2024年11月21日

Gartner、次世代のITインフラ運用組織には、ビジネス価値に直結する運用への変革が求められているとの見解を発表

ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション & クラウド戦略コンファレンス (12月3~5日) において、インフラストラクチャやオペレーションに関する最新トレンドと指針を解説

 

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、ITインフラ運用組織はビジネス成長に貢献する運用トランスフォーメーションが必要であるとの見解を発表しました。

Gartnerは2024年4月に、国内の従業員500人以上の組織を対象にユーザー調査を実施しました。IT運用 (オペレーション) に関わっている調査対象者に、現在の職種からのキャリア・パスについて尋ねたところ、過半数の回答者が自身のキャリア・パスに何らかの不安や不満を抱えていることが明らかになりました。さらに、IT運用担当者に、「キャリア・パスに不安がある、異動、転職を考える具体的な理由として該当するものを、重要と考える順から3つ尋ねたところ、「他のIT部門のメンバーと比べて昇給・昇進が遅い」(65%)、「重責であるにもかかわらず、待遇が悪い/評価されない」(60%)、「新しい技術に触れる機会がない」 (57%) の順でした。2023年調査時の上位3つと順位の変更はあるものの、同じ項目が挙げられました (図1参照)。

図1. IT運用担当者がキャリア・パスに不安を抱く理由
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出典:Gartner (2024年11月)

シニア ディレクター アナリストの米田 英央は次のように述べています。「運用はITシステムを維持するための重要な仕事ですが、安全・安定的に運用して当たり前という縁の下の力持ち的な評価しか受けられず、その成果が表に出にくいという特徴があります。実際に、Gartnerに寄せられる問い合わせでも、ITインフラ運用人材は、『運用は安全・安定にやって当たり前であり、評価されにくい』『力を発揮する領域は文書化・形式知化しにくい領域であり、長年の経験による判断や行動が必要とされる領域である』『人口不足に加えて若い人はやりたがらない仕事であり、固定化した人材でローテーションも稀である』と捉えられていることがうかがえます」

次世代のIT運用組織への移行が求められている

企業がデジタル・トランスフォーメーション (DX) を実現するには、IT部門全体で顧客 (ビジネスやユーザー) への貢献を推進し、ITサービスの開発をアジャイル型で行う必要があります。一方、実際にそれを行っているのはIT部門内の一部署やDX部門など一部にとどまり、インフラストラクチャ/オペレーション (I&O) 部門は対象外である場合が見られます。

IT運用を推進するI&O部門は従来のレガシー・システムを中心としたモノリシックなシステムの拡張や更改を、ウォーターフォール型のプロジェクトとして進めることを得意としています。ウォーターフォール型で構築されたシステムについては開発と運用を明確に分け、運用者はこうしたシステムの運用・保守を定められた手順で「守る」ことが主な業務となります。そのため、ビジネスから変化や変更を求められる開発者と、しばしば対立することになります。

米田は次のように述べています。「従来の組織体制のままでは、I&O部門が逆にDX実現の足かせになるという事態が現実に生じる可能性があります。IT部門全体でビジネスの変化に対応した成果を出し続けるには、開発チームと運用チームが一体となってビジネス成果を出すために活動を行うDevOpsプラクティスの実践、言い換えると、プロダクト価値の流れ全体にわたって、顧客価値、コスト、リスクの最適化に焦点を当てた、高度に協調的で分野横断的なアプローチ (運用トランスフォーメーション) が有効です」

インフラストラクチャ・プラットフォーム・エンジニアリング・チームへの転換と必要なスキル

Gartnerは、ITインフラ運用人材が慣れ親しんでいるI&O領域でDevOpsアプローチをベースに企業のビジネスに資するプラットフォームへと転換するには、コードとしてのインフラストラクチャ (IaC) やコードとしてのポリシー (PaC) などに代表されるようなソフトウェア・エンジニアリングのスキルと手法を獲得することを推奨しています。また、開発チームのニーズに対してインフラストラクチャを提供する、インフラストラクチャ・プラットフォーム・エンジニアリング・チームへの転換が求められています。

インフラストラクチャ・プラットフォーム・エンジニアリング・チームは、クラウドを含む社内外のインフラストラクチャ・リソースを選択 (キュレーション) して開発チームにプラットフォームとして提供する役割を持ちます。このキュレーションは、開発チームから要件を聞き、測定できる、目に見える価値をエンドユーザーに返すフィードバック・ループを提供することにより、デジタル・サービスを実現するプラットフォームを実現します。プラットフォーム化により、開発者が簡単にインフラ・プラットフォームを使えるようになり、開発の生産性向上ならびにビジネス成長に直接寄与することができます。

ディレクター アナリストの青山 浩子は、次のように述べています。「インフラストラクチャ・プラットフォーム・エンジニアリング (IPE) はI&Oの未来を形作る要素の1つです。I&Oリーダーは、俊敏性とレジリエンスに対する2つのバランスをうまく取り込み、ニーズを満たす機能をすぐにプラットフォームとして使えるようにするために、IPEおよびサイト・リライアビリティ・エンジニアリング (SRE) のスキル強化に取り組むことが極めて重要な優先課題となっています」

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート「次世代の運用組織への移行:DevOpsの実践」ならびに「インフラストラクチャ・プラットフォーム・エンジニアリング・チームの育て方」で関連する内容をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

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ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション & クラウド戦略コンファレンスについて

Gartnerは2024年度の「ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション & クラウド戦略コンファレンス」を3日間に拡大し、来る12月3~5日にウェスティンホテル東京にて開催します。2024年度は、「次世代のI&O:未来への航路を切り拓く:“Available”, “Intelligent”, “Resilient”」をテーマに、インフラストラクチャおよびオペレーションを率いるI&Oリーダーとイノベーションを担当するITリーダーに向けて押さえておくべきトップ・トレンド、ベスト・プラクティス、知見やガイダンスを提供します。コンファレンスのニュースと最新情報は、Xでご覧いただけます (#GartnerIO)。

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