノイドと共にビジネスを行うことが当たり前となるとみています。
亦賀は次のように補足しています。「AIは今後数年~数十年かけて進化し、人間の能力を凌駕する可能性があります。そのとき、AIの単なる利用方法だけでなく、人間の役割や働き方そのものが改めて問われることになります。よって、企業はAIエージェントとエージェント型AI、さらにAGI (汎用人工知能) への進化をAI共生時代と捉え、またそうした時代に備えるためにも、今からAIエージェントやエージェント型AIへの理解を深め、戦略的に準備を進めておく必要があります。そこでは、AIが支援する領域にとどまらず、人を代替したり統制したりする領域も視野に入れた、人間とAIの関係性に関する戦略が求められます」
Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート「クイック・アンサー:AIエージェントとエージェント型AIをどう捉え、何をすべきか」ならびに「2025年の展望:産業革命とAIがもたらす破壊的な未来へ対応する」で詳細をご覧いただけます。なお、前出の亦賀は「生成AIとAIエージェントトレンド:2025」と題した無料のウェビナー (6月12日、14:00-15:00) でも生成AIおよびAIエージェントに関する最新トレンドを解説します。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。
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