2024年5月22日

Gartner、2024年のデータ/アナリティクスのトップ・トレンドを発表

「ガートナー データ & アナリティクス サミット」(5月21~23日、東京) においてアナリストが解説

 

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、開催中の「ガートナーデータ & アナリティクス サミット」において、2024年のデータ/アナリティクス (D&A) のトップ・トレンドを発表しました。これらのトレンドにより、組織的/人的な問題を含め、さまざまな課題が顕在化しています (グローバルでは2024年4月25日に発表しています)。

バイス プレジデント アナリストのガレス・ハーシェル (Gareth Herschel) は、次のように述べています。「AIの力、そして生成AIの重要性の高まりは、人々の働き方、チームのコラボレーション、プロセスのあり方を変えつつあります。こうした『テクノロジ革命』の時代において、転換を図ることができず、D&A全般、特にAIを効果的に活用できない組織は、成功を収めることが難しいでしょう」

ITリーダーは、以下のトレンドを自社のD&A戦略に反映させるように取り組むべきです (図1参照)。

図1. 2024年のデータ/アナリティクスのトップ・トレンド
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出典:Gartner (2024年5月)

トレンド:「必要に応じる」から「ビジネスを賭けた難題解決」へ

AIが戦略レベルで業界に革命を起こし続ける中、D&AリーダーはAIを活用してビジネス上の難題を解決できるスキルを有すると証明し、企業内でAI戦略の主導を任されるだけの信頼を獲得しなければなりません。

ハーシェルは次のように述べています。「D&Aリーダーは、自身の能力と、組織の求めるビジネス成果を達成する仕事を結び付けて、組織にもたらす自らの価値を実証する必要があります。それができず、リソースの配分ミスや投資の未活用といった問題が悪化し続ければ、D&Aリーダーは組織内のAI戦略の主導を任されなくなるでしょう」

AIによってビジネスのあり方が変化する一方、企業のコストは膨れ上がっています。D&Aリーダーは、FinOps(財務オペレーション) の実践によって標準を設定/適用し、経費を削減すべきです。また、D&Aのベスト・プラクティスを特定し、それらをフランチャイズ化し、組織全体で活用できるようにするための取り組みも検討すべきです。
※FinOps: FinOps Foundationによって提唱され、広められた、クラウド財務管理 (CFM) を実践するためのモデル

トレンド:「混沌」から「管理可能な複雑性」へ

多くのD&Aシステムは取り扱いに注意が必要であり、D&Aシステムの冗長性は混乱やコスト増の原因となり得ます。ハーシェルは次のように述べています。「先進的な企業は、この混沌を自らが管理可能な複雑性に変えようとしています。当然ながら、複雑性への対処は容易ではありません。しかし、複雑性を認識することで動的な環境を現実的に理解できるようになり、D&Aチームによる適切なアクションの実行が可能になります」

複雑性に対処するには、エコシステムで起きていることを理解する必要があります。D&Aを、サプライヤー、顧客、パートナーなどにも拡張することで、全社的なビジネス・プロセスやオペレーションを改善します。プロセス・マイニングやデジタル・ツインなどにも投資して、データから状況をつかみ取り、エコシステムで何が起きているか、その状況を把握できるようにすべきです。

D&Aリーダーは、自動化と生産性向上のためにAIに対応したツールを利用することも重要です。これには、拡張データ管理ツール、意思決定の自動化、自然言語処理 (NLP) などの拡張アナリティクス機能への投資が含まれます。

トレンド:「唯一の真実の源泉」から「清濁合わさった洪水の中」へ

生成AIのアクセシビリティと効率性が向上する中、データの信頼性が常に疑問視される世界を舵取りしていかなければなりません。組織内の信頼の欠如、データの価値と品質に対する懸念、AIを巡る規制は、ステークホルダーからの「不信」を招きます。

ハーシェルは次のように述べています。「データが信頼されなければ、そのデータは意思決定で適切に利用されなくなります。D&Aリーダーは、データへの信頼を築き、意思決定インテリジェンスに取り組んで、意思決定のプロセスと成果を追跡すべきです。さらに、効果的なAIガバナンスと責任あるAIの実践が、ステークホルダーとの信頼を確立する上で極めて重要です。そのためには、データをAI-Readyにする、つまり、倫理的に統制され、安全で、偏りがなく、強化された、正確なデータにする必要があります」

トレンド:「過度の負担」から「権限を持った個人」へ

ハーシェルは次のように述べています。「D&AにおけるAIの活用によって、従業員が脅威や不満を感じるのではなく、権限を与えられたと感じることが重要です」

組織は、従業員がAIに対応できるようにするために、従業員のAIリテラシーの向上に向けた育成プログラムに投資する必要があります。その際、AIのエキスパート・ユーザーに必要なスキルセットは、ほかの一般的なユーザーとは大きく異なることを認識しなければなりません。そのため、組織内でAIリテラシーを向上させるには、複数の異なるアプローチを織り交ぜる必要があります。

ユーザーが行えることの範囲を広げるには、分析に基づく意思決定をユーザーが行えるように、能力の面だけではなく、権限の面でも可能にすることが重要です。そのためには、適応型のガバナンスが求められます。情報資産の管理に信頼ベースのアプローチを導入して、ユーザーが使っている情報の来歴を継続的に把握しなくてはなりません。

ハーシェルは次のように述べています。「これらのトレンドに対応するためにD&Aリーダーは、自分自身とチームのメンバーが、それぞれの生産性を高めるイノベーティブな時間を確保できるようにすることも重要です」

D&Aリーダーは、Gartner CDAO Effectiveness Diagnosticを使うことで、自身の有効性を評価する方法を詳しく把握できます。これは、CDAOがリーダーとしての有効性を理解し、自身の強みと改善点を確認できる専用のアセスメント・ツールです。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

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ガートナー データ & アナリティクス サミットについて

5月21~23日まで開催中の「ガートナー データ&アナリティクス サミット」(会場:グランドニッコー東京 台場) では、トレンド技術の活用によるビジネス成果の獲得や、積年の課題にD&Aリーダーとしてどう立ち向かっていけばよいのか、人材の確保や組織の構成といった新たな悩みをどう解消すればよいのかなど、広範囲にわたるD&A関連のトピックを解説しています。

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