2025年6月12日

Gartner、2030年までに「ガーディアン・エージェント」がエージェント型AI市場の10〜15%を占めるようになるとの見解を発表

AIのリスク領域が拡大する中、ガーディアン・エージェントがAIプロセスの信頼性と安全性を確保

 

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、2030年までに「ガーディアン・エージェント」のテクノロジがエージェント型AI市場の少なくとも10~15%を占めるようになるとの見解を発表しました (グローバルでは2025年6月11日に発表しています)。

ガーディアン・エージェントは、AIとの安全で信頼できるやりとりを支援するために設計されたAIベースのテクノロジです。コンテンツのレビュー、モニタリング、分析などのタスクを通じてユーザーを支援するAIアシスタントとして機能するだけでなく、進化する半自律型または完全自律型エージェントとして、行動計画の策定と実行、事前定義済みの目的に沿った行動の修正やブロックも提供します。

エージェント型AIの利用拡大に伴い、「ガードレール」が必要に

Gartnerが2025年5月19日に開催したウェビナーにおいて、CIOとITリーダー147人を対象に実施したアンケートでは、回答者の24%は12個 (a dozen) 未満のAIエージェントを既に導入しており、さらに4%は12個以上を導入済みであると回答しています。

また、このテクノロジの調査/実験を現時点で推進している割合は50%、調査/実験には未着手ながら2026年末までの導入を予定している割合も17%に上ります。AIエージェントの整合性と安全性を維持するために、信頼、リスク、セキュリティを自動で制御する仕組みが必要とされており、これがガーディアン・エージェントの需要拡大と普及を加速させています。

ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストのアビバ・リタン (Avivah Litan) は、次のように述べています。「適切なガードレールなしでエージェント型AIを利用すると、望ましくない結果を招くことになります。ガーディアン・エージェントは、幅広いエージェント型AIの能力とAIベースの決定論的評価を活用して、エージェントの能力全般を監督/管理しながら、実行時の意思決定とリスク・マネジメントのバランスを取ります」

エージェントの能力向上と普及に伴い、リスクも拡大

同ウェビナーのアンケートでは、AIエージェントの現在または将来の主な用途として、回答者125人のうち、52%が社内の管理業務 (IT、人事、経理など) に関連するユースケースを挙げ、23%が顧客対応業務を挙げています。

AIエージェントのユースケースが増え続ける中、入力操作やデータ・ポイズニングなどを通じて、改ざんされたデータや誤って解釈されたデータをAIエージェントが使用することによる、以下のような脅威が懸念されています。

  • 認証情報の乗っ取りや不正使用により、不正な操作やデータ窃取が実行される
  • 偽または犯罪目的のWebサイトや情報源とのやりとりにより、エージェントが有害な動作を実行する
  • 内部の欠陥や外的要因に起因するエージェントの逸脱や意図しない行動が、評判の失墜や業務の混乱をもたらす

リタンは、次のように説明しています。「AIエージェントの進化が加速し、自律性も増していることから、従来の人間による監督を超えた新たな対応が求められています。猛烈なスピードで通信する複雑なマルチエージェント・システムへの移行が進む中、エラーや悪意のある行為のリスクが高まり、もはや人間では対処できなくなっています。こうした脅威環境の深刻化は、AIアプリケーションやエージェントに対する監督、制御、セキュリティを自動化して提供するガーディアン・エージェントが緊急に必要になっている状況を浮き彫りにしています」

CIOやセキュリティ/AIのリーダーは、AIとのやりとりの安全確保と防御を促進するため、ガーディアン・エージェントの3つの主な役割に焦点を当てるべきです。

  • レビュアーとしてのガーディアン・エージェント:AIが生成した出力やコンテンツが正確で適切かを確認/レビューする
  • モニタとしてのガーディアン・エージェント:AIやエージェントの行動を観察/追跡し、人間またはAIの追加対応を支援する
  • プロテクターとしてのガーディアン・エージェント:オペレーション中に自動アクションを使用し、AIやエージェントのアクションや権限を調整/ブロックする

ガーディアン・エージェントは、使用形態を問わず、インタラクションと異常を管理します。Gartnerでは2028年までにAIアプリケーションの70%がマルチエージェント・システムを採用すると予測しています。よって、今後、ガーディアン・エージェントはこうしたマルチエージェントの統合における重要な柱となっていきます。

バイス プレジデント アナリストの礒田 優一は次のように述べています。「国内においても、多数のAIエージェントが社内データにアクセスする状況に対してどのようにコントロールすべきか、既にそうした状況に迫られている組織からの問い合わせが寄せられています。そうした組織ではイノベーティブなベンダー/製品も検討すべきタイミングに来ています」

また、ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストの亦賀 忠明は次のように補足しています。「AIエージェントはエージェント型AIとしてさらに自律性を高めて進化していきます。それがさらにマルチエージェントになっていくことから、それをセキュアにする仕組みをどう作っていくかについて企業は、エージェント型AIやマルチエージェントの進化と同期をとる形でそのあり方を高度化していく必要があります。また、それは、多くの企業にとって従来とは異次元のレベルになるため、企業は抜本的にリーダーシップ、体制、スキル、マインドセット、スタイルをアップデートする必要があります」

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート “Guardians of the Future: How CIOs Can Leverage Guardian Agents for Trustworthy and Secure AI” (英語) で詳細をご覧いただけます。無料のウェビナー "CIOs, Leverage Guardian Agents for Trustworthy and Secure AI" (英語) もご覧いただけます。

なお、前出の亦賀は「生成AIとAIエージェントトレンド:2025」と題した無料のウェビナー (6月12日、14:00-15:00) でも生成AIおよびAIエージェントに関する最新トレンドを解説します (後日オンデマンドで視聴できます)。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

Gartner for Cybersecurity Leadersについて
Gartner for Cybersecurity Leadersでは、セキュリティ・リーダー (CISOs) が役割を再定義し、セキュリティ戦略をビジネス目標に整合させ、セキュリティ保護と組織のニーズのバランスを取るプログラムを構築できるよう支援します。詳細は以下よりご確認いただけます。
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ガートナー セキュリティ&リスク・マネジメント サミットについて

Gartnerは来る7月23~25日に「ガートナー セキュリティ&リスク・マネジメント サミット」(会場:グランドニッコー東京 台場) を開催します。本サミットでは、セキュリティ/リスク・マネジメントのリーダーおよびセキュリティの担当者向けて最新の知見やアドバイスを提供します。前出の礒田ならびに亦賀も登壇します。コンファレンスのニュースと最新情報は、XやLinkedIn、Facebookでご覧いただけます (#GartnerSEC)。

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